アフガニスタンの和平と対テロ戦争 資料2
アフガン掃討作戦「不可欠」とオバマ大統領
【ワシントン=黒瀬悦成】
オバマ米大統領は17日、アリゾナ州フェニックスで開かれた退役軍人の会合で演説し、アフガニスタンでの戦争は、国際テロ組織アル・カーイダを壊滅させるために「不可欠な戦いだ」と強調した。アフガニスタンでは、南部を中心に米海兵隊が大規模掃討作戦を展開しているが、旧支配勢力タリバンは20日の大統領選を前に攻勢を強めており、米兵の死者数は増えている。
大統領演説には、アフガンでの対テロ戦争に対する国民の理解を改めて確保する狙いがあるとみられる。大統領は、「9月11日に米国を攻撃した連中は再び攻撃を計画している」と、2001年の米同時テロ事件と関連づけて、アル・カーイダ打倒の重要性を改めて指摘。また、「イラク情勢を進展させれば、アフガニスタンとパキスタンでのアル・カーイダとの戦いに集中できる」と述べ、アフガンに兵力を振り分けるため、イラク駐留米軍を予定通り2011年末までに完全撤収させると改めて表明した。 (2009年8月18日 読売新聞)
アフガン 市民犠牲拡大 テロ・空爆で上半期24%増
2009年8月7日 【バンコク=林浩樹】
二十日に大統領選を控えるアフガニスタンで六日、爆弾テロが相次ぎ、南部ヘルマンド州では少なくとも市民や警察官ら二十六人が死亡した。同州では駐留米軍などが選挙ボイコットを主張する反政府武装勢力タリバンの大規模掃討作戦を展開しており、報復テロの可能性がある。
市民の批判の高まりを恐れ、米軍とタリバンの双方が誤爆を回避するよう組織内に徹底したとされるが、治安悪化は深刻な状況に陥っている中、民間人犠牲者に歯止めがかかる気配はない。
AFP通信によると同州南部で結婚式に参列する市民を乗せた車両が通りかかったところ、路肩の仕掛け爆弾が爆発。女性や子どもを含む二十一人が死亡した。同州の別の場所でも仕掛け爆弾で警察官五人が死亡した。
一方、AP通信によると、隣接するカンダハル州で五日夜、米軍による空爆で五人が死亡。地元警察は、死者は「車に農作物を積んでいた市民」と発表した。米軍広報官は「武器を車に運んでいたイスラム過激派」と否定した。
アフガンでは戦闘激化に伴い、テロや空爆に巻き込まれた民間人犠牲者が増加。国連によると、今年上半期の民間人死者数は昨年より24%増えた。
給油活動は来年1月終了 民主首脳「延長考えず」
2009年7月29日
民主党首脳は28日夜、海上自衛隊のインド洋での給油活動について「もともと撤退を求めてきた。基本的に延長は考えていない」と述べ、衆院選で政権を獲得すれば新テロ対策特別措置法の期限が切れる来年1月で活動を終了、海自を撤退させる意向を明らかにした。特措法を延長しない方針を明確に示したのは初めて。
期限切れまでに米側と協議し、給油活動に代わるアフガニスタン安定に向けた日本の貢献策を模索する意向とみられる。
ただ協議が調わない場合は(1)政府として継続法案を提出(2)米国の反対を押し切り撤退―のどちらかを選択せざるを得ず、難しい判断を迫られることになる。継続法案を提出すれば過去の反対姿勢との「ぶれ」が鮮明となる一方、一方的な撤退はアフガン安定を重視する米オバマ政権との関係悪化につながる恐れがあるためだ。
給油活動をめぐり、鳩山由紀夫代表は政権獲得後にアフガン安定のため新たな貢献策を検討すると表明。党内では(1)経済支援(2)警察行政強化(3)人道支援―の案が浮上している。
期限切れ後の撤退に言及したのは、衆院選マニフェスト(政権公約)で給油問題に触れなかったことへの与党側の批判をかわす狙いもありそうだ。同首脳は「政権を取った翌日に『帰ってこい』とは言えない」と政権獲得後、給油活動を当面継続する方針を重ねて強調した。 (共同)
スフィ・モハマド師拘束
【カブール栗田慎一】
パキスタン北西辺境州政府は26日、同州スワート地区の武装勢力側の和平交渉代理人だったスフィ・モハマド師を州都ペシャワル市内で拘束したと発表した。州政府の警告に反して集会を開いた容疑。同師はイスラム教の精神的指導者として州内外に多くの支持者がおり、掃討作戦に対する反政府感情が悪化するのは確実だ。
同師は01年、米軍の軍事攻撃を受けたタリバン政権を支援するため、約1万人をアフガニスタンに送り込んだことで知られる。02年に拘束されたが、08年5月に釈放された。今年2月にスワート地区の武装勢力と政府の和平を仲介した。
州政府は今回の拘束に関連し、「武装勢力のテロ活動を止めようとしなかった」と非難した。毎日新聞 2009年7月27日
アフガン:独軍、タリバン掃討戦 異例の本格軍事行動
【ベルリン小谷守彦】
ドイツのユング国防相は22日記者会見し、アフガニスタン北部に駐留するドイツ軍が、アフガン軍と合同で旧支配勢力タリバンの掃討作戦を実施中であると明らかにした。治安維持活動や復興支援を中心に展開してきたドイツ軍が、本格的な軍事行動に乗り出すのは極めて異例だ。
ユング国防相によると、ドイツ軍は06年に北部に駐留して以来初めて装甲戦闘車や重武装兵を投入する。ドイツ軍300人とアフガン軍800人が参加し、攻撃機も使って北部クンドゥス周辺の半径30キロ地域から武装勢力を排除するという。
作戦の狙いについて、ドイツ軍は「8月20日投票のアフガン大統領選を無事に実施するため」としている。ただ、軍関係者は、比較的平穏とされてきたアフガン北部の急激な治安悪化に加え、タリバンがドイツ軍を集中的に攻撃の標的にしている点を指摘する。
ドイツは9月27日に総選挙を控えており、アフガン情勢が悪化すれば、世論に撤退機運が高まる可能性もある。
アフガンへの部隊派遣は連邦議会の与野党の多くの議員が支持してきたが、慎重論も出始めている。
野党・緑の党のナハトウァイ議員は22日、「(軍の)任務の重さを政治家は過小評価してきたようだ」と公共ラジオに語り、ドイツ軍の活動に「明確な目的基準」を定めるよう求めた。
ドイツは01年から北大西洋条約機構(NATO)が主導する国際治安支援部隊(ISAF)に参加、アフガン北部には06年から駐留し、北部地域全体の司令・統括を担当している。毎日新聞 2009年7月23日 東京夕刊
パキスタン:UNHCR職員ら交戦で死亡
【ニューデリー栗田慎一】
パキスタン北西辺境州ペシャワルのカチャガリ国内避難民キャンプで16日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の男性職員と警備員の計2人が武装集団の銃撃で死亡した。武装集団が職員を拉致しようとしたため警備員が発砲、交戦となった。
武装集団は2人を殺害後、逃走。現場はUNHCR仮設事務所前。同キャンプは政府軍の武装勢力掃討作戦から逃れた部族地域の住民ら約1万6000人がいる。毎日新聞 2009年7月16日
駐アフガン外国軍、月間死者数が過去最多に
【イスラマバード=酒井圭吾】
「テロとの戦い」最前線のアフガニスタンで、駐留外国軍の7月の死者数が15日までに46人となり、2001年のアフガン戦争開始以降の月間死者数としては、すでに過去最多と並んだ。7月の死者数が史上最悪となるのは確実で、米英などで増派の議論が高まるのは必至の情勢だ。
オバマ政権の発足以降、約2万1000人を増派する米軍は今月2日、南部ヘルマンド州で「剣の一撃」と称する大規模軍事作戦を開始。旧支配勢力タリバンの抵抗も激しく、米民間調査機関などによると、米兵は7月だけで24人が死亡し、同州に約9000人展開の英兵も7月だけで15人が死亡した。英兵の死者数は計184人となり、イラクでの死者数179人を上回った。
同機関などによると、駐留外国軍兵士は昨年6月、8月にそれぞれ46人死亡しており、これが最多だった。今年の年間死者数は7月15日現在で202人に達し、過去最多だった昨年の294人を超えそうだ。
AP通信によると、タリバンによる簡易仕掛け爆弾(IED)や自爆テロによる事件は昨年の年間約3800件から今年は約5700件に増えると予測される。とりわけ、IEDの精度が高まっており、今年だけで米兵46人が殺害されている。 (2009年7月16日 読売新聞)
パキスタンの避難民帰還開始 200万人の一部
2009年7月13日 【ナウシェラ(パキスタン北西辺境州)13日共同】
パキスタン政府が4月から続けているイスラム武装勢力の掃討作戦で、作戦がほぼ終了した北西辺境州スワト地区周辺で発生した国内避難民約200万人の一部が13日、帰還を始めた。
約2万3千人が身を寄せた同州ナウシェラのジャロザイキャンプでは、着の身着のままで戦闘を逃れてきた人々が、わずかな荷物とともに政府が準備したバスに分乗。約2カ月半ぶりのわが家に向け次々と出発した。
両親ら家族7人でバスに乗り込んだ高校生サダム・フセイン君(18)は「自宅がどうなっているのかも、タリバンが本当にいなくなったのかも分からない。早く学校に戻りたい」と不安げな表情を見せた。
スワト地区周辺では、隣国アフガニスタンの反政府勢力タリバンと関係が深い武装勢力が影響力を拡大、首都寄りに進出を図り、パキスタン政府が掃討作戦を実施。作戦の中心は現在、同地区から南寄りのワジリスタン地区に移っている。
英軍のアフガン死者数184人 イラク戦争を超える
2009年7月11日【ロンドン=土佐茂生】
英国防省は10日、アフガニスタン南部ヘルマンド州に駐留する英軍兵士計8人が相次ぐ爆弾攻撃で死亡したと発表した。反政府勢力タリバーンの攻撃とみられる。01年に始まったアフガニスタンでの対テロ戦争で英兵の死者数は計184人となり、03年からのイラク戦争の死者数179人を上回った。
国防省などによると、9日に2人、10日に6人の英兵が死亡。ブラウン首相は10日、G8サミットが開かれているイタリア中部ラクイラで会見し、「とても厳しい夏だ。国際社会は最後までやり通すことが極めて重要だ」と語った。
一方、野党・自由民主党のクレッグ党首は「政府の決意、戦略、作戦が正しいのか疑問に思う」と述べ、政府のアフガン戦略を批判した。
英メディアによると、今月のわずか10日間で英兵の死者数は15人にのぼり、これまで最悪だった06年9月の19人を追い抜くペースだ。約8300人を派遣する英軍は米軍とともにイスラム原理主義勢力タリバーンの掃討作戦を大規模に実施し、激しい戦闘が起きている。朝日新聞
米国とタリバンの対話仲介できる 米TVでパキスタン軍高官
2009年7月11日 【ワシントン10日共同】
パキスタン軍のアッバス報道官は10日の米CNNテレビで、パキスタンの情報機関、3軍統合情報部(ISI)がアフガニスタンの反政府武装勢力タリバン指導部との接触を維持していることを示唆、タリバン指導部と米政府との対話をパキスタンが仲介できるとの考えを示した。
グル元ISI長官は、米国がタリバンと対話するなら「相手は指導者オマル師しかない」と指摘した。CNNによると、パキスタンは対話を仲介する見返りに、カシミール地方の領有権などをめぐり対立するインドとの関係で米国の譲歩を求めているという。
オバマ米政権はアフガン駐留米軍を増派する一方、軍事作戦だけではタリバンを壊滅できないとの認識を深めている。ただアフガニスタン・パキスタン担当のホルブルック米特別代表は「タリバンが国際テロ組織アルカイダと公式に絶縁しない限り」オマル師らタリバン指導部との対話はあり得ないと強調。一方で「金で雇われていた大多数の元タリバン兵」との和解は積極的に進める姿勢を示した。
パキスタン軍報道官に聞く 部族地域に作戦拡大へ 『自爆テロ防止に寄与』
2009年6月30日 東京新聞
【イスラマバード=古田秀陽】
パキスタン軍報道官のアーサー・アッバス少将は29日、本紙の取材に対し、近く本格着手する北西部部族地域での軍事作戦で、ワジリスタン地区を拠点とする武装勢力「パキスタン・タリバン運動」を壊滅に追い込むことにより、国内の治安は「大幅に改善される」との見通しを示した。
アッバス氏は、同武装勢力のリーダーであるベイトラ・メスード司令官が「最も自爆テロを起こす力を持っており、武装勢力のネットワークの中心的な存在。国際テロ組織アルカイダとのつながりも強い」と指摘。同武装勢力をたたくことが「傘下の勢力にも損害を与え、国内のテロ防止にもなる」と作戦の重要性を強調した。
アッバス氏は作戦の開始時期は明かせないとしながらも、北西辺境州での作戦と同規模の「約二万人」の兵を派遣するとし、「数カ月で作戦を終了できるだろう」と述べた。また、北西辺境州の作戦で戦闘に巻き込まれた市民の犠牲者については「作戦を慎重に進めており、百人未満にとどまる」とした。
北西辺境州での作戦は約二カ月が経過したが、スワト地区中部では武装勢力の抵抗が続いており、アッバス氏は「副司令官クラスはかなり殺害したが、トップクラスは捕まえていない」と認めた。作戦前、四千人とみていた同地区の武装勢力のうち「千数百人はまだ同地区に潜んでいる」とし、幹部らが部族地域などへ移動したとの見方を否定した。
日本・アフガン外相会談:大統領選監視団派遣など約束
【トリエステ(イタリア北部)藤原章生】
G8外相会合に出席中の中曽根弘文外相は26日、アフガニスタンのスパンタ外相と会談し、同国で8月に予定される大統領選への監視団派遣や難民復帰の支援を約束した。治安が劣悪なため、監視団は多くともカブール周辺に十数人の規模という。
アフガン政府はイランにいるアフガン難民推定100万人のうち、高等教育を受けた約4000人の帰国を望んでおり、中曽根外相は帰国促進のための職場環境の充実などの面で協力する考えを示した。毎日新聞 2009年6月27日
パキスタン国内避難民に3000万ドル追加支援へ 日本
2009年6月27日【トリエステ(イタリア)=鵜飼啓】
主要国(G8)外相は26日、トリエステでアフガニスタン、パキスタンの外相を交えて会談した。中曽根外相は武装勢力掃討作戦で増加しているパキスタンの国内避難民対策として3千万ドル(約28億円)の追加支援を表明した。
G8外相会合は2日目の26日午後からアフガニスタン、パキスタンをテーマとし、両外相との会談のほか、27カ国・機関を招いた会議も開いた。パキスタンの国内避難民は200万~300万人に上るとされ、大きな不安定要因となる。日本はすでに食糧支援など約3千万ドルの支援をしてきたが、さらに強化する。
中曽根外相は8月のアフガニスタン大統領選時に選挙監視団を派遣することを表明した。外務省幹部によると、治安情勢が厳しいことから大規模な監視団派遣は難しく、10人前後になる見通しという。
中曽根外相はカナダのキャノン外相とも会談。今秋をめどに両国の次官級戦略対話を始めることで合意した。 アサヒ・コム
武装勢力殺害1592人に パキスタンの掃討作戦
2009年6月23日
【イスラマバード22日共同】パキスタン国防省報道官は22日、4月下旬から実施している北西辺境州スワト地区などでのイスラム武装勢力掃討作戦で、これまでに計1592人を殺害、60人を逮捕したと発表した。同地区などでの掃討は成功しており「近く終結する」との見通しも示した。
また、国際テロ組織アルカイダ幹部らが潜伏し「過激派の温床」と呼ばれる北西部部族地域では、南ワジリスタン地区の要衝に部隊を進軍させ、本格攻勢に備えているとした。既に先週末から空爆を行い、数十人の武装勢力が死亡したもようだ。
「米軍の過失でアフガン民間人に死者」、5月の空爆について米軍が報告書
【6月20日 AFP】
米軍は19日、アフガニスタン西部ファラー(Farah)州で5月に起きた戦闘の際、米軍の空爆で民間人少なくとも26人が死亡したとみられるとする調査結果を発表した。
5月4日、同州ガルニ(Garni)村で起きた駐留米軍およびアフガン国家治安部隊(Afghan National Security Force、ANSF)とイスラム原理主組織力タリバン(Taliban)との戦闘で、駐留米軍と地上部隊は戦闘規定に従って行動していた。だが米軍のB-1爆撃機による3回の空爆が戦闘規定の一部を順守していなかったために民間人の犠牲者が出たと、同調査は結論付けている。
調査は民間人の死者を約26人としているが、死傷者の正確な数を知ることは不可能だとして、これより多い可能性も認めている。アフガニスタン政府は、この戦闘における民間人の犠牲者は140人に達したとしていた。
■航空支援で民間人が犠牲に
調査によると、 ANSFは同州でタリバンから激しい攻撃を受けて身動きがとれなくなったため、米海兵隊の応援を要請した。米海兵隊は治安部隊支援と負傷兵後送のため空爆を要請。F/A-18戦闘機が特定の建物を目標に攻撃し、 この段階で民間人に犠牲者は出なかった。
日没後、F/A-18を支援するためB-1爆撃機が出撃。500ポンド爆弾と2000ポンド爆弾を使用した3回の空爆を実施した。うち2回の空爆で民間人に犠牲者が出た可能性が高いと調査報告は指摘している。
■民間人の安全を最優先に
調査報告は、アフガニスタン駐留米軍が民間人の犠牲者を出さないことを最優先する戦術の採用が不可欠だとしている。
また民間人に犠牲者が出る可能性のある状況で空爆を実施する場合はもちろん、そのほかのすべてのケースでの戦闘規定の見直しと、アフガニスタンの関係省庁と協調した広報活動の強化、各地域のNGOとの綿密な協力関係の確立、民間人の犠牲者が出た恐れがある場合に速やかに対応する調査チームが必要だとしている。
この事件を機にアフガニスタン国民の間に反米感情が激化し両国関係が緊張したため、米政府当局者はこの問題が及ぼす影響に懸念を強めていた。(c)AFP
パキスタン:スワート地区 大虐殺、餓死寸前、数十万人閉じこめられ--避難民が証言
◇「動くもの、すべて標的」
【ベシャン(パキスタン北西辺境州)栗田慎一】mainichi
「撃つな」を示す白旗を掲げた乗用車が、パキスタン北部の山間の町ベシャンに押し寄せている。激しい戦闘が続く北西辺境州スワート地区マタから決死の思いで逃れてきた人たちだ。「数十万人が戦闘地域に閉じ込められている」「市民ばかりが死んでいる」と証言し、「政府軍も武装勢力も市民の命を無視している」と訴えた。和平協定破棄で始まった同地区での戦闘は18日で1カ月半。住民は怒りと絶望感を深めている。
「スワートではジェノサイド(大虐殺)が起きている」。17日、自宅から約50キロのベシャンに約10時間かけてたどり着いた男性(26)は声を震わせた。
男性はスワートの主要都市ミンゴラの北にあるマタから来た。政府軍が人口約60万人のマタ全域に外出禁止令を出しているため、15日深夜に村人5人でひそかに徒歩で出発。6時間かけて山を越え、ベシャンへ向かう乗用車に飛び乗った。
峡谷を縫う悪路の約4時間は、政府軍と武装勢力の双方から攻撃される恐れがある。このため、地域住民たちは乗用車に白旗を掲げているのだ。
男性は「牛のエサの草を刈るため外に出たいとこが射殺された。隣の家は3日前に爆撃され、6歳と4歳の男の子が死んだ」と訴えた。マタでは戦闘開始から水も電気も電話も止まったままで、「家族7人は餓死寸前」と語り、食料を買い込んで自宅に戻ると言った。
政府は5月4日に掃討作戦を開始するにあたり、スワート地区住民に避難勧告を出したとしている。しかし、ベシャンに逃れたマタの住民たちは、「戦闘は突然始まった」と口をそろえた。
大量の食料をワゴン車内に詰め込んでマタに戻る途中の男性4人は、「動くものはすべてが標的にされている。町中には遺体が転がったままで、そのほとんどが市民だ」と憤り、「国際社会はパキスタンの状況をどう見ているのか」と記者に問いかけた。
上海協力機構:アフガン安定に協力 対北朝鮮、非難の文言はなく
【エカテリンブルク(ロシア中部)大木俊治】
中国、ロシアと中央アジア4カ国(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン)で構成する上海協力機構の首脳会議は16日、「より公正で公平な」国際金融秩序の形成に向けた努力や、アフガニスタン情勢安定化へ向け協力強化の必要性をうたった「エカテリンブルク宣言」を採択し、閉幕した。
会議終了後に記者会見した議長国ロシアのメドベージェフ大統領は、核実験など北朝鮮政権の挑発的な姿勢は「容認できない」との認識で一致したことも明らかにした。ただ採択された宣言は「朝鮮半島非核化のための交渉再開を支持する」との表現にとどめ、非難の文言は盛り込まれなかった。大統領は「国際社会の姿勢は国連安保理決議で採択されている」と説明した。
アフガン情勢では、メドベージェフ大統領が会見で、パキスタンのザルダリ大統領、アフガンのカルザイ大統領と3者会談を開き、問題解決への協力を約束したことを明らかにした。ロシアは、治安回復のため北大西洋条約機構(NATO)軍への協力姿勢を見せながらも、自国の隣接地域での影響力確保を目指す姿勢だ。毎日新聞 2009年6月17日
アフガン大統領選、候補者41人 選管が確定名簿発表
2009年6月13日【カブール=四倉幹木】
アフガニスタンの選挙管理委員会は13日、8月20日に予定されている大統領選の候補者の確定名簿を発表した。候補者は41人に上るが、有力とみられるのは再選を目指すカルザイ大統領や元閣僚ら。選挙運動は16日から始まり、テロが相次ぐ中での治安回復や汚職の一掃、社会格差の克服などが争点となりそうだ。
先月、立候補を届け出た44人を選管が審査し、2人が欠格、1人が辞退した。女性2人を含む41の候補者の多くは国会議員や地方の有力者だ。
カルザイ氏は過去5年間の実績が問われる。治安改善や汚職など多くの課題は積み残されたままだが、現職の強みを生かして有利なスタートを切りそうだ。対テロ戦で米国と距離を置き始めたとされるカルザイ氏が、どんな主張を展開するのかも注目されている。
カルザイ氏に挑む主な候補者は、カルザイ政権の元閣僚ら。タジク人主体の野党「国民戦線」出身のアブドラ前外相と、カルザイ氏と同じパシュトゥン人で国連や世界銀行での職歴のあるガニ元財務相が有力とされ、腐敗一掃を訴えるハザラ人のドスト元計画相も若年層に人気がある。朝日新聞
アフガン大統領選候補は41人 乱戦で現職有利
2009年6月13日【カブール13日共同】
8月20日投票のアフガニスタン大統領選で、同国選挙管理委員会は13日、候補者要件などを審査した結果、現職のカルザイ大統領ら41人の立候補を承認したと発表した。乱戦の様相だが、知名度に勝るカルザイ氏有利の展開となりそうだ。
16日から始まる選挙運動では、選挙ボイコットを表明している反政府武装勢力タリバンの妨害活動が懸念され、駐留外国部隊やアフガン国軍、警察が人員を大幅に増強して警戒に当たる。
選管は有力候補のガニ元財務相やアブドラ元外相も承認。米国も不満を表明しているカルザイ政権の汚職体質を批判し逆転を狙う。44人が立候補を届け出たが、1人が辞退、2人が要件不備で外された。
2004年に行われた同国初の大統領選の立候補者は18人だったが、今回は汚職が多く対米協調路線の現政権に対する国民の不満が募り、増えたとみられる。この結果、カルザイ氏に対する批判票が分散する見込みとなった一方、タリバンによる攻撃対象も増加し、候補者警護が難航する恐れがある。
アフガンに最大1万人派兵 NATO、大統領選向け
2009年6月13日【ブリュッセル=井田香奈子】
ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)国防相会合は12日、8月20日のアフガニスタン大統領選に向け、NATOが現地で指揮する国際治安支援部隊(ISAF)から8千~1万人の兵士を各地に配置し、治安対策を強化することで合意した。
選挙に伴う物資の輸送や、選挙監視団の護衛などを担当し、民主的な選挙を後方支援するという。
アフガン対策を強化する米オバマ政権の約2万1千人の増派方針に対し、欧州のNATO加盟国は撤収・縮小を検討する国が多く、曲折の末、4月の首脳会議で大統領選の特別対応として約5千人の増派に合意していた。 朝日新聞
タリバン系 テロ認める パキスタン 武装勢力掃討の報復
2009年5月29日 東京新聞【バンコク=林浩樹】
パキスタン東部ラホールの治安当局関連施設が狙われ、三百人以上が死傷した二十七日の自爆テロ事件で、同国北西部・部族地域を拠点にするイスラム武装勢力「パキスタン・タリバン運動」の広報官を名乗る男は二十八日、AFP通信に犯行を認めた。国軍が同地域に隣接する北西辺境州スワト地区で展開する武装勢力掃討作戦の報復テロとしている。
広報官は「軍が作戦を継続すれば、政府施設を狙って大規模な攻撃を仕掛ける。市民は街から去るべきだ」と都市部でのテロ攻撃を警告した。AP通信によると、同国の「パンジャブ・タリバン運動」を名乗る組織もトルコのウェブサイトに犯行声明を出したが、詳細は不明だ。また北西辺境州の州都ペシャワルの市場などで二十八日、爆発や自爆テロが相次ぎ、ロイター通信によると、少なくとも市民や兵士ら十三人が死亡、七十人以上が負傷した。
政府は同日、スワト地区の武装勢力指導者ら二十一人の拘束につながる情報提供に賞金を懸けた。米国などが求める同地区武装勢力の完全制圧を目指す構えだが、治安悪化が急激に進む恐れもある。
パキスタン、核開発の拡大認める 対印抑止力で
2009年5月21日 【イスラマバード21日共同】
パキスタン外務省のバシット報道官は21日の記者会見で、同国がテロ対策などで巨額の国際支援を受けながら核開発施設を拡大し、保有する核兵器の数を増やしているとする米紙報道などについて「南アジアの安定のために核抑止力は不可欠だ」と釈明し、隣国インドに対抗して拡大していることを認めた。
米国は反政府武装勢力を抑え込むため、パキスタンに巨額の支援を継続。最近の武装勢力の拡大を受けて核兵器を奪われる最悪の事態を懸念し、さらに支援を強化している。米政界などから支援が核開発に転用された可能性を指摘する声も出ているが、報道官は「事実に反するプロパガンダだ」と主張した。
18日付の米紙ニューヨーク・タイムズは複数の米政府当局者の話として、パキスタンが保有する核兵器を80-100発に増やしたと報道。これまでパキスタンの保有数はインドと同様の60発程度とされていた。
パキスタンに1億ドル追加支援 クリントン国務長官発表
2009年5月20日 【ワシントン=村山祐介】
クリントン米国務長官は19日、ホワイトハウスで記者会見し、イスラム原理主義勢力タリバーンとの戦闘が続くパキスタン北西部の避難民向けに食糧など1億1千万ドル(106億円)相当の追加支援をすると発表した。クリントン氏は一方で「米国のこの30年間の対パキスタン政策は支離滅裂と言って差し支えないと思う」と述べ、歴代政権のパキスタン政策を批判した。
クリントン氏は、米ソ冷戦期の80年代までさかのぼって「パキスタンの治安部隊や軍は米国が育てて資金も供給したが、(98年の核実験に伴う米国などの)経済制裁で民主主義は不安定化し、軍の介入にさらされてきた」と指摘したうえで、「米国には民主的に選ばれた政府を支援する責任がある」と述べ、昨秋に約9年ぶりに発足した文民政権を支える必要性を訴えた。 朝日新聞
アフガン安定に1-2年 米軍トップ、戦闘激化予測
2009年5月19日 【ワシントン18日共同】
米軍制服組トップのマレン統合参謀本部議長は18日、首都ワシントンで講演し、今年夏までに実施する2万1000人規模の米軍アフガニスタン増派で、反政府武装勢力タリバンなどイスラム過激派との戦闘が「さらに激しくなる」と予測、事態改善には「1年か2年」の期間が必要との認識を示した。
マレン議長は、過去3年間でタリバンの再組織化が進み、米軍など駐留外国軍との戦闘やテロが頻発して「流れが非常に悪化した」と指摘。その上で、特に従来は米軍の展開が薄かった南部への1万人規模の増派が、治安改善につながると語った。
また米軍空爆でアフガン市民の死傷が相次いでいる問題について「市民を死なせていてはアフガンで成功できない」と表明。「より慎重でより正確な」作戦遂行に尽力していると訴えた。さらに今年8月に予定されている大統領選挙を公正に実施することが、アフガン安定のため極めて重要だと強調した。
アフガン下院:外国軍の行動制限など法制度の確立を要求
【ニューデリー栗田慎一】
空爆による民間人犠牲が深刻化しているアフガニスタンで、同国下院がカルザイ政権に対し、外国軍の行動制限や責任などを明確にする国内法制度の確立を求めている。イラクで1月に発効した、米軍駐留の法的根拠などを定めた「地位協定」を想定したもの。アフガンではこうした具体的な取り決めがないことが、民間人犠牲の責任をうやむやにし、誤爆が改善されない原因との指摘が議会内にあるためだ。
議会関係者によると、新たな国内法案の主な柱は、空爆の中止や、民間人を殺傷した場合の処罰。このほか、バグラム米軍基地での違法な拘束や家宅捜索の禁止、駐留軍の撤退期限の設定などが盛り込まれたという。
西部ファラ州で今月4日にあった米軍の空爆は、政府によると、死者130人を超え、国内各地で反米デモがわき起こった。カルザイ大統領は9日、米国のテレビとのインタビューで、「空爆はテロとの戦いの効果的な方法ではない。中止すべきだ」と訴えた。
これに対し、オバマ米大統領の補佐官は10日、「空爆の継続」を強調し、カルザイ氏の要求を真っ向から否定した。11日、アフガン下院議員らは「米国が謝罪にも応じないのは法制度がないからだ」と批判し、「政府は国民への殺りく行為を防ぐため、外国軍を管理する法制度を1週間以内に提示するよう求める」と決議するに至った。
法制度の取り決めを求める声は、昨年8月に西部ヘラート州で米軍の空爆により市民90人以上が死亡した事件の後にも政府内で議論された。しかし、米軍は「攻撃対象は武装勢力メンバーだった」との姿勢を変えず、空爆を正当化。議論はうやむやになった。
政府内には、対テロ戦争の主戦場をイラクからアフガンに移すことを決めたオバマ米政権が、軍事作戦の制限につながる取り決めに同意するとは考えられないとの見方が多く、「結局は米国のモラルに頼るしかない」(内務省幹部)のが実情だ。毎日新聞 2009年5月18日
アフガンでも市民射殺 イラクで乱射の米系会社関係者
2009年5月17日【イスラマバード17日共同】
アフガニスタン駐留米軍当局者は17日、イラクで銃乱射事件を起こし、市民を殺害した米系民間警備会社ブラックウオーター(2月に社名を「Xe」に変更)の関係者4人が、アフガンでも市民を射殺したとして捜査を進めていることを明らかにした。ロイター通信が報じた。
当局者によると、4人はアフガン軍の訓練担当者で、今月5日に首都カブールで交通事故に巻き込まれ、接近してきた車両に恐怖を感じて発砲。アフガン人3人を負傷させ、うち1人は2日後に死亡したという。
Xeの広報担当者はロイターに対し、子会社の従業員が勤務時間外に事件に関与したことを認め、4人との契約を解除したことを明らかにした。弁護士によると、4人はカブールで会社の拘束下に置かれているという。
同社の警備員は2007年9月、米外交官の警備中にイラクの首都バグダッドで銃を乱射、市民10数人を殺害する事件を起こした。イラク政府は強く反発し、今年1月に同社の活動免許更新を認めないことを決定、今月イラクでの業務が終了したばかりだった。
米、アフガン空爆停止せず 巻き添えはタリバンに責任
2009年5月11日 【ワシントン10日共同】
ジョーンズ米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は10日の米テレビで、多数の民間人被害が続く米軍のアフガニスタン空爆を停止する考えはないと強調し、市民を「人間の盾」とする反政府武装勢力タリバン側に責任があると指摘した。
米軍空爆で市民が死傷する事件は後を絶たず、カルザイ大統領が空爆停止を求めていた。カルザイ氏は同日放映の米テレビで、被害をなくすため最大限の努力を尽くさねば国民の信頼を失うとあらためて訴えた。
ジョーンズ補佐官は「軍司令官らの選択を制約することはできない」と述べ、空爆の必要性を指摘した上で、民間人被害を防ぐため「努力を倍加する」と約束した。またペトレアス米中央軍司令官は、今月上旬にアフガン西部ファラー州で多数の市民が空爆の巻き添えになった事件について、タリバンが市民を強制的に集めた建物からアフガン軍に攻撃を仕掛けたことが原因だったと説明した。
外国軍の空爆規制法案、アフガン下院が決議採択
【イスラマバード=酒井圭吾】
アフガニスタン下院は11日、米軍の空爆により西部ファラ州の住民多数が死亡したことで、政府に対し、外国軍の空爆を規制する法案の作成を求める決議を全会一致で採択した。また、AP通信によると、10日には首都カブールで空爆に抗議する大規模な反米デモが行われ、デモ参加者の学生らが「米軍の虐殺は許容できない」と訴えた。
一方、同州で今月上旬、米軍とタリバンが交戦した際、「非人道的兵器」として国際的な批判を浴びる白リン弾が使用された可能性が高まっている。AP通信は、住民14人が被害に遭ったと伝えている。
白リン弾は、人体に触れると高温を発し、燃え上がる兵器。駐留米軍当局者は「白リン弾はタリバンが過去2年間で4回使用した」などと批判。タリバンの報道官も11日、使用を否定する声明を出した。 (2009年5月11日 読売新聞)
カルザイ氏再選優位か アフガン大統領選 欧米不満も 対抗馬の調整難航
2009年5月9日 東京新聞朝刊【バンコク=林浩樹】
八月二十日投票予定のアフガニスタン大統領選の立候補届け出が八日、締め切られた。再選を狙って着々と足場を固めるカルザイ大統領に対し、反カルザイ派は候補者の一本化調整が難航。米国などアフガン支援国では汚職体質が目立つ「カルザイ体制」への不満がくすぶるものの、現状ではカルザイ氏が優位に立つ公算が大きい。
同氏は昨年からの急速な治安悪化で生じた国民批判を意識し、反政府武装勢力タリバン強硬派との対話を模索する一方、駐留米軍による誤爆を激しく非難。米国と距離を置く形で再選への布石を打ってきた。選挙戦では五年間の復興実績などをアピールする見通し。
AFP通信によると、反カルザイ派では、唯一の全国政党・国民戦線が推すアブドラ元外相や米国に豊富な人脈を持つガニ元財務相らが名乗りを上げた。だが、有力部族による支配体制が続く同国で、民族や地域対立を超えた統一候補となるかは不透明だ。
一方、国内最多のパシュトゥン人のカルザイ氏は、二人の副大統領候補にタジク人のファヒム元副大統領とハザラ人のハリリ現副大統領を指名し、民族バランスを取った。ただ、ファヒム氏は麻薬や兵器密売への関与が指摘される人物。現政権の汚職体質や指導力不足に手を焼く欧米では同氏起用への批判が強く「カルザイ離れ」が加速しそうな気配だ。
ホルブルック米アフガン・パキスタン担当特別代表は米国、アフガン、パキスタン三カ国首脳会談の次回開催をアフガン大統領選後と明言。米国が今後、「親米」大統領誕生を後押しするとの見方も出ている。
外国兵の死者100人に アフガン、過去最悪ペース
2009年5月9日 【カブール8日共同】
アフガニスタンに駐留する国際治安支援部隊(ISAF)は8日、同国南部ヘルマンド州で7日起きた自爆テロで英兵2人と民間人16人が死亡したと発表した。アフガン・イスラム通信は、今年の外国部隊の死者数が100人を超えたと報じた。
2001年の米軍攻撃開始以降、最悪のペース。100人に達したのは過去最多だった08年が6月、07年は7月だった。反政府武装勢力タリバンは南部と東部を中心に攻勢を強めており、首都カブールや北部でも自爆テロや襲撃が増えている。
7日のテロは、市場近くを通行中の外国部隊車両にバイクに乗った男が突っ込み自爆した。ロイター通信は英軍当局者の話として、死亡した英兵のうち1人は英軍に雇われているネパール出身のグルカ兵だと伝えた。
政府軍が武装勢力掃討作戦 パキスタン和平合意崩壊
2009年5月8日 東京新聞朝刊【バンコク=林浩樹】
パキスタン軍は六日、北西辺境州スワト地区で、アフガニスタンの旧政権タリバンに近いイスラム武装勢力の掃討作戦を始めた。州政府と武装勢力が結んだ同地区の和平合意は事実上崩壊したことになり、戦闘が激化すれば、最大五十万人の避難民が発生したり、報復テロが活発化する恐れがある。
州政府は二月、スワト地区を含むマラカンド地域の司法制度にイスラム法の導入を認める代わりに、同地区での和平を武装勢力と締結した。しかし、武装勢力は支配拡大を狙ってブネル地区など周辺地域に進出。「和平はタリバンの勢力強化につながる」との米国の圧力もあり、国軍は四月下旬に周辺地域で攻撃を開始した。
武装勢力がこれに対抗して、スワト地区の行政庁舎や警察を相次いで襲撃したため、国軍は六日、掃討作戦に着手。AFP通信によると、武装ヘリによる攻撃などでスワト地区で三十五人、ブネル地区で約三十人を殺害した。戦闘に巻き込まれた市民が死傷したとの情報もある。
州当局によると、六日までに約四万人が戦闘地域から脱出。掃討作戦が本格化すれば、最終的に約五十万人の避難民が見込まれ、国民の間に政府批判や反米感情が強まるのは避けられない情勢だ。一方、武装勢力側はブネル地区で市民二千人を“人質”に取るなど徹底抗戦の構え。追い詰められた場合、首都イスラマバードなどの都市部や有力政治家を狙った自爆テロを多発させる恐れがある。
イスラム武装勢力に和平合意破棄 パキスタン、戦闘激化必至
2009年5月8日 【イスラマバード8日共同】
パキスタンのギラニ首相は7日、国民向けにテレビ演説し、北西辺境州スワト地区のイスラム武装勢力と2月に結んだ和平合意を破棄、攻撃に転じる方針を明らかにした。武装勢力は武装解除の約束を守らず首都に迫り、対テロ戦略上、パキスタンと隣国アフガニスタン情勢の改善を目指す米政府が懸念を表明していた。
パキスタン軍は既に6日に攻撃を開始しており、今後の戦闘激化や報復テロ増加は確実。赤十国際委員会によると、スワト地区の周辺の住民50万人以上が近隣に避難した。現政権による和平破棄は2度目で、テロが増えれば再び和平を模索する可能性もある。
同地区は仏教遺跡が点在するパキスタン有数の観光地だったが、アフガン旧政権タリバンに近い武装勢力が一昨年ごろからイスラム法(シャリア)に基づく司法制度導入を要求し、テロや襲撃を繰り返していた。
武装勢力は2月の和平条件だった司法制度導入が実施されないことに反発し、4月初旬に首都イスラマバードに近い北西辺境州ブネル地区に進出した。
アフガン攻撃 100人死亡 米軍など 7割民間人か、最悪規模
2009年5月7日 東京新聞夕刊【バンコク=林浩樹】アフガニスタン西部ファラー州で四日から五日にかけて米軍主体の連合軍が空爆や地上作戦を展開し、AFP通信は州警察の話として百人以上が死亡したと伝えた。うち七割以上は民間人の可能性があるという。一回の作戦による死者数としては、二〇〇一年の米軍のアフガン攻撃以来、最悪規模の一つとなった。
現地からの報道によると、攻撃対象は反政府武装勢力タリバンが実効支配するバラブルク地区の二つの村。駐留米軍報道官は「武装勢力から攻撃された地元治安部隊の支援要請があった」とAFP通信に語った。治安部隊を襲撃したタリバン兵が潜伏した民家などを空爆したもようだ。 アフガン当局者によると、四日にタリバンが政府協力者と判断した市民三人を処刑した後、治安部隊との間で戦闘になった。
アフガンでは昨年以来、市民がテロや戦闘に巻き込まれるケースが頻発。国連の調査では、昨年の民間人死者数は約二千二百人。このうち約四割が多国籍軍や治安部隊による「誤爆」などで死亡したとされる。
◆武装勢力対策で協力 パキスタンとアフガン首脳 米大統領と会談
【ワシントン=嶋田昭浩】
オバマ米大統領は六日、ホワイトハウスでアフガニスタンのカルザイ大統領、パキスタンのザルダリ大統領と三者会談を行い、国際テロ組織アルカイダやパキスタン北西部で勢力を拡大しているイスラム武装勢力タリバンへの対策などを協議した。会談後、オバマ大統領は記者団に、「かつてない協力関係を前進させることができ、満足している」と語った。
オバマ大統領は「武装勢力が(アフガン・パキスタン)国境地帯を自由に行き来しており(各国間で)情報の共有などを進めなければならない」と指摘。今後、連携して取り組むべき課題が多いとの認識を示した。
ホワイトハウスによると、オバマ大統領はカルザイ大統領との会談の冒頭、アフガニスタン西部で米軍主体の連合軍の空爆により民間人多数が死亡したことに弔意を表明し、事実関係の追求と再発防止に向け、徹底した調査を約束。報道陣にも「民間人の犠牲を避けるため、あらゆる努力をする」と強調した。
クリントン米国務長官も同日「罪のない人の命が奪われるのは痛ましい」と述べたが、オバマ大統領、クリントン長官とも米軍の責任を認める言葉は口にしなかった。
米、アフガン、パキスタン首脳会談 過激派打倒目標で一致
CNN
オバマ米大統領は6日、アフガニスタンのカルザイ大統領およびパキスタンのザルダリ大統領とホワイトハウスで会談した。オバマ大統領は共同記者会見で、3カ国が主権国家として国際テロ組織アルカイダやイスラム強硬派タリバーンの「阻止、解体および打倒」という共通目標で連携していく方針を示した。
オバマ大統領は、カルザイ・ザルダリ両首脳との会談で、過激派対策の戦略面での連携強化について協議した。オバマ大統領は記者会見で、3カ国の治安がつながっていると指摘。無実の市民を殺害し、民主政権をおびやかしているのはアルカイダやその支持者だとしたうえで、米国が過激派を打倒し、アフガン・パキスタン両国政府を支持する「継続的で不退転の」姿勢であることを表明した。
カルザイ・ザルダリ両首脳も、過激派対策と国内情勢安定化で米国との連携していく方針を表明した。 3カ国首脳会談に先立ち、ヒラリー・クリントン米国務長官は、アフガン・パキスタン両国の外交および国防、情報機関、農業の各当局者らと会談。両国の和平推進に取り組む米政府の意向を反映し、オバマ政権の要職であるホルブルック米特使や米中央軍のペトレイアス司令官、米中央情報局(CIA)のパネッタ長官、米連邦捜査局(FBI)のミュラー長官、ビルサック米農務長官も同席した。
オバマ政権はアフガニスタンに米軍2万1000人を増派するほか、文民増派も実施し、地元の支持基盤が弱いとされるアフガン・パキスタン両国の指導者を支える。米国は両国首脳との会談を通じて、両国を域内のテロ対策における全面的なパートナーとする考えだ。
アフガニスタン:NATO軍空爆でタリバンら約30人死亡
【ニューデリー栗田慎一】
アフガニスタン西部ファラ州当局は5日、4日夜の北大西洋条約機構(NATO)軍による空爆で、市民や武装勢力タリバンのメンバーら計約30人が死亡した模様だと発表した。空爆はタリバンと交戦したアフガン軍を支援するためで、民家も爆撃されたという。戦闘は続いており、ロイター通信によると住民の1人は「双方とも市民の命に関心を払っていない。カルザイ大統領は我々を助けてほしい」と訴えた。毎日新聞 2009年5月5日
パキスタン:難民70万人絶望のふち 国際支援ほぼ皆無
【ニューデリー栗田慎一】
パキスタン軍と武装勢力の戦闘が激化しているアフガニスタン国境地域から、パキスタン国内各地に逃れた避難民が70万人を超え、欧米諸国などへの難民申請者も増え始めている。避難民の一部はアフガン難民キャンプ跡地で暮らすが、国際支援はなく、生活環境は劣悪だ。避難民受け入れについても、各国は「過激派流入」を懸念し難色を示す。米国がパキスタン側に軍事行動の強化を求める中、避難民は絶望のふちにいる。
北西辺境州ペシャワル南郊。07年までアフガン難民6万人がいた同国最大の難民キャンプだったカチャガリ・キャンプは今年、ビニールシートで覆っただけの仮設テントが並ぶパキスタン避難民キャンプとなった。避難民のラフマンさん(40)は毎日新聞助手の取材に、「カナダ大使館に難民申請をしたが、だめだった」と肩を落とした。
最近の戦闘激化は、政府と同州スワート地区の武装勢力とが締結した和平協定の順守事項を巡る対立が原因だ。反発した武装勢力が勢力を広げ、政府軍が26日に地区外に限定した攻撃に乗り出し、避難民は続出した。同州政府によると、スワート地区や近隣地区の避難民は1日までの6日間で約2万5000人。ロバやトラックに家財道具を積んだ住民らが都市部へ流入している。この結果、米軍がミサイルを撃ち込む部族地域からの避難民50万人と合わせ、国内避難民は70万人を超えた。
避難民のうち約20万人は州内の複数の元アフガン難民キャンプに収容された。しかし、アフガン難民と違い国際社会の支援は皆無に近い。残る約50万人は、路上生活をするか親類宅に身を寄せているが、国内経済の悪化で仕事はなく、貧困のどん底であえいでいる。このため難民申請者が増え、政府関係者は「カナダやオーストラリア、ニュージーランドへの渡航希望が多い。しかし、どの国も過激思想の流入を懸念している」と指摘した。
違法な難民ビジネスも増えており、政府は警戒感を募らす。01年までアフガン難民300万人以上を抱えた世界最大の難民受け入れ国だったパキスタンは、「難民流出国」に転じようとしている。毎日新聞 2009年5月1日
