Wednesday, May 6, 2009

アフガニスタンの和平と対テロ戦争 資料2

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アフガン掃討作戦「不可欠」とオバマ大統領       
【ワシントン=黒瀬悦成】

オバマ米大統領は17日、アリゾナ州フェニックスで開かれた退役軍人の会合で演説し、アフガニスタンでの戦争は、国際テロ組織アル・カーイダを壊滅させるために「不可欠な戦いだ」と強調した。アフガニスタンでは、南部を中心に米海兵隊が大規模掃討作戦を展開しているが、旧支配勢力タリバンは20日の大統領選を前に攻勢を強めており、米兵の死者数は増えている。

大統領演説には、アフガンでの対テロ戦争に対する国民の理解を改めて確保する狙いがあるとみられる。大統領は、「9月11日に米国を攻撃した連中は再び攻撃を計画している」と、2001年の米同時テロ事件と関連づけて、アル・カーイダ打倒の重要性を改めて指摘。また、「イラク情勢を進展させれば、アフガニスタンとパキスタンでのアル・カーイダとの戦いに集中できる」と述べ、アフガンに兵力を振り分けるため、イラク駐留米軍を予定通り2011年末までに完全撤収させると改めて表明した。   (2009年8月18日 読売新聞)

アフガン 市民犠牲拡大 テロ・空爆で上半期24%増
 2009年8月7日 【バンコク=林浩樹】

二十日に大統領選を控えるアフガニスタンで六日、爆弾テロが相次ぎ、南部ヘルマンド州では少なくとも市民や警察官ら二十六人が死亡した。同州では駐留米軍などが選挙ボイコットを主張する反政府武装勢力タリバンの大規模掃討作戦を展開しており、報復テロの可能性がある。

市民の批判の高まりを恐れ、米軍とタリバンの双方が誤爆を回避するよう組織内に徹底したとされるが、治安悪化は深刻な状況に陥っている中、民間人犠牲者に歯止めがかかる気配はない。

AFP通信によると同州南部で結婚式に参列する市民を乗せた車両が通りかかったところ、路肩の仕掛け爆弾が爆発。女性や子どもを含む二十一人が死亡した。同州の別の場所でも仕掛け爆弾で警察官五人が死亡した。

一方、AP通信によると、隣接するカンダハル州で五日夜、米軍による空爆で五人が死亡。地元警察は、死者は「車に農作物を積んでいた市民」と発表した。米軍広報官は「武器を車に運んでいたイスラム過激派」と否定した。

アフガンでは戦闘激化に伴い、テロや空爆に巻き込まれた民間人犠牲者が増加。国連によると、今年上半期の民間人死者数は昨年より24%増えた。

給油活動は来年1月終了 民主首脳「延長考えず」
2009年7月29日 
      
民主党首脳は28日夜、海上自衛隊のインド洋での給油活動について「もともと撤退を求めてきた。基本的に延長は考えていない」と述べ、衆院選で政権を獲得すれば新テロ対策特別措置法の期限が切れる来年1月で活動を終了、海自を撤退させる意向を明らかにした。特措法を延長しない方針を明確に示したのは初めて。

期限切れまでに米側と協議し、給油活動に代わるアフガニスタン安定に向けた日本の貢献策を模索する意向とみられる。

ただ協議が調わない場合は(1)政府として継続法案を提出(2)米国の反対を押し切り撤退―のどちらかを選択せざるを得ず、難しい判断を迫られることになる。継続法案を提出すれば過去の反対姿勢との「ぶれ」が鮮明となる一方、一方的な撤退はアフガン安定を重視する米オバマ政権との関係悪化につながる恐れがあるためだ。

給油活動をめぐり、鳩山由紀夫代表は政権獲得後にアフガン安定のため新たな貢献策を検討すると表明。党内では(1)経済支援(2)警察行政強化(3)人道支援―の案が浮上している。

期限切れ後の撤退に言及したのは、衆院選マニフェスト(政権公約)で給油問題に触れなかったことへの与党側の批判をかわす狙いもありそうだ。同首脳は「政権を取った翌日に『帰ってこい』とは言えない」と政権獲得後、給油活動を当面継続する方針を重ねて強調した。 (共同)

スフィ・モハマド師拘束
【カブール栗田慎一】

パキスタン北西辺境州政府は26日、同州スワート地区の武装勢力側の和平交渉代理人だったスフィ・モハマド師を州都ペシャワル市内で拘束したと発表した。州政府の警告に反して集会を開いた容疑。同師はイスラム教の精神的指導者として州内外に多くの支持者がおり、掃討作戦に対する反政府感情が悪化するのは確実だ。

 同師は01年、米軍の軍事攻撃を受けたタリバン政権を支援するため、約1万人をアフガニスタンに送り込んだことで知られる。02年に拘束されたが、08年5月に釈放された。今年2月にスワート地区の武装勢力と政府の和平を仲介した。

 州政府は今回の拘束に関連し、「武装勢力のテロ活動を止めようとしなかった」と非難した。毎日新聞 2009年7月27日 

アフガン:独軍、タリバン掃討戦 異例の本格軍事行動
【ベルリン小谷守彦】

ドイツのユング国防相は22日記者会見し、アフガニスタン北部に駐留するドイツ軍が、アフガン軍と合同で旧支配勢力タリバンの掃討作戦を実施中であると明らかにした。治安維持活動や復興支援を中心に展開してきたドイツ軍が、本格的な軍事行動に乗り出すのは極めて異例だ。

 ユング国防相によると、ドイツ軍は06年に北部に駐留して以来初めて装甲戦闘車や重武装兵を投入する。ドイツ軍300人とアフガン軍800人が参加し、攻撃機も使って北部クンドゥス周辺の半径30キロ地域から武装勢力を排除するという。

 作戦の狙いについて、ドイツ軍は「8月20日投票のアフガン大統領選を無事に実施するため」としている。ただ、軍関係者は、比較的平穏とされてきたアフガン北部の急激な治安悪化に加え、タリバンがドイツ軍を集中的に攻撃の標的にしている点を指摘する。

 ドイツは9月27日に総選挙を控えており、アフガン情勢が悪化すれば、世論に撤退機運が高まる可能性もある。

 アフガンへの部隊派遣は連邦議会の与野党の多くの議員が支持してきたが、慎重論も出始めている。

 野党・緑の党のナハトウァイ議員は22日、「(軍の)任務の重さを政治家は過小評価してきたようだ」と公共ラジオに語り、ドイツ軍の活動に「明確な目的基準」を定めるよう求めた。
 ドイツは01年から北大西洋条約機構(NATO)が主導する国際治安支援部隊(ISAF)に参加、アフガン北部には06年から駐留し、北部地域全体の司令・統括を担当している。毎日新聞 2009年7月23日 東京夕刊

パキスタン:UNHCR職員ら交戦で死亡
【ニューデリー栗田慎一】

パキスタン北西辺境州ペシャワルのカチャガリ国内避難民キャンプで16日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の男性職員と警備員の計2人が武装集団の銃撃で死亡した。武装集団が職員を拉致しようとしたため警備員が発砲、交戦となった。

武装集団は2人を殺害後、逃走。現場はUNHCR仮設事務所前。同キャンプは政府軍の武装勢力掃討作戦から逃れた部族地域の住民ら約1万6000人がいる。毎日新聞 2009年7月16日

 駐アフガン外国軍、月間死者数が過去最多に
【イスラマバード=酒井圭吾】

「テロとの戦い」最前線のアフガニスタンで、駐留外国軍の7月の死者数が15日までに46人となり、2001年のアフガン戦争開始以降の月間死者数としては、すでに過去最多と並んだ。7月の死者数が史上最悪となるのは確実で、米英などで増派の議論が高まるのは必至の情勢だ。

オバマ政権の発足以降、約2万1000人を増派する米軍は今月2日、南部ヘルマンド州で「剣の一撃」と称する大規模軍事作戦を開始。旧支配勢力タリバンの抵抗も激しく、米民間調査機関などによると、米兵は7月だけで24人が死亡し、同州に約9000人展開の英兵も7月だけで15人が死亡した。英兵の死者数は計184人となり、イラクでの死者数179人を上回った。

同機関などによると、駐留外国軍兵士は昨年6月、8月にそれぞれ46人死亡しており、これが最多だった。今年の年間死者数は7月15日現在で202人に達し、過去最多だった昨年の294人を超えそうだ。

AP通信によると、タリバンによる簡易仕掛け爆弾(IED)や自爆テロによる事件は昨年の年間約3800件から今年は約5700件に増えると予測される。とりわけ、IEDの精度が高まっており、今年だけで米兵46人が殺害されている。 (2009年7月16日  読売新聞)

 パキスタンの避難民帰還開始 200万人の一部
2009年7月13日 【ナウシェラ(パキスタン北西辺境州)13日共同】

パキスタン政府が4月から続けているイスラム武装勢力の掃討作戦で、作戦がほぼ終了した北西辺境州スワト地区周辺で発生した国内避難民約200万人の一部が13日、帰還を始めた。

約2万3千人が身を寄せた同州ナウシェラのジャロザイキャンプでは、着の身着のままで戦闘を逃れてきた人々が、わずかな荷物とともに政府が準備したバスに分乗。約2カ月半ぶりのわが家に向け次々と出発した。

両親ら家族7人でバスに乗り込んだ高校生サダム・フセイン君(18)は「自宅がどうなっているのかも、タリバンが本当にいなくなったのかも分からない。早く学校に戻りたい」と不安げな表情を見せた。

スワト地区周辺では、隣国アフガニスタンの反政府勢力タリバンと関係が深い武装勢力が影響力を拡大、首都寄りに進出を図り、パキスタン政府が掃討作戦を実施。作戦の中心は現在、同地区から南寄りのワジリスタン地区に移っている。   

英軍のアフガン死者数184人 イラク戦争を超える
2009年7月11日【ロンドン=土佐茂生】

英国防省は10日、アフガニスタン南部ヘルマンド州に駐留する英軍兵士計8人が相次ぐ爆弾攻撃で死亡したと発表した。反政府勢力タリバーンの攻撃とみられる。01年に始まったアフガニスタンでの対テロ戦争で英兵の死者数は計184人となり、03年からのイラク戦争の死者数179人を上回った。

 国防省などによると、9日に2人、10日に6人の英兵が死亡。ブラウン首相は10日、G8サミットが開かれているイタリア中部ラクイラで会見し、「とても厳しい夏だ。国際社会は最後までやり通すことが極めて重要だ」と語った。

 一方、野党・自由民主党のクレッグ党首は「政府の決意、戦略、作戦が正しいのか疑問に思う」と述べ、政府のアフガン戦略を批判した。
 英メディアによると、今月のわずか10日間で英兵の死者数は15人にのぼり、これまで最悪だった06年9月の19人を追い抜くペースだ。約8300人を派遣する英軍は米軍とともにイスラム原理主義勢力タリバーンの掃討作戦を大規模に実施し、激しい戦闘が起きている。朝日新聞

米国とタリバンの対話仲介できる 米TVでパキスタン軍高官
2009年7月11日 【ワシントン10日共同】

パキスタン軍のアッバス報道官は10日の米CNNテレビで、パキスタンの情報機関、3軍統合情報部(ISI)がアフガニスタンの反政府武装勢力タリバン指導部との接触を維持していることを示唆、タリバン指導部と米政府との対話をパキスタンが仲介できるとの考えを示した。

グル元ISI長官は、米国がタリバンと対話するなら「相手は指導者オマル師しかない」と指摘した。CNNによると、パキスタンは対話を仲介する見返りに、カシミール地方の領有権などをめぐり対立するインドとの関係で米国の譲歩を求めているという。

オバマ米政権はアフガン駐留米軍を増派する一方、軍事作戦だけではタリバンを壊滅できないとの認識を深めている。ただアフガニスタン・パキスタン担当のホルブルック米特別代表は「タリバンが国際テロ組織アルカイダと公式に絶縁しない限り」オマル師らタリバン指導部との対話はあり得ないと強調。一方で「金で雇われていた大多数の元タリバン兵」との和解は積極的に進める姿勢を示した。      

パキスタン軍報道官に聞く 部族地域に作戦拡大へ 『自爆テロ防止に寄与』
2009年6月30日 東京新聞

【イスラマバード=古田秀陽】
パキスタン軍報道官のアーサー・アッバス少将は29日、本紙の取材に対し、近く本格着手する北西部部族地域での軍事作戦で、ワジリスタン地区を拠点とする武装勢力「パキスタン・タリバン運動」を壊滅に追い込むことにより、国内の治安は「大幅に改善される」との見通しを示した。

アッバス氏は、同武装勢力のリーダーであるベイトラ・メスード司令官が「最も自爆テロを起こす力を持っており、武装勢力のネットワークの中心的な存在。国際テロ組織アルカイダとのつながりも強い」と指摘。同武装勢力をたたくことが「傘下の勢力にも損害を与え、国内のテロ防止にもなる」と作戦の重要性を強調した。

アッバス氏は作戦の開始時期は明かせないとしながらも、北西辺境州での作戦と同規模の「約二万人」の兵を派遣するとし、「数カ月で作戦を終了できるだろう」と述べた。また、北西辺境州の作戦で戦闘に巻き込まれた市民の犠牲者については「作戦を慎重に進めており、百人未満にとどまる」とした。

北西辺境州での作戦は約二カ月が経過したが、スワト地区中部では武装勢力の抵抗が続いており、アッバス氏は「副司令官クラスはかなり殺害したが、トップクラスは捕まえていない」と認めた。作戦前、四千人とみていた同地区の武装勢力のうち「千数百人はまだ同地区に潜んでいる」とし、幹部らが部族地域などへ移動したとの見方を否定した。      

日本・アフガン外相会談:大統領選監視団派遣など約束
【トリエステ(イタリア北部)藤原章生】

G8外相会合に出席中の中曽根弘文外相は26日、アフガニスタンのスパンタ外相と会談し、同国で8月に予定される大統領選への監視団派遣や難民復帰の支援を約束した。治安が劣悪なため、監視団は多くともカブール周辺に十数人の規模という。

 アフガン政府はイランにいるアフガン難民推定100万人のうち、高等教育を受けた約4000人の帰国を望んでおり、中曽根外相は帰国促進のための職場環境の充実などの面で協力する考えを示した。毎日新聞 2009年6月27日

パキスタン国内避難民に3000万ドル追加支援へ 日本
2009年6月27日【トリエステ(イタリア)=鵜飼啓】

主要国(G8)外相は26日、トリエステでアフガニスタン、パキスタンの外相を交えて会談した。中曽根外相は武装勢力掃討作戦で増加しているパキスタンの国内避難民対策として3千万ドル(約28億円)の追加支援を表明した。

 G8外相会合は2日目の26日午後からアフガニスタン、パキスタンをテーマとし、両外相との会談のほか、27カ国・機関を招いた会議も開いた。パキスタンの国内避難民は200万~300万人に上るとされ、大きな不安定要因となる。日本はすでに食糧支援など約3千万ドルの支援をしてきたが、さらに強化する。

 中曽根外相は8月のアフガニスタン大統領選時に選挙監視団を派遣することを表明した。外務省幹部によると、治安情勢が厳しいことから大規模な監視団派遣は難しく、10人前後になる見通しという。

 中曽根外相はカナダのキャノン外相とも会談。今秋をめどに両国の次官級戦略対話を始めることで合意した。   アサヒ・コム

武装勢力殺害1592人に パキスタンの掃討作戦
2009年6月23日 

【イスラマバード22日共同】パキスタン国防省報道官は22日、4月下旬から実施している北西辺境州スワト地区などでのイスラム武装勢力掃討作戦で、これまでに計1592人を殺害、60人を逮捕したと発表した。同地区などでの掃討は成功しており「近く終結する」との見通しも示した。

また、国際テロ組織アルカイダ幹部らが潜伏し「過激派の温床」と呼ばれる北西部部族地域では、南ワジリスタン地区の要衝に部隊を進軍させ、本格攻勢に備えているとした。既に先週末から空爆を行い、数十人の武装勢力が死亡したもようだ。      

「米軍の過失でアフガン民間人に死者」、5月の空爆について米軍が報告書 
【6月20日 AFP】

米軍は19日、アフガニスタン西部ファラー(Farah)州で5月に起きた戦闘の際、米軍の空爆で民間人少なくとも26人が死亡したとみられるとする調査結果を発表した。

 5月4日、同州ガルニ(Garni)村で起きた駐留米軍およびアフガン国家治安部隊(Afghan National Security Force、ANSF)とイスラム原理主組織力タリバン(Taliban)との戦闘で、駐留米軍と地上部隊は戦闘規定に従って行動していた。だが米軍のB-1爆撃機による3回の空爆が戦闘規定の一部を順守していなかったために民間人の犠牲者が出たと、同調査は結論付けている。

 調査は民間人の死者を約26人としているが、死傷者の正確な数を知ることは不可能だとして、これより多い可能性も認めている。アフガニスタン政府は、この戦闘における民間人の犠牲者は140人に達したとしていた。

■航空支援で民間人が犠牲に

 調査によると、 ANSFは同州でタリバンから激しい攻撃を受けて身動きがとれなくなったため、米海兵隊の応援を要請した。米海兵隊は治安部隊支援と負傷兵後送のため空爆を要請。F/A-18戦闘機が特定の建物を目標に攻撃し、 この段階で民間人に犠牲者は出なかった。

 日没後、F/A-18を支援するためB-1爆撃機が出撃。500ポンド爆弾と2000ポンド爆弾を使用した3回の空爆を実施した。うち2回の空爆で民間人に犠牲者が出た可能性が高いと調査報告は指摘している。

■民間人の安全を最優先に
 
 調査報告は、アフガニスタン駐留米軍が民間人の犠牲者を出さないことを最優先する戦術の採用が不可欠だとしている。

 また民間人に犠牲者が出る可能性のある状況で空爆を実施する場合はもちろん、そのほかのすべてのケースでの戦闘規定の見直しと、アフガニスタンの関係省庁と協調した広報活動の強化、各地域のNGOとの綿密な協力関係の確立、民間人の犠牲者が出た恐れがある場合に速やかに対応する調査チームが必要だとしている。

 この事件を機にアフガニスタン国民の間に反米感情が激化し両国関係が緊張したため、米政府当局者はこの問題が及ぼす影響に懸念を強めていた。(c)AFP  

パキスタン:スワート地区 大虐殺、餓死寸前、数十万人閉じこめられ--避難民が証言

◇「動くもの、すべて標的」
【ベシャン(パキスタン北西辺境州)栗田慎一】mainichi

「撃つな」を示す白旗を掲げた乗用車が、パキスタン北部の山間の町ベシャンに押し寄せている。激しい戦闘が続く北西辺境州スワート地区マタから決死の思いで逃れてきた人たちだ。「数十万人が戦闘地域に閉じ込められている」「市民ばかりが死んでいる」と証言し、「政府軍も武装勢力も市民の命を無視している」と訴えた。和平協定破棄で始まった同地区での戦闘は18日で1カ月半。住民は怒りと絶望感を深めている。

 「スワートではジェノサイド(大虐殺)が起きている」。17日、自宅から約50キロのベシャンに約10時間かけてたどり着いた男性(26)は声を震わせた。

 男性はスワートの主要都市ミンゴラの北にあるマタから来た。政府軍が人口約60万人のマタ全域に外出禁止令を出しているため、15日深夜に村人5人でひそかに徒歩で出発。6時間かけて山を越え、ベシャンへ向かう乗用車に飛び乗った。

 峡谷を縫う悪路の約4時間は、政府軍と武装勢力の双方から攻撃される恐れがある。このため、地域住民たちは乗用車に白旗を掲げているのだ。

 男性は「牛のエサの草を刈るため外に出たいとこが射殺された。隣の家は3日前に爆撃され、6歳と4歳の男の子が死んだ」と訴えた。マタでは戦闘開始から水も電気も電話も止まったままで、「家族7人は餓死寸前」と語り、食料を買い込んで自宅に戻ると言った。

 政府は5月4日に掃討作戦を開始するにあたり、スワート地区住民に避難勧告を出したとしている。しかし、ベシャンに逃れたマタの住民たちは、「戦闘は突然始まった」と口をそろえた。
 大量の食料をワゴン車内に詰め込んでマタに戻る途中の男性4人は、「動くものはすべてが標的にされている。町中には遺体が転がったままで、そのほとんどが市民だ」と憤り、「国際社会はパキスタンの状況をどう見ているのか」と記者に問いかけた。

上海協力機構:アフガン安定に協力 対北朝鮮、非難の文言はなく
【エカテリンブルク(ロシア中部)大木俊治】

中国、ロシアと中央アジア4カ国(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン)で構成する上海協力機構の首脳会議は16日、「より公正で公平な」国際金融秩序の形成に向けた努力や、アフガニスタン情勢安定化へ向け協力強化の必要性をうたった「エカテリンブルク宣言」を採択し、閉幕した。

 会議終了後に記者会見した議長国ロシアのメドベージェフ大統領は、核実験など北朝鮮政権の挑発的な姿勢は「容認できない」との認識で一致したことも明らかにした。ただ採択された宣言は「朝鮮半島非核化のための交渉再開を支持する」との表現にとどめ、非難の文言は盛り込まれなかった。大統領は「国際社会の姿勢は国連安保理決議で採択されている」と説明した。

 アフガン情勢では、メドベージェフ大統領が会見で、パキスタンのザルダリ大統領、アフガンのカルザイ大統領と3者会談を開き、問題解決への協力を約束したことを明らかにした。ロシアは、治安回復のため北大西洋条約機構(NATO)軍への協力姿勢を見せながらも、自国の隣接地域での影響力確保を目指す姿勢だ。毎日新聞 2009年6月17日

アフガン大統領選、候補者41人 選管が確定名簿発表
2009年6月13日【カブール=四倉幹木】

アフガニスタンの選挙管理委員会は13日、8月20日に予定されている大統領選の候補者の確定名簿を発表した。候補者は41人に上るが、有力とみられるのは再選を目指すカルザイ大統領や元閣僚ら。選挙運動は16日から始まり、テロが相次ぐ中での治安回復や汚職の一掃、社会格差の克服などが争点となりそうだ。

 先月、立候補を届け出た44人を選管が審査し、2人が欠格、1人が辞退した。女性2人を含む41の候補者の多くは国会議員や地方の有力者だ。

 カルザイ氏は過去5年間の実績が問われる。治安改善や汚職など多くの課題は積み残されたままだが、現職の強みを生かして有利なスタートを切りそうだ。対テロ戦で米国と距離を置き始めたとされるカルザイ氏が、どんな主張を展開するのかも注目されている。

 カルザイ氏に挑む主な候補者は、カルザイ政権の元閣僚ら。タジク人主体の野党「国民戦線」出身のアブドラ前外相と、カルザイ氏と同じパシュトゥン人で国連や世界銀行での職歴のあるガニ元財務相が有力とされ、腐敗一掃を訴えるハザラ人のドスト元計画相も若年層に人気がある。朝日新聞

アフガン大統領選候補は41人 乱戦で現職有利
2009年6月13日【カブール13日共同】

8月20日投票のアフガニスタン大統領選で、同国選挙管理委員会は13日、候補者要件などを審査した結果、現職のカルザイ大統領ら41人の立候補を承認したと発表した。乱戦の様相だが、知名度に勝るカルザイ氏有利の展開となりそうだ。

16日から始まる選挙運動では、選挙ボイコットを表明している反政府武装勢力タリバンの妨害活動が懸念され、駐留外国部隊やアフガン国軍、警察が人員を大幅に増強して警戒に当たる。

選管は有力候補のガニ元財務相やアブドラ元外相も承認。米国も不満を表明しているカルザイ政権の汚職体質を批判し逆転を狙う。44人が立候補を届け出たが、1人が辞退、2人が要件不備で外された。

2004年に行われた同国初の大統領選の立候補者は18人だったが、今回は汚職が多く対米協調路線の現政権に対する国民の不満が募り、増えたとみられる。この結果、カルザイ氏に対する批判票が分散する見込みとなった一方、タリバンによる攻撃対象も増加し、候補者警護が難航する恐れがある。      

アフガンに最大1万人派兵 NATO、大統領選向け
2009年6月13日【ブリュッセル=井田香奈子】

ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)国防相会合は12日、8月20日のアフガニスタン大統領選に向け、NATOが現地で指揮する国際治安支援部隊(ISAF)から8千~1万人の兵士を各地に配置し、治安対策を強化することで合意した。

 選挙に伴う物資の輸送や、選挙監視団の護衛などを担当し、民主的な選挙を後方支援するという。

 アフガン対策を強化する米オバマ政権の約2万1千人の増派方針に対し、欧州のNATO加盟国は撤収・縮小を検討する国が多く、曲折の末、4月の首脳会議で大統領選の特別対応として約5千人の増派に合意していた。 朝日新聞

タリバン系 テロ認める パキスタン 武装勢力掃討の報復
2009年5月29日 東京新聞【バンコク=林浩樹】

パキスタン東部ラホールの治安当局関連施設が狙われ、三百人以上が死傷した二十七日の自爆テロ事件で、同国北西部・部族地域を拠点にするイスラム武装勢力「パキスタン・タリバン運動」の広報官を名乗る男は二十八日、AFP通信に犯行を認めた。国軍が同地域に隣接する北西辺境州スワト地区で展開する武装勢力掃討作戦の報復テロとしている。

広報官は「軍が作戦を継続すれば、政府施設を狙って大規模な攻撃を仕掛ける。市民は街から去るべきだ」と都市部でのテロ攻撃を警告した。AP通信によると、同国の「パンジャブ・タリバン運動」を名乗る組織もトルコのウェブサイトに犯行声明を出したが、詳細は不明だ。また北西辺境州の州都ペシャワルの市場などで二十八日、爆発や自爆テロが相次ぎ、ロイター通信によると、少なくとも市民や兵士ら十三人が死亡、七十人以上が負傷した。

政府は同日、スワト地区の武装勢力指導者ら二十一人の拘束につながる情報提供に賞金を懸けた。米国などが求める同地区武装勢力の完全制圧を目指す構えだが、治安悪化が急激に進む恐れもある。      

パキスタン、核開発の拡大認める 対印抑止力で
2009年5月21日 【イスラマバード21日共同】

パキスタン外務省のバシット報道官は21日の記者会見で、同国がテロ対策などで巨額の国際支援を受けながら核開発施設を拡大し、保有する核兵器の数を増やしているとする米紙報道などについて「南アジアの安定のために核抑止力は不可欠だ」と釈明し、隣国インドに対抗して拡大していることを認めた。

米国は反政府武装勢力を抑え込むため、パキスタンに巨額の支援を継続。最近の武装勢力の拡大を受けて核兵器を奪われる最悪の事態を懸念し、さらに支援を強化している。米政界などから支援が核開発に転用された可能性を指摘する声も出ているが、報道官は「事実に反するプロパガンダだ」と主張した。

18日付の米紙ニューヨーク・タイムズは複数の米政府当局者の話として、パキスタンが保有する核兵器を80-100発に増やしたと報道。これまでパキスタンの保有数はインドと同様の60発程度とされていた。      

パキスタンに1億ドル追加支援 クリントン国務長官発表
2009年5月20日 【ワシントン=村山祐介】

クリントン米国務長官は19日、ホワイトハウスで記者会見し、イスラム原理主義勢力タリバーンとの戦闘が続くパキスタン北西部の避難民向けに食糧など1億1千万ドル(106億円)相当の追加支援をすると発表した。クリントン氏は一方で「米国のこの30年間の対パキスタン政策は支離滅裂と言って差し支えないと思う」と述べ、歴代政権のパキスタン政策を批判した。

 クリントン氏は、米ソ冷戦期の80年代までさかのぼって「パキスタンの治安部隊や軍は米国が育てて資金も供給したが、(98年の核実験に伴う米国などの)経済制裁で民主主義は不安定化し、軍の介入にさらされてきた」と指摘したうえで、「米国には民主的に選ばれた政府を支援する責任がある」と述べ、昨秋に約9年ぶりに発足した文民政権を支える必要性を訴えた。 朝日新聞

アフガン安定に1-2年 米軍トップ、戦闘激化予測
2009年5月19日 【ワシントン18日共同】

米軍制服組トップのマレン統合参謀本部議長は18日、首都ワシントンで講演し、今年夏までに実施する2万1000人規模の米軍アフガニスタン増派で、反政府武装勢力タリバンなどイスラム過激派との戦闘が「さらに激しくなる」と予測、事態改善には「1年か2年」の期間が必要との認識を示した。

マレン議長は、過去3年間でタリバンの再組織化が進み、米軍など駐留外国軍との戦闘やテロが頻発して「流れが非常に悪化した」と指摘。その上で、特に従来は米軍の展開が薄かった南部への1万人規模の増派が、治安改善につながると語った。

また米軍空爆でアフガン市民の死傷が相次いでいる問題について「市民を死なせていてはアフガンで成功できない」と表明。「より慎重でより正確な」作戦遂行に尽力していると訴えた。さらに今年8月に予定されている大統領選挙を公正に実施することが、アフガン安定のため極めて重要だと強調した。      

アフガン下院:外国軍の行動制限など法制度の確立を要求
【ニューデリー栗田慎一】

空爆による民間人犠牲が深刻化しているアフガニスタンで、同国下院がカルザイ政権に対し、外国軍の行動制限や責任などを明確にする国内法制度の確立を求めている。イラクで1月に発効した、米軍駐留の法的根拠などを定めた「地位協定」を想定したもの。アフガンではこうした具体的な取り決めがないことが、民間人犠牲の責任をうやむやにし、誤爆が改善されない原因との指摘が議会内にあるためだ。

 議会関係者によると、新たな国内法案の主な柱は、空爆の中止や、民間人を殺傷した場合の処罰。このほか、バグラム米軍基地での違法な拘束や家宅捜索の禁止、駐留軍の撤退期限の設定などが盛り込まれたという。

 西部ファラ州で今月4日にあった米軍の空爆は、政府によると、死者130人を超え、国内各地で反米デモがわき起こった。カルザイ大統領は9日、米国のテレビとのインタビューで、「空爆はテロとの戦いの効果的な方法ではない。中止すべきだ」と訴えた。

 これに対し、オバマ米大統領の補佐官は10日、「空爆の継続」を強調し、カルザイ氏の要求を真っ向から否定した。11日、アフガン下院議員らは「米国が謝罪にも応じないのは法制度がないからだ」と批判し、「政府は国民への殺りく行為を防ぐため、外国軍を管理する法制度を1週間以内に提示するよう求める」と決議するに至った。

 法制度の取り決めを求める声は、昨年8月に西部ヘラート州で米軍の空爆により市民90人以上が死亡した事件の後にも政府内で議論された。しかし、米軍は「攻撃対象は武装勢力メンバーだった」との姿勢を変えず、空爆を正当化。議論はうやむやになった。

 政府内には、対テロ戦争の主戦場をイラクからアフガンに移すことを決めたオバマ米政権が、軍事作戦の制限につながる取り決めに同意するとは考えられないとの見方が多く、「結局は米国のモラルに頼るしかない」(内務省幹部)のが実情だ。毎日新聞 2009年5月18日

アフガンでも市民射殺 イラクで乱射の米系会社関係者
2009年5月17日【イスラマバード17日共同】

アフガニスタン駐留米軍当局者は17日、イラクで銃乱射事件を起こし、市民を殺害した米系民間警備会社ブラックウオーター(2月に社名を「Xe」に変更)の関係者4人が、アフガンでも市民を射殺したとして捜査を進めていることを明らかにした。ロイター通信が報じた。

当局者によると、4人はアフガン軍の訓練担当者で、今月5日に首都カブールで交通事故に巻き込まれ、接近してきた車両に恐怖を感じて発砲。アフガン人3人を負傷させ、うち1人は2日後に死亡したという。

Xeの広報担当者はロイターに対し、子会社の従業員が勤務時間外に事件に関与したことを認め、4人との契約を解除したことを明らかにした。弁護士によると、4人はカブールで会社の拘束下に置かれているという。

同社の警備員は2007年9月、米外交官の警備中にイラクの首都バグダッドで銃を乱射、市民10数人を殺害する事件を起こした。イラク政府は強く反発し、今年1月に同社の活動免許更新を認めないことを決定、今月イラクでの業務が終了したばかりだった。

米、アフガン空爆停止せず 巻き添えはタリバンに責任
2009年5月11日 【ワシントン10日共同】

ジョーンズ米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は10日の米テレビで、多数の民間人被害が続く米軍のアフガニスタン空爆を停止する考えはないと強調し、市民を「人間の盾」とする反政府武装勢力タリバン側に責任があると指摘した。

米軍空爆で市民が死傷する事件は後を絶たず、カルザイ大統領が空爆停止を求めていた。カルザイ氏は同日放映の米テレビで、被害をなくすため最大限の努力を尽くさねば国民の信頼を失うとあらためて訴えた。

ジョーンズ補佐官は「軍司令官らの選択を制約することはできない」と述べ、空爆の必要性を指摘した上で、民間人被害を防ぐため「努力を倍加する」と約束した。またペトレアス米中央軍司令官は、今月上旬にアフガン西部ファラー州で多数の市民が空爆の巻き添えになった事件について、タリバンが市民を強制的に集めた建物からアフガン軍に攻撃を仕掛けたことが原因だったと説明した。 

外国軍の空爆規制法案、アフガン下院が決議採択
【イスラマバード=酒井圭吾】

アフガニスタン下院は11日、米軍の空爆により西部ファラ州の住民多数が死亡したことで、政府に対し、外国軍の空爆を規制する法案の作成を求める決議を全会一致で採択した。また、AP通信によると、10日には首都カブールで空爆に抗議する大規模な反米デモが行われ、デモ参加者の学生らが「米軍の虐殺は許容できない」と訴えた。

一方、同州で今月上旬、米軍とタリバンが交戦した際、「非人道的兵器」として国際的な批判を浴びる白リン弾が使用された可能性が高まっている。AP通信は、住民14人が被害に遭ったと伝えている。

白リン弾は、人体に触れると高温を発し、燃え上がる兵器。駐留米軍当局者は「白リン弾はタリバンが過去2年間で4回使用した」などと批判。タリバンの報道官も11日、使用を否定する声明を出した。 (2009年5月11日  読売新聞)     

カルザイ氏再選優位か アフガン大統領選 欧米不満も 対抗馬の調整難航
2009年5月9日 東京新聞朝刊【バンコク=林浩樹】

八月二十日投票予定のアフガニスタン大統領選の立候補届け出が八日、締め切られた。再選を狙って着々と足場を固めるカルザイ大統領に対し、反カルザイ派は候補者の一本化調整が難航。米国などアフガン支援国では汚職体質が目立つ「カルザイ体制」への不満がくすぶるものの、現状ではカルザイ氏が優位に立つ公算が大きい。

同氏は昨年からの急速な治安悪化で生じた国民批判を意識し、反政府武装勢力タリバン強硬派との対話を模索する一方、駐留米軍による誤爆を激しく非難。米国と距離を置く形で再選への布石を打ってきた。選挙戦では五年間の復興実績などをアピールする見通し。

AFP通信によると、反カルザイ派では、唯一の全国政党・国民戦線が推すアブドラ元外相や米国に豊富な人脈を持つガニ元財務相らが名乗りを上げた。だが、有力部族による支配体制が続く同国で、民族や地域対立を超えた統一候補となるかは不透明だ。

一方、国内最多のパシュトゥン人のカルザイ氏は、二人の副大統領候補にタジク人のファヒム元副大統領とハザラ人のハリリ現副大統領を指名し、民族バランスを取った。ただ、ファヒム氏は麻薬や兵器密売への関与が指摘される人物。現政権の汚職体質や指導力不足に手を焼く欧米では同氏起用への批判が強く「カルザイ離れ」が加速しそうな気配だ。

ホルブルック米アフガン・パキスタン担当特別代表は米国、アフガン、パキスタン三カ国首脳会談の次回開催をアフガン大統領選後と明言。米国が今後、「親米」大統領誕生を後押しするとの見方も出ている。

外国兵の死者100人に アフガン、過去最悪ペース
2009年5月9日 【カブール8日共同】

アフガニスタンに駐留する国際治安支援部隊(ISAF)は8日、同国南部ヘルマンド州で7日起きた自爆テロで英兵2人と民間人16人が死亡したと発表した。アフガン・イスラム通信は、今年の外国部隊の死者数が100人を超えたと報じた。

2001年の米軍攻撃開始以降、最悪のペース。100人に達したのは過去最多だった08年が6月、07年は7月だった。反政府武装勢力タリバンは南部と東部を中心に攻勢を強めており、首都カブールや北部でも自爆テロや襲撃が増えている。

7日のテロは、市場近くを通行中の外国部隊車両にバイクに乗った男が突っ込み自爆した。ロイター通信は英軍当局者の話として、死亡した英兵のうち1人は英軍に雇われているネパール出身のグルカ兵だと伝えた。             

政府軍が武装勢力掃討作戦 パキスタン和平合意崩壊
2009年5月8日 東京新聞朝刊【バンコク=林浩樹】

パキスタン軍は六日、北西辺境州スワト地区で、アフガニスタンの旧政権タリバンに近いイスラム武装勢力の掃討作戦を始めた。州政府と武装勢力が結んだ同地区の和平合意は事実上崩壊したことになり、戦闘が激化すれば、最大五十万人の避難民が発生したり、報復テロが活発化する恐れがある。

州政府は二月、スワト地区を含むマラカンド地域の司法制度にイスラム法の導入を認める代わりに、同地区での和平を武装勢力と締結した。しかし、武装勢力は支配拡大を狙ってブネル地区など周辺地域に進出。「和平はタリバンの勢力強化につながる」との米国の圧力もあり、国軍は四月下旬に周辺地域で攻撃を開始した。

武装勢力がこれに対抗して、スワト地区の行政庁舎や警察を相次いで襲撃したため、国軍は六日、掃討作戦に着手。AFP通信によると、武装ヘリによる攻撃などでスワト地区で三十五人、ブネル地区で約三十人を殺害した。戦闘に巻き込まれた市民が死傷したとの情報もある。

州当局によると、六日までに約四万人が戦闘地域から脱出。掃討作戦が本格化すれば、最終的に約五十万人の避難民が見込まれ、国民の間に政府批判や反米感情が強まるのは避けられない情勢だ。一方、武装勢力側はブネル地区で市民二千人を“人質”に取るなど徹底抗戦の構え。追い詰められた場合、首都イスラマバードなどの都市部や有力政治家を狙った自爆テロを多発させる恐れがある。      

イスラム武装勢力に和平合意破棄 パキスタン、戦闘激化必至
2009年5月8日 【イスラマバード8日共同】

パキスタンのギラニ首相は7日、国民向けにテレビ演説し、北西辺境州スワト地区のイスラム武装勢力と2月に結んだ和平合意を破棄、攻撃に転じる方針を明らかにした。武装勢力は武装解除の約束を守らず首都に迫り、対テロ戦略上、パキスタンと隣国アフガニスタン情勢の改善を目指す米政府が懸念を表明していた。

パキスタン軍は既に6日に攻撃を開始しており、今後の戦闘激化や報復テロ増加は確実。赤十国際委員会によると、スワト地区の周辺の住民50万人以上が近隣に避難した。現政権による和平破棄は2度目で、テロが増えれば再び和平を模索する可能性もある。

同地区は仏教遺跡が点在するパキスタン有数の観光地だったが、アフガン旧政権タリバンに近い武装勢力が一昨年ごろからイスラム法(シャリア)に基づく司法制度導入を要求し、テロや襲撃を繰り返していた。

武装勢力は2月の和平条件だった司法制度導入が実施されないことに反発し、4月初旬に首都イスラマバードに近い北西辺境州ブネル地区に進出した。      

アフガン攻撃 100人死亡 米軍など 7割民間人か、最悪規模
2009年5月7日 東京新聞夕刊【バンコク=林浩樹】アフガニスタン西部ファラー州で四日から五日にかけて米軍主体の連合軍が空爆や地上作戦を展開し、AFP通信は州警察の話として百人以上が死亡したと伝えた。うち七割以上は民間人の可能性があるという。一回の作戦による死者数としては、二〇〇一年の米軍のアフガン攻撃以来、最悪規模の一つとなった。

 

現地からの報道によると、攻撃対象は反政府武装勢力タリバンが実効支配するバラブルク地区の二つの村。駐留米軍報道官は「武装勢力から攻撃された地元治安部隊の支援要請があった」とAFP通信に語った。治安部隊を襲撃したタリバン兵が潜伏した民家などを空爆したもようだ。 アフガン当局者によると、四日にタリバンが政府協力者と判断した市民三人を処刑した後、治安部隊との間で戦闘になった。

アフガンでは昨年以来、市民がテロや戦闘に巻き込まれるケースが頻発。国連の調査では、昨年の民間人死者数は約二千二百人。このうち約四割が多国籍軍や治安部隊による「誤爆」などで死亡したとされる。

◆武装勢力対策で協力 パキスタンとアフガン首脳 米大統領と会談
【ワシントン=嶋田昭浩】

オバマ米大統領は六日、ホワイトハウスでアフガニスタンのカルザイ大統領、パキスタンのザルダリ大統領と三者会談を行い、国際テロ組織アルカイダやパキスタン北西部で勢力を拡大しているイスラム武装勢力タリバンへの対策などを協議した。会談後、オバマ大統領は記者団に、「かつてない協力関係を前進させることができ、満足している」と語った。

オバマ大統領は「武装勢力が(アフガン・パキスタン)国境地帯を自由に行き来しており(各国間で)情報の共有などを進めなければならない」と指摘。今後、連携して取り組むべき課題が多いとの認識を示した。

ホワイトハウスによると、オバマ大統領はカルザイ大統領との会談の冒頭、アフガニスタン西部で米軍主体の連合軍の空爆により民間人多数が死亡したことに弔意を表明し、事実関係の追求と再発防止に向け、徹底した調査を約束。報道陣にも「民間人の犠牲を避けるため、あらゆる努力をする」と強調した。

クリントン米国務長官も同日「罪のない人の命が奪われるのは痛ましい」と述べたが、オバマ大統領、クリントン長官とも米軍の責任を認める言葉は口にしなかった。

米、アフガン、パキスタン首脳会談 過激派打倒目標で一致
CNN 

オバマ米大統領は6日、アフガニスタンのカルザイ大統領およびパキスタンのザルダリ大統領とホワイトハウスで会談した。オバマ大統領は共同記者会見で、3カ国が主権国家として国際テロ組織アルカイダやイスラム強硬派タリバーンの「阻止、解体および打倒」という共通目標で連携していく方針を示した。

オバマ大統領は、カルザイ・ザルダリ両首脳との会談で、過激派対策の戦略面での連携強化について協議した。オバマ大統領は記者会見で、3カ国の治安がつながっていると指摘。無実の市民を殺害し、民主政権をおびやかしているのはアルカイダやその支持者だとしたうえで、米国が過激派を打倒し、アフガン・パキスタン両国政府を支持する「継続的で不退転の」姿勢であることを表明した。

カルザイ・ザルダリ両首脳も、過激派対策と国内情勢安定化で米国との連携していく方針を表明した。 3カ国首脳会談に先立ち、ヒラリー・クリントン米国務長官は、アフガン・パキスタン両国の外交および国防、情報機関、農業の各当局者らと会談。両国の和平推進に取り組む米政府の意向を反映し、オバマ政権の要職であるホルブルック米特使や米中央軍のペトレイアス司令官、米中央情報局(CIA)のパネッタ長官、米連邦捜査局(FBI)のミュラー長官、ビルサック米農務長官も同席した。

オバマ政権はアフガニスタンに米軍2万1000人を増派するほか、文民増派も実施し、地元の支持基盤が弱いとされるアフガン・パキスタン両国の指導者を支える。米国は両国首脳との会談を通じて、両国を域内のテロ対策における全面的なパートナーとする考えだ。

アフガニスタン:NATO軍空爆でタリバンら約30人死亡
【ニューデリー栗田慎一】

アフガニスタン西部ファラ州当局は5日、4日夜の北大西洋条約機構(NATO)軍による空爆で、市民や武装勢力タリバンのメンバーら計約30人が死亡した模様だと発表した。空爆はタリバンと交戦したアフガン軍を支援するためで、民家も爆撃されたという。戦闘は続いており、ロイター通信によると住民の1人は「双方とも市民の命に関心を払っていない。カルザイ大統領は我々を助けてほしい」と訴えた。毎日新聞 2009年5月5日

パキスタン:難民70万人絶望のふち 国際支援ほぼ皆無
【ニューデリー栗田慎一】

パキスタン軍と武装勢力の戦闘が激化しているアフガニスタン国境地域から、パキスタン国内各地に逃れた避難民が70万人を超え、欧米諸国などへの難民申請者も増え始めている。避難民の一部はアフガン難民キャンプ跡地で暮らすが、国際支援はなく、生活環境は劣悪だ。避難民受け入れについても、各国は「過激派流入」を懸念し難色を示す。米国がパキスタン側に軍事行動の強化を求める中、避難民は絶望のふちにいる。

北西辺境州ペシャワル南郊。07年までアフガン難民6万人がいた同国最大の難民キャンプだったカチャガリ・キャンプは今年、ビニールシートで覆っただけの仮設テントが並ぶパキスタン避難民キャンプとなった。避難民のラフマンさん(40)は毎日新聞助手の取材に、「カナダ大使館に難民申請をしたが、だめだった」と肩を落とした。

最近の戦闘激化は、政府と同州スワート地区の武装勢力とが締結した和平協定の順守事項を巡る対立が原因だ。反発した武装勢力が勢力を広げ、政府軍が26日に地区外に限定した攻撃に乗り出し、避難民は続出した。同州政府によると、スワート地区や近隣地区の避難民は1日までの6日間で約2万5000人。ロバやトラックに家財道具を積んだ住民らが都市部へ流入している。この結果、米軍がミサイルを撃ち込む部族地域からの避難民50万人と合わせ、国内避難民は70万人を超えた。

避難民のうち約20万人は州内の複数の元アフガン難民キャンプに収容された。しかし、アフガン難民と違い国際社会の支援は皆無に近い。残る約50万人は、路上生活をするか親類宅に身を寄せているが、国内経済の悪化で仕事はなく、貧困のどん底であえいでいる。このため難民申請者が増え、政府関係者は「カナダやオーストラリア、ニュージーランドへの渡航希望が多い。しかし、どの国も過激思想の流入を懸念している」と指摘した。

違法な難民ビジネスも増えており、政府は警戒感を募らす。01年までアフガン難民300万人以上を抱えた世界最大の難民受け入れ国だったパキスタンは、「難民流出国」に転じようとしている。毎日新聞 2009年5月1日

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Wednesday, March 11, 2009

ソマリアの「海賊」問題 資料3

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海賊対処法で警護開始 ソマリア沖、海自護衛艦
2009年7月29日

ソマリア沖の海賊対策に第2次部隊として派遣された海上自衛隊の護衛艦「はるさめ」(4550トン)と「あまぎり」(3500トン)が28日深夜(現地時間同日夕)、アデン湾で、新法「海賊対処法」に基づき初めての警護任務を開始した。

3月末から自衛隊法の海上警備行動に基づき活動してきた護衛艦「さざなみ」(4650トン)など2隻は8月中旬にも帰国する。

24日に施行された海賊対処法は、海警行動で認められない日本に関係のない外国船にも警護対象を拡大。武器使用基準を一部緩和し、警告射撃などにもかかわらず民間船に接近する海賊船への射撃を容認した。

警護対象の拡大や武器使用基準の緩和で、初の海外での武器使用に踏み切る可能性もあるが、防衛省は「これまで通り、民間船に海賊を近づけない『抑止と排除』が作戦の柱」としている。
防衛省によると、海賊対処法に基づく初任務の警護対象はタンカーなど5隻で、うち2隻は外国船。船団を組み、前後を護衛艦が挟む形でアデン湾を通過する。

第1陣のさざなみなど2隻は3月30日から海警行動に基づき任務を始め、計41回、延べ121隻の日本関連船舶を警護した。一方で海警行動では警護対象外の外国船も船員法の「人道的措置」を根拠に6回救助。「グレーゾーン」でのなし崩し的な任務拡大を懸念する声が上がっていた。 (共同)

海賊対処措置、24日に命令 護衛艦、29日にも任務開始
2009年7月23日

政府は23日、アフリカ東部ソマリア沖海賊対策で派遣した護衛艦などの活動根拠について、自衛隊法に基づく海上警備行動から6月成立の海賊対処法に切り替え、29日にも同法に基づく活動を開始する方針を固めた。

24日午前に活動海域や期間などを定めた対処要項を閣議決定し、浜田靖一防衛相が自衛隊に対処措置を命令。護衛対象は日本に関連のない外国船にも広がり、武器使用基準も一部緩和される。

海上自衛隊の護衛艦2隻は、3月30日から日本関連船の護衛を開始。6月11日からは、海自のP3C哨戒機2機による上空からの警戒監視も実施し、7月22日までに計41回121隻を護衛した。

これとは別に、対象外の外国船も6回救助。不審船にサーチライトを照射したり「長距離音響発生装置」で大音量を浴びせたりして追い払った。防衛省は船員法の「人道的措置」を根拠としてきたが、海賊対処法で対象が拡大し「グレーゾーン」は解消。警告射撃などにもかかわらず民間船に接近を続ける海賊船への船体射撃も認められることになった。 (共同)

ソマリア AU平和維持部隊も交え戦闘、43人死亡
2009年7月12日【ナイロビ=古谷祐伸】asahi.com

ソマリアからの報道によると、首都モガディシオで12日、暫定政府軍とイスラム武装勢力との間で戦闘が起き、双方で少なくとも43人が死亡した。駐留するアフリカ連合(AU)の平和維持部隊も、暫定政府側に立って戦闘に加わったという。

 ロイター通信などによると、ソマリア南部を実質支配する武装勢力「シャバブ」が暫定大統領官邸から約1キロの地点まで侵攻したため、戦闘になった。暫定国会の議員によると、死者はシャバブ側が40人、暫定政府軍側が3人という。

 AP通信によると、AU部隊の戦闘参加は07年3月の駐留開始以来初めて。AU部隊は、無政府状態が続くソマリアで正式政府の樹立を目指す暫定政府を支援するため、大統領官邸の警護などに就いている。自衛にしか武力は使えず、今回は「部隊が直接の危機にさらされたため」(AU部隊報道官)としている。

海賊対処法成立 国際連携強化へ重要な一歩
(6月20日付・読売社説)
       
ソマリア沖の海賊対策で、日本が国際的な連携を強化するための重要な一歩である。
海賊対処法が成立した。来月中に、海上自衛隊の艦船2隻が日本を出航し、自衛隊法の海上警備行動に基づきソマリア沖で警護活動中の艦船2隻と交代する予定だ。

もともと現行法による警護活動は応急措置だった。新法の成立により、海自は、日本関係船舶だけでなく、外国船舶の警護ができるようになる。正当防衛などに限定されていた武器使用権限も拡大する。民間船舶につきまとい、著しく接近する不審船に対し、船体射撃で危害を加えることが可能になる。

現在は、外国船から救援を要請された場合、船員法を根拠に、大音響発生装置やサーチライトで不審船を追い払うなど、綱渡りの対応を迫られている。様々な制約を解消する意味は大きい。

海洋国家の日本が、重要な海上交通路(シーレーン)の安全を自ら確保するのは当然のことだ。海自は、国際社会の共通の脅威である海賊の被害を減らすため、20か国以上の関係国と協調し、着実に活動を展開してもらいたい。ただ、現地の海賊被害は今年、142件に上り、既に昨年1年間を約3割も上回っている。

艦船の警護が手薄なソマリア東方沖での襲撃が増加した。北方沖のアデン湾でも、艦船の通過後に船舶を襲うなど、「国際社会対海賊」の知恵比べの様相を呈している。三十数隻という限られた艦船と数機の哨戒機で、年間2万隻近くが航行する広大な海域をいかに守るのか。国際連携で、より効率的な活動を目指すことが大切だ。

海自のP3C哨戒機2機が今月11日、ジブチを拠点としてアデン湾上空での警戒監視活動を開始した。これを受けて、フランスやスペインの哨戒機が監視海域をアデン湾から東方沖に移すことを検討しているのは、その一例だ。中長期的には、アデン湾周辺国の海賊取り締まり能力を強化するとともに、破綻(はたん)状態にあるソマリアの警察・司法機能を回復させることが課題となる。それなしに、ソマリア沖の海賊問題の抜本的な解決はあり得ない。

日本は、イエメンやオマーンの沿岸警備隊員の研修を実施している。巡視船の供与の可能性を探るため、イエメンとジブチには調査団を派遣した。政府開発援助(ODA)を活用し、こうした分野の支援に引き続き積極的に取り組むべきだ。

海賊対策法根拠に7月下旬始動 自衛隊2次隊
2009年6月19日

海賊対処法の成立を受け、浜田防衛相は19日、自衛隊に準備指示を出した。現在は自衛隊法に基づく海上警備行動で派遣されているが、浜田氏は、新法をもとに「海賊対処行動」を発令し、活動期間や部隊編成などを定めた「対処要項」を作る。2次隊は月内にも日本をたち、7月下旬に現地で新法に基づいた活動を始める。その後、首相が国会に事後報告する。

 派遣根拠が新法に切り替わることで、護衛対象は「日本関係船舶」から、外国船を含むすべての船舶に拡大される。また、海賊罪が新設され、海賊行為の目的で船舶に接近したり、凶器を準備して航行したりする海賊を逮捕できるようになる。武器使用権限も拡大され、海賊が停船命令に応じない場合の船体射撃も可能となる。

 ただ、防衛省は、警告を発して海賊を追い払うことで被害を抑止するという従来の護衛方法を継続する方針で、積極的な取り締まりは想定していない。
 一方、現実に海賊を逮捕した場合の対処は事実上、「現場任せ」とされており、課題として残る。
 仮に、日本人が殺されたりすれば、海賊の身柄を日本に護送し、日本の司法手続きに従って対応する。海上保安庁は22日にソマリアの隣国ジブチに航空機を派遣し、逮捕した海賊の身柄を日本に移送するための訓練を行う。

 それ以外のケースでは、(1)被害にあった船舶の当事国への引き渡し(2)ケニアなど周辺国への引き渡し――が想定される。どれを選択するかは「ケース・バイ・ケース。指揮官がその時の最善の方法をとる」(海自幹部)といい、手探りの対応になる。英国などは、海賊の身柄を引き渡すための覚書をケニアと結んでいるが、外務省によると覚書がなくても受け入れは可能だという。(石松恒)  アサヒ・コム

米巡視船の派遣 政府「把握せず」 ソマリア沖
2009年5月29日 東京新聞

自衛隊による海賊対策を随時可能とする海賊対処法案を審議する二十八日の参院外交防衛委員会で、米国が巡視船をソマリア・アデン湾の海賊対策に派遣している事実を日本政府が把握していなかったことが分かった。

米沿岸警備隊のホームページによると、米国はソマリア沖に海軍のほか巡視船も派遣している。ところが、外務省の梅本和義北米局長は「沿岸警備隊が出ているとは聞いたことがない」と答弁。ホームページを確認後、梅本氏は「逐一フォローしていなかった」と弁明した。

海賊対処法案では、海賊対策は一義的に海上保安庁の役割と定めている。同省のお粗末な対応ぶりに、野党議員からは「やはり自衛隊派遣ありきの法案では」との批判も。

海賊対策のP3Cが出発 初の海外派遣、船舶警護へ
2009年5月28日

ソマリア沖の海賊対策で、自衛隊法の海上警備行動に基づき船舶の警護に当たる海上自衛隊のP3C哨戒機2機が28日、神奈川県の海自厚木基地を出発した。

P3Cが実際の任務で海外派遣されるのは初めて。活動拠点のアフリカ・ジブチ空港に到着後、訓練をした上で6月中にも、既に活動中の護衛艦2隻とともにアデン湾を航行する日本関連船舶の警護を開始。上空から収集した不審船情報などは外国軍にも提供する。

出発に先立ち、厚木基地では家族ら約700人が参加し式典を実施。北村誠吾防衛副大臣は「空からの広域な警戒監視や情報収集は極めて重要。立派に任務を遂行してほしい」と訓示した。

アデン湾では護衛艦「さざなみ」と「さみだれ」が、タンカーや貨物船と船団を組んで航行。護衛艦の搭載ヘリコプターが上空から海賊船を警戒しているが、「早期発見による抑止と排除」を重視する海自は、より長時間の飛行が可能で、攻撃を受けにくい安全な高度から広い海域を監視できるP3Cを派遣することにした。

P3Cの派遣部隊は海自隊員約100人と、ジブチ空港で機体の警備などに当たる陸自隊員約50人。護衛艦部隊と合わせると500人以上が海賊対策に従事することになる。 (共同)      

海賊対処法案:参院で審議入り
2009年5月27日

 東アフリカ・ソマリア沖の自衛隊による海賊対策の新たな根拠となる海賊対処法案は27日午前、参院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。現地では3月30日から、自衛隊法82条の海上警備行動に基づき、護衛艦2隻が活動を始めている。新法では警護対象を他国の船にも拡大し、武器使用基準を緩和する。

 衆院では、自民党と民主党が法案の修正協議を重ねたが決裂。法案は4月23日、与党の賛成多数で可決され、衆院を通過した。両党は参院でも修正協議を始めるが、歩み寄りは難しいと見られる。【仙石恭】毎日新聞

ソマリア戦闘激化、反政府勢力が拡大 首都63人死亡
2009年5月25日 朝日新聞【ナイロビ=古谷祐伸】

5月に入り、ソマリアの首都モガディシオで暫定政府とイスラム系反政府武装勢力との戦闘が激化している。武装勢力が徐々に勢力圏を広げるなか、暫定政府側が22日に反撃。ロイター通信によると、24日は警察本部前で自爆テロがあり、警官ら7人が死亡した。この3日間の死者は住民を含めて63人に上っている。

 戦闘は7日から断続的に続いている。武装勢力は、同国南部を支配する「シャバブ」と「ヘズブ・イスラム」で、連携して攻撃を強めている。犠牲者はこれまでに約200人に達しているという。国連難民高等弁務官事務所によると、戦闘を逃れて約5万7千人が首都を出た。

 今年1月に発足したアフメド暫定大統領政権は首都の一部しか直接支配しておらず、これまでにない危機に直面している。暫定政府は、エリトリア政府が武装勢力に武器を与えていると批判している。

海賊対策:EU、NATOが連携強化へ 作戦海域を拡大
【ブリュッセル福島良典】

欧米諸国がソマリア沖に出没する海賊を取り締まる海上軍事作戦を拡大、強化する構えを見せている。欧州連合(EU、加盟27カ国)は18日、作戦海域を現在のソマリア沖とアデン湾から南方の西インド洋上セーシェル沖にまで拡大することで基本合意に達した。北大西洋条約機構(NATO、加盟28カ国)も長期作戦の立案に取りかかっており、EUとの連携を強化する方針だ。

 EUは昨年12月、NATOの作戦を引き継ぐ形で、ソマリアに人道支援物資を運び込む世界食糧計画(WFP)の貨物船や、アデン湾を航行する一般商船の護衛にあたる初の海上作戦「アタランタ」を開始した。EU加盟12カ国が作戦に加わり、今月13日までに52人の海賊を拘束、うち38人をEUが拘置・訴追協定をむすんでいるケニアに引き渡した。

 国際海事局(IMB)海賊情報センターによると、ソマリア沖とアデン湾での海賊行為は今年に入ってから、すでに昨年1年間(111件)を上回る114件に達しているが、乗っ取られた艦船数は昨年(42隻)よりも少ない29隻にとどまる。だが、海賊は監視の手薄な南方洋上に活動範囲を拡大しており、「ソマリア沖から600カイリ(約1100キロ)離れた洋上にも出没している」(EU艦隊のフィリップ・ジョーンズ司令官)。

 このため、EUは18日にブリュッセルで開いた国防相会議で対応を協議した。スペインのチャコン国防相によると、加盟国国防相は
(1)作戦海域をソマリア沖・アデン湾からセーシェル沖にまで拡大する
(2)海上・航空監視能力を強化する
(3)今年末までの作戦期間を延長する--必要があるとの認識で一致した。

 一方、NATOが今年3月に再開した海賊摘発作戦にはスペイン、ポルトガル、オランダ、カナダ、米国の5隻が参加している。NATOは現在の作戦期限が6月末に切れるのを見据え、長期的な海上作戦の実施に向けて準備を進めている。

 だが、海賊行為は「ソマリアの不安定と貧困の表れ」(アパスライNATO報道官)だ。EUは海上作戦だけでは海賊根絶は困難として、ソマリア暫定政府に対する支援を強化。「6000人規模のソマリア治安部隊を隣国ジブチで育成、訓練する」というフランス提案の検討を始めた。毎日新聞 2009年5月21日

海賊対策:空自C130、ジブチへ 小牧基地を出発
 
東アフリカ・ソマリア沖海賊対策で海上自衛隊のP3C哨戒機が派遣されるのに伴い、航空自衛隊のC130輸送機1機が18日、愛知県小牧市の小牧基地で装備品などを積み込み、ソマリアの隣国・ジブチに向けて出発した。空自のC130輸送機の海外派遣は昨年末に終了したイラク復興支援派遣活動以来。

今回の派遣はP3C哨戒機2機と海自隊員約100人に加え、同機の拠点となるジブチ国際空港の警戒にあたる陸上自衛隊員約50人。C130輸送機には現地で必要な通信機材や資材などが積み込まれ、陸自隊員4人も同乗した。

同基地からは5カ月ぶりの海外派遣。基地隊員を中心に陸海空の隊員約900人が見送った。C130輸送機はジブチで荷物を降ろして帰国する。今後も随時、輸送任務にあたる。毎日新聞 2009年5月19日 

ソマリア沖派遣 陸自50人出陣式 幕僚長「国益に直結」
2009年5月17日 東京新聞朝刊

ソマリア沖の海賊対策で、海上自衛隊のP3C哨戒機を警護するため派遣される陸上自衛隊中央即応連隊の出陣式にあたる編成完結式が十六日、宇都宮駐屯地(宇都宮市)で行われた。 派遣される隊員は約五十人。

海外活動では、初めて海自との間で編成する統合任務部隊に組み込まれる。ソマリア沖のアデン湾を哨戒するP3Cが、アフリカのジブチ空港を拠点にするため、陸自は空港で機体の警護にあたる。先遣隊は十八日に出発する。

式典の訓示で、火箱芳文陸上幕僚長は「国益に直結した派遣」とし、「米軍、仏軍と情報を交換し、他国のノウハウを取り込むことが可能になる。他国駐留軍との関係強化からも重要」と派遣の意義を強調した。派遣部隊トップの波多野武三佐は会見で、「国際活動は本来任務。淡々と遂行する」と述べた。

今回の派遣は陸自単独の部隊編成ではないため、隊旗授与式もなく、式典はわずか二十分で終了。国会議員の出席もない地味な式典となり、かえって海外活動が常態化したことをうかがわせた。      

海賊対策 哨戒機初の派遣命令
2009年5月15日 東京新聞夕刊

浜田靖一防衛相は十五日午前、ソマリア沖・アデン湾の海賊対策で、自衛隊法の海上警備行動に基づき、海上自衛隊の哨戒機P3C二機を拠点となるジブチに派遣する命令を発令した。同時に哨戒機を警備するためとして、陸上自衛隊の部隊も現地に派遣する。

海上警備行動について、自衛隊法では「海上において必要な行動をとる」と定める。国外での陸上警備にも海上警備行動を適用したことについて、防衛省は「海上において必要な行動への後方支援だ」と説明している。

哨戒機は二十八日に、厚木基地を出発。六月上旬から任務に就く。実任務で哨戒機が海外に派遣されるのは初めて。哨戒機を警備するのは、海外活動を専門とする中央即応集団直轄の中央即応連隊(宇都宮駐屯地)。二〇〇八年三月の新規編成から実任務は初。哨戒機はジブチの民間空港内に駐機される計画で、外国の主権の及ぶ一般地域での警備を目的に陸自が派遣されるのも初めてとなる。

派遣人員は計約百五十人で、うち陸自要員は約五十人。航空自衛隊も人員や物資を日本から空輸する。哨戒機はアデン湾を監視し、日本船舶向けに情報提供する。

政府対応の是非触れず

<解説> 防衛省が十五日、公表した報告書「北朝鮮によるミサイル発射について」。飛距離が延びたことを理由に「国際社会に不安定をもたらす」と警戒感を強めたが、日本政府がとった対応の是非には触れなかった。

政府は北朝鮮による「人工衛星」の発射予告に対し、日本に落下した場合に備え「破壊措置命令」を出した。北朝鮮が公表した飛行経路の秋田、岩手両県に地上発射型迎撃ミサイル「PAC3」が配備された。これは北朝鮮の情報を信用していたことを意味する。

だが、PAC3は秋田、岩手から五百キロ以上離れた首都・東京にも配備された。なぜ東京への配備が必要だったのか、また、PAC3が発射された場合、迎撃して破片が飛び散る範囲はどこまでか、失敗する確率はどの程度か、説明はなかった。

報告書によると、「ミサイル」は日本列島の上空三百七十キロから四百キロを飛び越えたとされる。日本海に配備されたイージス護衛艦が発射する迎撃ミサイル「SM3」が届く距離ではなかった。高度は発射直後に判明したが、明らかにされず、国民の不安感だけが取り残された。

「万万が一の場合」(河村建夫官房長官)に備えたというが、政府は韓国が今年七月に打ち上げ、九州南西部から沖縄本島の上空を通過する人工衛星は、静観するという。

報告書は北朝鮮による今回の発射が日本まで届く中距離弾道ミサイルの技術を進展させたとして、警戒感を打ち出した。今年、改定される「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」にPAC3の追加購入を盛り込む「露払いになる」との見方も出ている。 (編集委員・半田滋)      

ソマリア海賊、海外に拠点 英紙など報道 海運業界から情報入手
2009年5月14日 東京新聞朝刊【ロンドン=星浩】

ソマリア沖のアデン湾やインド洋で通過船を襲う海賊が、国際海運業界の内部から標的船の情報を入手している恐れがあることが分かった。欧州の複数のメディアが報じた。欧州の軍事情報機関の内部報告書を入手したスペインのラジオ局カデナSERなどによると、昨年起きたスペインの漁船強奪など三つのケースでは、海賊は襲った船の内部構造や寄港先、行き先などを事前に詳細に把握していたという。

国際海事局(IMB)の本部があるなど国際海運の一大拠点であるロンドンに“コンサルタント役”を抱える海賊グループがあることも判明。英国関連の船が海賊の被害を受けにくいのは、コンサルタント役が英警察当局に把握されるのを避けるためではないかとみられているという。

英紙ガーディアンはまた、海賊と身代金交渉をしたトルコの海運会社幹部の話として、海賊がスエズ運河の当局者からも通過情報を得ている可能性があると指摘している。

海賊は年間八千万ドル(約七十六億円)とされる身代金の処理などでも国際ネットワークを築いているもようで、英紙インディペンデントは、アラブ首長国連邦(UAE)の銀行口座が資金洗浄に使われていると報じている。      

暫定政府と武装勢力、首都で戦闘…113人死亡
【ヨハネスブルク高尾具成】

ソマリアの首都モガディシオで7日以降、暫定政府側と反政府武装勢力との戦闘が続いている。AP通信は12日、10日以降の3日間で少なくとも113人が死亡、避難民は2万7000人以上に上ると伝えた。

 戦闘は、暫定政府軍や政府軍支持の武装勢力と、急進的な反政府武装勢力「アルシャバブ」
などとの間で続いており、AFP通信によると10日午後には礼拝中のモスク(イスラム礼拝堂)に迫撃砲が撃ち込まれ、少なくとも14人が死亡した。

 ソマリア暫定政府は1月末、辞任したユスフ大統領の後任に、かつてのイスラム系反政府勢力指導者のアハメド師を選出。4月には反政府勢力が主張するイスラム法「シャリア」の再導入を受け入れたが国内を掌握しきれていない状態だ。中・南部地域を中心にアルシャバブが支配地域を拡大している。

 アルシャバブは、イスラム系反政府勢力「イスラム法廷会議」の残存勢力を中心に組織され、国際テロ組織アルカイダとの関連も指摘されている。米国はアルシャバブ指導者に対し、制裁措置を発動している。

 4月にはブリュッセルで国連などが主催するソマリア支援の国際会議が開催され、参加国がソマリア治安機構とアフリカ連合ソマリア・ミッションに対し、2億1300万ドル(約204億円)の支援を決めたばかり。毎日新聞 2009年5月13日 

ソマリアの首都で戦闘、65人が死亡
2009年5月11日【ヨハネスブルク=古谷祐伸】朝日新聞

アフリカ東部ソマリアの首都モガディシオで7日から暫定政府側と反政府武装勢力との戦闘が激化し、ロイター通信によると10日までに65人が死亡、約200人が負傷した。1月のアフメド大統領就任後、最大の被害になった。

 戦闘は、暫定政府軍や暫定政府を支持するイスラム勢力の戦闘員と、反政府武装勢力シャバブなどの間で続いている。AFP通信によると、10日には昼の祈りの時間帯にモスクに迫撃砲が撃ち込まれ、14人が死亡した。

 主要な氏族の代表者らで作る暫定政府は1月末、かつてのイスラム系反政府勢力の指導者アフメド氏を大統領に選んだ。4月にソマリア支援国会合が開かれ、先進諸国などが2億1300万ドル(約210億円)の支援を決めた。シャバブなどは、こうした動きに反発し、攻勢を強めているとみられている。

「国境なき医師団」のスタッフ2人無事解放 ソマリア
2009年4月29日【ナイロビ=古谷祐伸】朝日新聞

ソマリア中部で19日に誘拐された国際NGO「国境なき医師団」の外国人スタッフ2人が28日、ソマリア南西部で無事解放された。

ロイター通信などによると、2人はオランダ人とベルギー人。車で移動中、道をふさいだ20人以上の武装集団に誘拐された。犯人側は100万ドル(約9600万円)の身代金を求めたが、地元を支配するイスラム武装勢力「シャバブ」の指導者らが交渉し、無条件で解放させたという。シャバブは暫定政府に反発し、ソマリア南部や中部の大部分を支配している。

ソマリア首都、国会狙う迫撃砲攻撃 住民ら8人死亡
2009年4月27日【ナイロビ=古谷祐伸】朝日新聞

ソマリアの首都モガディシオで25日、暫定政府の国会を狙ったとみられる迫撃砲の攻撃があり、近隣住民や警官計8人が死亡した。国土の大部分を支配するイスラム武装勢力の攻撃との見方が強い。

ロイター通信によると、25日正午ごろ、審議中の国会を狙ったとみられる複数の迫撃砲弾が発射された。犠牲者には子ども4人が含まれているという。議員は無事だった。 国会は従来、暫定政府の拠点だった南部の町バイドアに

 ソマリア海賊対策、補正予算で40億円拠出へ

政府はアフリカ・ソマリア沖の海賊対策として、27日に閣議決定される2009年度補正予算案に、約40億円を盛り込む方針を固めた。ソマリア沖では、昨年を大幅に上回るペースで海賊事件が発生しており、ソマリアの治安回復と周辺国の海上保安能力向上の支援が必要と判断した。

ソマリア沖では、今年に入って既に87件(22日現在)の海賊事件が発生。昨年1年間の発生件数は111件で、状況悪化が顕著だ。今回の措置では、ソマリアの治安・人道支援として20億円超を支出するほか、海賊対策でソマリア周辺国の連携調整にあたっている国際海事機関(IMO)に十数億円を拠出する。拠出金は周辺国のイエメン、ケニア、タンザニアに設置される海賊情報共有センターの運営経費や、周辺国の海上保安担当者の能力向上のためのセミナー開催などに充てられる。

一方、このほかにも、政府は海賊対策として、イエメン、ジブチ両国への巡視艇の供与などの検討を進める考えだ。(2009年4月26日 読売新聞

ソマリア沖のNATO艦隊、海賊対策任務を延長
【ブリュッセル=尾関航也】

北大西洋条約機構(NATO)は24日、大使級の理事会を開き、ソマリア沖で海賊対策にあたっているNATO艦隊の任務を、6月20日まで延長することを決めた。作戦は3月下旬から1か月間の予定だったが、海賊による商船襲撃の多発を受け、各地の親善寄港の予定を取りやめて海域にとどまることにした。艦隊には米国、カナダ、ドイツ、オランダ、スペイン、ポルトガルの6か国が参加している。(2009年4月25日 読売新聞)

ソマリア治安対策に230億円拠出へ…30か国・機関
【ブリュッセル=尾関航也】

ソマリア沖の海賊被害の根本的解決を目指すソマリア支援会議が23日、ブリュッセルで開かれ、参加した約30か国・機関は、ソマリア本土の治安対策費として、今後1年間で総額2億3000万ドル(約230億円)を拠出する意向を表明した。

日本からは橋本聖子外務副大臣が出席し、治安・人道対策として新たに20億円超の支援を行う方針を示した。欧州連合(EU)は7200万ユーロ(約90億円)の拠出を誓約した。資金は、アフリカ連合(AU)平和維持部隊の活動や、ソマリア暫定政府直轄の治安部隊と文民警察の増強に使われる。(2009年4月24日 読売新聞)

7月にも部隊入れ替え=海賊対策、武器基準緩和に対応

政府は23日、海賊対処法案の成立にめどが立ったことを受け、7月にも海上自衛隊の第2陣をアフリカ・ソマリア沖に派遣する方針を固めた。活動の根拠法が変わることで「現場が混乱する可能性がある」(防衛省幹部)と判断。現在活動中の第1陣は、新法成立後も自衛隊法に基づく活動にとどめ、新法に基づく訓練を受けた第2陣の到着を待って任務を交代する。

海賊対処法案は、停船命令に従わない海賊船への船体射撃ができることや、外国船舶も保護対象となる点が自衛隊法と大きく異なる。与党は同法案を衆院で3分の2以上で再可決して成立させる方針。野党が参院での採決を引き延ばしても、憲法の「60日ルール」を適用し、遅くとも6月下旬には成立する。 

同省は参院での審議をにらみながら、どういう状況なら船体射撃が可能かなど、具体的な判断基準を定めたマニュアル作りを急ぐ。その後、速やかに第2陣として現地に向かう海自隊員への教育や訓練を開始する。

これに関連し、増田好平事務次官は23日午後の記者会見で、「自衛隊による海賊対処は、新法を整備しての対応が基本だ」と述べ、十分な準備期間を確保するため、同法案の早期成立を訴えた。(2009/04/23 時事

ソマリア支援に208億円 統治回復目指し国際会議
2009年4月24日 【ブリュッセル23日共同】

海賊や外国人誘拐などの事件が続発しているソマリアの統治回復を目指し、国連と欧州連合(EU)、アフリカ連合(AU)などはブリュッセルで23日、支援国会議を開き、欧米やアラブ諸国など計約30カ国が総額2億1300万ドル(約208億円)の追加支援を表明、閉会した。

日本の橋本聖子外務副大臣は、会議では「早期にできる限りの追加拠出を行う」と述べるにとどめたが、記者団に対し、治安対策や若者の雇用確保のため、20億円以上の追加支援を検討していることを明らかにした。

相次ぐ海賊事件に国際的な懸念が強まる中、ソマリア暫定政府のアハメド大統領は会議後の記者会見で「国際社会とソマリアが統治再建という目標を共有した」と述べ、各国の支援に謝意を示した。国連の潘基文事務総長は「ソマリアの無法状態を終わらせない限り、海賊問題は解決しない」と指摘し、各国に継続的な関与を要請した。

EU欧州委員会は6000万ユーロ(約76億円)、ベルギーは150万ユーロ(約2億円)の拠出を表明。ミシェル欧州委員(開発・人道援助担当)は閉会前、総額2億5000万ドルの支援が集まったと発表していたが、今回の会議で最終的にまとまった2億1300万ドルは未確定の支援額を差し引いた額とみられる。

1990年代初頭から内戦が激化し、中央政府の統治体制が崩壊したソマリアには、国連安全保障理事会決議に基づき、一時は米軍などの国連平和維持活動(PKO)が展開したが、95年に全面撤退。2007年以降、AUのPKO部隊として、ウガンダとブルンジの計約4300人が展開している。      

ソマリア沖海賊:「中央即応連隊」派遣へ 会見で陸幕長

陸上幕僚監部の火箱芳文・陸上幕僚長は23日の記者会見で、東アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、派遣予定の海上自衛隊のP3C哨戒機の警備や拠点施設の管理のため、緊急事態や国際平和維持活動(PKO)に対応する精鋭部隊「中央即応連隊」(宇都宮市)を派遣する方針を明らかにした。同部隊の海外派遣は初めて毎日新聞 2009年4月23日 

海賊対処法案、衆院を通過 首相は海自の抑止力強調
2009年4月23日朝日新聞

ソマリア沖・アデン湾での海上自衛隊による海賊対策の新たな根拠法となる海賊対処法案は23日の衆院本会議で、自民、公明両党の賛成多数で可決された。民主、共産、社民、国民新各党は反対した。民主党はこれに先立ち、国会の事前承認を義務づける修正案を衆院海賊・テロ特別委員会に提出したが、否決された。

衆院特別委は同日午前、麻生首相ら関係閣僚が出席して締めくくり質疑を行った。 首相は海自派遣の意義について、「強盗している最中にお巡りさんの制服を見たら逃げるのが通常だ。海の上でもほぼ同じ効果がある」と抑止力を強調。国会関与についても「(警察活動としての)海上警備行動が基本。海の上の強盗みたいなものに対処するにあたり、事前の国会承認はいらない、武器の使用を伴うにしろ、というのが考え方の基本にある」とし、政府案の国会報告で問題ないとの認識を示した。自民党の中谷元、民主党の長島昭久両氏の質問に答えた。 同法案は同日午後の衆院特別委で与党の賛成多数で可決された。衆院本会議に緊急上程、採決された。

海賊対処法案をめぐっては、海自の活動は警察活動の一環で国会承認は不要とする与党と、国会の事前承認を求める民主党が対立。修正協議を続けたが、溝が埋まらず、与党は政府案のままでの採決を決めた。ただ、民主党は参院審議を長期化させない方針。法案が参院で否決されても、衆院の3分の2以上の賛成で再可決され、今国会で成立する見通しだ。

ソマリア支援で27億円使途不明
2009年4月23日 東京新聞

衆院海賊対処特別委員会で二十二日、「国連ソマリア活動」に支出された約二十七億円の使途が不明になっていることが取り上げられた。一九九三年度版の外務省所管歳出決算報告書にある「経済協力国際機関分担金」のうち約二十七億円をソマリア支援に「流用」した、との記載を基に社民党の保坂展人衆院議員が使途を追及した。

しかし、外務省は明確な回答ができず、中曽根弘文外相が「きちんと調べて報告したい」と答弁した。外務省は当時の資料の調査を始めた。保坂氏は「国会のチェックを経ずに、外務省の判断で流用したので、分からなくなっているのではないか」と指摘した。      

海賊法案の修正協議決裂 23日衆院委採決、成立の公算
2009年4月22日

衆院海賊対処特別委員会の筆頭理事を務める自民党の中谷元、民主党の鉢呂吉雄両氏は22日断続的に、海賊対処法案の修正協議を行ったが、自衛隊派遣に際しての国会事前承認などで折り合わず、決裂した。

政府、与党は23日に麻生太郎首相の出席を求め、質疑を行った後に政府案を原案通り採決し、週内に衆院通過を図る方針だ。民主党参院幹部は「法案の成立阻止は考えていない」と述べ、一定の審議を経た後に参院での採決を容認する考えを示した。参院で否決されても、衆院の再議決により今国会で成立する公算となった。

修正協議では、民主党が求める自衛隊派遣の際の国会事前承認と、海賊対処本部の設置について自民党が妥協案を提案したが、民主党は受け入れなかった。自民党も民主党案のままの修正には応じず、交渉はまとまらなかった。 (共同)

ソマリア対策 海賊根絶へ政府支援 きょう国連が会議で要請へ
2009年4月22日 東京新聞【ロンドン=星浩】

被害が続くソマリア沖の海賊の根絶に向けた国連主催のソマリア支援会議が二十二、二十三日、ブリュッセルで開催される。根本的な海賊問題の解決のためには、ソマリアの安定化が不可欠で、同国暫定政府は国際社会に軍事力強化の協力を求めている。

ソマリア沖では現在、日本の海上自衛隊を含む十七カ国の艦船が海賊対策の作戦を行っているが、これはあくまで「対症療法」。海賊の出撃基地を押さえるのが重要で、昨年十二月には外国軍の陸上攻撃を認める新安保理決議が採択された。だが、一九九〇年代から内戦が続くソマリアで外国軍が陸上攻撃を実施すれば、イスラム急進派に「聖戦」の口実を与え、事態は悪化しかねない。新決議を提案した当の米国も実施には否定的だ。

現実的な対処は、西側主要国が支持するソマリア暫定政府の治安能力強化。ロイター通信などによると、国連はソマリア治安機関の創設やアフリカ連合(AU)の平和維持活動支援のため、二〇一〇年までに一億六千五百万ドル(百六十二億円)以上の拠出を各国に要請する方針だ。暫定政府のアハメド大統領は「それだけの額があれば、一年で海賊行為を四分の一にできる」と自信を見せ、海軍再建にも取り組む姿勢だ。

ただ、暫定政府の実効支配地域は限られており、米国が国際テロ組織アルカイダとの関連を指摘するイスラム急進勢力アルシャバブが台頭。軍事支援は、海賊の根本的対策になると同時に、内戦激化の引き金ともなりかねない「もろ刃の剣」だ。      

「海賊対処法案は時限立法でなきゃダメ」国民新が反対姿勢

国民新党の亀井久興幹事長は20日、海賊対処法案について横浜市内で記者団に「時限立法にしなければ容認できない」との考えを表明した。国民新党は同法案について、民主党とともに6項目の修正を与党に求めているが、反対方針の社民党に軸足を移したとの見方が出ている。

亀井氏は20日、社民党の重野幹事長とともに、横浜市の第3管区海上保安本部を訪れ、巡視船「しきしま」を視察した。重野氏は「表向きは海上保安庁でやると言って、実態は自衛隊が前面に出るようなことは容認できない」と述べた。(2009年4月20日 読売新聞

海賊対処法案 安易な修正は避けるべきだ4月19日付・読売社説

法案の早期成立には与野党の協力が望ましい。だが、安易な法案修正で悪影響が出るのは避けるべきだ。

海賊対処法案の審議が衆院で始まった。日本関係船舶以外の外国船も警護できるようにする。民間船舶に接近し、つきまとう海賊船に対して、船体射撃で危害を与えることを認める。それが法案の柱である。海上自衛隊の艦船は、自衛隊法の海上警備行動を根拠として、ソマリア沖で日本関係船舶を警護している。

この活動は、あくまで法案成立までの応急措置だ。既に3回、警護対象外の外国船の救援要請を受け、大音響発生装置で不審船を追い払うなどした。船員法が根拠のため武器使用が大幅に制限されている。海自が効果的な活動ができるよう、法案成立は一日でも早い方がいい。

今後の焦点は、与党と民主党の修正協議である。民主党は、政府に海賊対処本部を新設し、海自隊員に本部員の身分を併任させるべきだ、と主張している。法案の定める海賊対処行動の国会報告を、国会承認にすることも求めている。だが、いずれの主張にも疑問がある。海賊対処本部は、国連平和維持活動(PKO)を所管する国際平和協力本部がモデルだが、防衛省の屋上屋になりかねない。海自艦船は統合幕僚監部が指揮するのが最も効率的だ。新たな組織は指揮系統を混乱させる恐れがある。

民主党には、「海上保安庁が主体で対応すべきだ」として、海自隊員の身分を海保に移すよう求める意見まである。形式主義の極みで、全くナンセンスだ。この主張の背景には、1990年代前半のPKO「別組織論」のように、「自衛隊は悪いもので、使わない方がいい」という旧社会党的な発想がある。

任務の内容に最もふさわしい組織を活用するのは至極当然のことだ。だからこそ、今回は、海保でなく、海自を派遣したのだ。海賊対処行動を国会承認事項とすることも、自衛隊を動かす法律の整合性の面で問題がある。

領海侵犯時などの海上警備行動には国会報告さえ義務づけられていない。国会承認が必要なのは、防衛出動や治安出動など、極めて限定された自衛隊の行動だ。今回、民主党が国会承認に賛成するなら当面の支障はないが、将来、別の海域での海賊に迅速に対応できないリスクも生じる。与党は一連の問題を踏まえ、修正協議は慎重に進めるべきだ。(2009年4月19日読売新聞)

与党、国会事前承認に応じず 海賊法案21日修正協議入り
2009年4月19日

与党と民主、国民新両党は19日、ソマリア沖などでの海賊対策のため自衛隊派遣を随時可能にする海賊対処法案について、21日から修正協議に入ることを決めた。これに関連し19日のNHK番組では、民主党が自衛隊派遣をめぐり国会の事前承認を求めたのに対し、与党は応じられないとの考えを表明した。

修正協議は、国会事前承認のほか、海上保安庁の位置付けなどが焦点となる。共産党は派遣自体に反対、社民党は政府案のままでは憲法違反との立場だ。

民主党の鉢呂吉雄「次の内閣」外相はNHK番組で「事前承認は必要。他の野党とも連携し与党と修正協議をする」と表明した。自民党外交調査会長を務める山崎拓前副総裁は「事前承認は無理」と指摘。公明党の山口那津男政調会長も「ねじれ国会の状況下で国会の事前承認に委ねられると非常に不安定な制度になる」と難色を示した。

海賊対処の主体については鉢呂氏が「一時的に海上保安庁の装備が足りなければ自衛隊派遣も必要だが基本的には海保だ」と主張。与党側は「自衛隊を活用する以外に対応できない」(山崎氏)と反論した。

社民党の阿部知子政審会長は「与党とは隔たりが大きい。『ここも、あそこも譲れない』と言っている」と述べ、修正協議よりも国会論戦を重視する考えを強調した。共産党はソマリアへの民生支援を優先すべきだと主張。国民新党は与党に大幅な修正を求めた。(共同)

対ソマリア沖海賊 海自警護平均3隻 不況で運航減・日程も合わず
2009年4月19日 東京新聞

ソマリア沖の海賊対策に派遣されている海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」「さみだれ」が警護した日本関係船舶は一回平均三隻と少なく、直近で警護したのはわずか一隻であることが分かった。世界不況の影響で船舶の運航が激減する一方で、警護活動と民間船舶の運航スケジュールが合わないことが主な理由だ。

警護活動は三月三十日から始まり、護衛艦二隻は日本関係船舶を率い、ほぼ四日に一回の割合でソマリア沖のアデン湾を往復している。これまで、三回半の往復をしており、警護した船舶数は一回目の往路が五隻、復路は二隻、二回目の往路が三隻、復路が四隻、三回目の往路が三隻、復路が三隻、四回目の往路が一隻だった。

政府は、アデン湾を航行する日本関係船舶は年間二千隻、一日平均して五隻が通過すると説明していた。説明通りなら、警護対象の船舶は四日かけた一往復で二十隻に上り、往路、復路で分けると船団にはそれぞれ十隻の船舶が加わる計算になる。

だが、実際にはその半数にも達していない。日本船主協会によると、昨年、アデン湾を通過した船舶はコンテナ船と自動車専用船で約千五百隻を占めた。しかし、世界不況の影響で自動車専用船の運航が半減するなど激減した。

船舶に余裕があるため、日数をかけて南アフリカの喜望峰に迂回(うかい)する船もある。また、荷主との契約から四日に一回の警護活動に合わせてアデン湾を通過するのが難しい船舶は、他国の船団の末尾に付いて航行する例もあるという。

今月三日と十一日には、外国船の救助要請を受けて現場に急行し、大音響発生装置を使って不審な船を追い払った。十八日にもカナダ船籍の船舶からの「不審船が接近」との通報で、艦載ヘリを発進させた。

海上警備行動で派遣された護衛艦が警護できる対象は(1)日本籍の船舶(2)運航主が日本の事業者(3)外国船でも日本人が乗船している-のいずれかに該当する日本関係船舶に限られている。一般の外国船の救助は本来の任務に含まれていない。今後、警護対象となるべき日本関係船舶が増えず、外国船の救助が増えるとすれば、「当面の応急措置」(浜田靖一防衛相)とした説明に合わない事態になる可能性がある。

ソマリア周辺3自衛隊1000人 米の『対テロ』援護射撃
2009年4月18日 東京新聞

浜田靖一防衛相は十七日、ソマリア沖・アデン湾の海賊対策で、海上自衛隊の哨戒機P3Cに派遣準備命令を発令した。機体の警護のため陸上自衛隊員、物品や人員の空輸のため航空自衛隊も派遣するため、陸海空すべての自衛隊が動員される。インド洋の補給支援活動と合わせれば、展開する自衛隊は千人規模に。米国の「テロとの戦い」を下支えし、自衛隊が海外で治安活動を担う先例となりそうだ。 (三浦耕喜)

海自幹部はP3C派遣について「海洋国家として鍛えた練度は高い。日本の貢献も高まる」と胸を張る。P3Cは五月中に海賊対策の拠点であるジブチに二機が派遣され、六月には哨戒任務を始める予定だ。

もともとP3Cの派遣は、海賊対策に参加している各国が自衛隊に期待していたことだ。現在、海賊対策の拠点であるジブチに派遣されている哨戒機は米国の三機のほか、ドイツ、フランス、スペインの各一機のみ。全長千キロの海域を見張るには日本が派遣する二機は強力な助太刀となる。

最も助かるのは米国だ。海賊対策と並び、アフガニスタンでの対テロ戦争に重点を置く米国は哨戒機を陸上の偵察にも用いる。日本が海上の哨戒を担えば、米国は余力をテロ対策に回せる。  自衛隊にとっても、海外での任務拡大に新たな足掛かりを得たといえる。機体の警護を理由に二、三十人の陸自要員を派遣するからだ。

根拠は自衛隊法の「武器等防護」の規定。小銃、機関銃のほか、イラクで使った軽装甲機動車の使用も検討する。P3Cの駐機場はジブチ国際空港の民間部分。自衛隊の海外活動でも、他国の主権がおよぶ一般地域で治安を目的に自衛隊が派遣されるのは初めてだ。

イラク派遣で空自がクウェートを拠点に空輸支援を行った際も、警護要員は派遣されなかった。防衛省は「今回は民間空港なので独自の警護が必要」と強調するが、同省幹部は「将来、この経験が役立つかもしれない」と、海外での活動拡大に期待感を隠さない。

今回の派遣人員は警護要員も含め約百五十人。すでに始まっている日本関連船舶への警護活動のほか、インド洋で補給支援活動をしている補給艦がアデン湾でも活動し、海賊対策の護衛艦に補給していることを考えれば、派遣人員は計約千人に上る。自衛隊の存在感は、アラビア半島を包む海域に三隻の護衛艦と一隻の補給艦、そしてP3C二機が動き回るまでに拡大しつつある。      

ソマリア沖へP3C派遣準備指示 海賊対策で防衛相
2009年4月17日

浜田靖一防衛相は17日午前、アフリカ東部ソマリア沖の海賊対策のため、海上自衛隊のP3C哨戒機2機の派遣準備を折木良一統合幕僚長らに指示した。来月にも派遣され、ジブチを拠点に6月から活動を開始する見通し。自衛隊のP3Cが実際の任務で海外に派遣されるのは初めて。

ソマリア沖では、自衛隊法に基づく海上警備行動で派遣された海自護衛艦2隻が既に活動中。P3Cは、護衛艦が日本関連船を警護するソマリア沖・アデン湾の上空から海賊船の警戒に当たり、護衛艦や日本関連船、各国軍に情報提供するとみられる。政府は衆院で審議中の海賊対処法案が成立すれば、海上警備行動から同法に派遣根拠を切り替える方針。

P3Cはジブチ空港を拠点とし、海自隊員や空港警備に当たる陸上自衛隊員計150人程度が現地に駐留。航空自衛隊も必要な物資を空輸する。中曽根弘文外相とジブチのユスフ外相が今月3日、駐留する自衛隊員の法的地位を定めた地位協定を締結した。 (共同)

海賊対策で巡視船の予算要求せず ソマリア沖派遣、当面自衛艦に
2009年4月17日

アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、海上保安庁の岩崎貞二長官は16日、2009年度補正予算で、派遣可能な新たな巡視船建造の予算要求をしないことを明らかにした。海保の遠洋派遣に対する消極的な姿勢が浮き彫りとなった形で、海賊対策は一義的に海保とする海賊対処法案が本国会で成立しても、少なくとも5年間は自衛隊の海外派遣の根拠法案と同義語となる

海保の巡視船派遣断念で政府は3月、海上自衛隊の護衛艦を海上警備行動でソマリア沖に派遣。法案成立後は根拠法を海賊対処法に切り替える。緊急項目が対象の補正予算見送りで、遠洋派遣用巡視船の新造要求は中長期的な検討項目に格下げとなった。最短で仮に10年度予算に要求して認められても建造に4年以上かかり、対海賊の遠洋派遣は当面、自衛艦の役割となる。

岩崎長官は「現に自衛艦がいる海域に派遣するための巡視船を巨費をかけて建造するのは、現時点では適切ではないと判断した」と説明した。交代で常駐するには3隻必要だが、海保が派遣できる巡視船は現在、プルトニウム輸送船の護衛用「しきしま」(6,500トン)だけ。

海部俊樹内閣当時に「海上犯罪鎮圧は一義的に海保」と自衛艦派遣論を退け、89年度補正予算など200億円でしきしまを新造。当時の橋本龍太郎蔵相が関連の旧科学技術庁予算から不足分60億円を充てる政治的決断で筋を通したとされる。(中日新聞)

海賊:米国が四つの緊急対策 武器購入ルート遮断など柱に
【ワシントン草野和彦】

東アフリカ・ソマリア沖で多発する海賊に対処するため、クリントン米国務長官は15日、国際会議招集や海賊の武器購入ルート遮断などを柱とする四つの緊急対策を明らかにした。長官は「17世紀の犯罪」に「21世紀の解決策」が必要と述べ、国際的な取り組みを訴えた。

海賊対策に関する国際会議への参加国は30カ国以上とみられる。海賊は身代金で高性能な船や武器を購入していることから、各国が協力して海賊との取引業者の取り締まりなどを行う。また、ソマリア暫定政府や地域の部族長らと協力するための外交チームを派遣する。毎日新聞 2009年4月16日

海賊:「報復」で米貨物船を攻撃 ソマリア沖
【ワシントン小松健一】

米国防総省は15日、ソマリア沖を航行中の米貨物船「リバティ・サン」が14日に海賊の乗った船からロケット弾や自動小銃の攻撃を受け被弾したと発表した。付近にいた米駆逐艦「ベインブリッジ」が急行し、海賊は逃げた。貨物船の乗務員にけがはなく、航行にも支障はないため、駆逐艦の護衛を受けて目的地のケニアに向かっている。

AFP通信は海賊側の話として、米海軍が人質となった米人船長救出作戦で海賊3人を射殺したことに対する報復として攻撃したと報じた。海賊組織は今後も米国旗を掲げる船舶を攻撃すると表明したという。「ベインブリッジ」は人質救出作戦に参加していた。毎日新聞 2009年4月16日 

海賊:アルカイダ、欧米の対策艦船への攻撃呼び掛け

 国際テロ組織アルカイダ系の「アラビア半島のアルカイダ」は15日、海賊対策のためイエメンやソマリア沖などに派遣されている欧米の海軍艦艇などへの攻撃を、周辺地域のイスラム教徒に呼び掛ける音声声明をウェブサイト上で発表した。

 アルカイダが、同海域で活動する海賊対策の艦船を攻撃の標的とするよう明確に呼び掛けるのは初めてとみられる。(共同)2009年4月16日

 <海賊対処法案>民主の修正案巡り野党間に足並みの乱れ
4月15日 毎日新聞

民主党は15日、海賊対処法案への対応を巡り、社民、国民新両党と国会内で国対委員長会談を開き、与党との修正協議を視野に入れた意見調整を行った。民主側は党独自の修正案を説明して共同提案を求めたが、社民党が自衛隊派遣に異論を唱え、国民新党も態度を保留し、結論を17日に持ち越した。小沢一郎代表は野党共闘を重視しているが、特に社民党が共同提案に乗る可能性は低く、与党との修正で法案に賛成するか、野党共闘を優先し反対するかで難しい判断を迫られる。

「民主案は与党案よりもずっと中身がいい。しかし、自衛隊が出ることには(党内に)伝統的な(反対)意見もある」。会談で、社民党の日森文尋国対委員長が指摘した。国民新党の糸川正晃国対委員長も「一時的に海上自衛隊を出す間に、海上保安庁で海賊対策の専用船を建造しないといけない。時限立法にすべきだ」と注文を付けた。

民主党の修正案は、海自隊員を海賊対処本部所属の隊員として扱うことで「自衛隊派遣」のイメージを和らげ社民、国民新両党に配慮した。だが、社民党の福島瑞穂党首は15日の記者会見で「政府案には大反対。それを修正してどうなるか」とバッサリ。国民新党の亀井久興幹事長も「恒久法である必要はまったくない」と慎重な立場を示した。民主党の山岡賢次国対委員長は会見で「できれば3党で足並みをそろえていきたい」と強調したが、民主案がそのまま受け入れられるのは難しい状況だ。

小沢氏は「社民、国民新とは足並みをそろえてほしい」と周囲に漏らしており、次期衆院選後の連立政権もにらんだ野党共闘重視の姿勢だ。これに対し、党内では「さまざまな意見を集約した修正案をこれ以上直しにくい。社民党などと違う対応でもやむを得ない」との声が強まっている。北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射に対する非難決議に続き、再び外交・安全保障政策を巡る野党共闘の足並みの乱れが露呈した格好だ。【野口武則、小山由宇】

ソマリア領海内も自衛隊の活動範囲 海賊対処法案 衆院審議で国交相答弁
2009年4月15日 東京新聞

海賊対策で自衛隊の派遣を随時可能とする海賊対処法案は十五日午前の衆院海賊対処特別委員会で実質審議入りした。金子一義国土交通相(海洋政策担当相)は答弁で、自衛隊の活動範囲について「沿岸国の領海内に立ち入ることは法案の規定上も可能」と述べ、ソマリア領海内も含まれるとの認識を示した。

自民党の中谷元・元防衛庁長官への答弁。金子氏は「海賊が領海に逃げ込んだ場合は当該国の同意、もしくは国連の安全保障理事会の決議に従って、領海の中まで追跡し、取り締まりを行うことは国際法上問題はない」と述べた。ただ、金子氏は「外国の領域はその沿岸国が領域主権に基づき取り締まりを行うのが常で、わが国が警察行動のために立ち入ることは基本的には想定していない」とも述べた。
      
対ジブチODA拡大へ=政府

政府は14日、アフリカ・ソマリア沖での海賊対策に絡み、海上自衛隊の活動拠点として協力を仰いだジブチに対し、政府開発援助(ODA)の拡大を検討するための調査団を19日に派遣すると発表した。同国へは例年5億円程度の無償資金・技術協力を実施しているが、調査結果を基に大幅に上積みされる可能性が高い。ソマリア沖・アデン湾周辺国の中東イエメンにも月内に同様の調査団を派遣する。(時事2009/04/14

海賊対処法案が審議入り、首相「早期成立に全力」と決意

アフリカ・ソマリア沖の海賊対策を拡充する海賊対処法案は14日、衆院本会議で麻生首相が出席して趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。与党は民主党との修正協議に応じる構えで、月内の衆院通過を目指す。首相は「ソマリア沖の海賊は日本を含め、国際社会への脅威であり、緊急に対処すべき課題だ。法案の早期成立に全力を傾注していく」と述べ、成立への決意を示した。

民主党の山口壮氏は、自衛隊を海賊対処に派遣する場合、国会の事前承認を義務づけるよう主張したが、首相は「(法案が定める)国会報告により、国会への説明責任は十分に果たせる」と反論した。

ソマリア沖では現在、海上自衛隊の護衛艦2隻が自衛隊法の海上警備行動として、日本関係船の警護活動を実施している。海賊対処法案は、警護対象をすべての船に拡大するほか、武器使用権限も広げ、海賊行為を制止するための船体射撃を認めている。政府は法案の成立後、海自の活動根拠を同法に切り替える。 (2009年4月14日  読売新聞

米海軍特殊部隊、船長救出=海賊3人射殺、1人拘束-ソマリア沖
【ワシントン12日時事】

ソマリア沖で米貨物船「マースク・アラバマ号」が海賊に襲撃され、米国人船長が人質に取られた事件で、米国防総省は12日、リチャード・フィリップス船長(53)を無事救出したと発表した。海軍特殊部隊「SEALS」が急襲した際、海賊4人のうち3人を射殺、残る1人を拘束した。

船長はけがはなく健康で、海軍の強襲揚陸艦に収容された。人質事件は、オバマ大統領の危機管理能力が試されただけに、全米で大きく報道された。米海軍第五艦隊(司令部バーレーン)によると、船長の生命に危険が及ぶ恐れが高まったため、オバマ大統領が救出命令を出した。船長は12日(日本時間13日)に救出された。

民主、海賊対策対案を修正 海保から新組織対応へ
2009年4月9日朝日新聞

民主党は9日、ソマリア沖の海賊対策で政府が提出した海賊対処法案への対案として、首相を長とする海賊対処本部を新設し、その下で自衛隊が「海賊対処隊」として活動するとの考えに修正する方針を決めた。3月段階の対案では、派遣部隊を海上保安庁の管轄に入れていたが、「指揮命令などで混乱が起きる」との指摘もあり、実際の活動に配慮した内容にした。

政府は、自衛隊法による海上警備行動で派遣した自衛隊の法的根拠について、法案成立後、海賊対処法に切り替える方針。民主党は「海外派遣の原則をなし崩しにする」と批判し、「海賊対策は海保が主体的に取り組むべきだ」との姿勢を基本としている。今回の対案では、海保では対処が困難で、海保を所管する国土交通相か海上保安庁長官が首相に要請した場合は、臨時に海賊対処本部を設けるとしている。

政府の法案は14日に衆院で審議入りするが、民主党は「民主党の対案に沿った修正がなければ反対だ」(幹部)としている。 

ソマリア海賊:海自派遣 ジブチ外相「ソマリアの再建を」 海賊対策、日本の協力要請

 海賊対策でソマリア沖へ派遣された海上自衛隊護衛艦の寄港地となるアフリカ東北部ジブチのユスフ外相は4日、東京都内で毎日新聞と単独会見し「海賊行為はソマリアで政治が崩壊した後、表面に出た“症状”だ」として、根本解決には、ソマリア政府や経済の再建と治安回復に日本政府の協力が必要と訴えた。

 外相は「ソマリアで職を失った人々が生計のために海賊になっている」と指摘。海賊被害による船舶の保険料高騰が原因で、貿易中継地・ジブチ港の08年の貨物取扱量が前年比で半減したことをあげ「(海賊は)ジブチと、周辺のアフリカ諸国の経済に深刻な打撃を与えている」と述べた。自衛隊の活動について「国連安保理常任理事国入りを目指す日本が、世界の平和と安全保障にかかわる絶好の機会」と歓迎した。【花岡洋二】毎日新聞 2009年4月5日

ソマリア沖で外国船舶救助 護衛艦、“脱法行為”の疑いも
2009年4月4日

防衛省によると、ソマリア沖で海賊対策活動中の海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」が4日午前2時40分(現地時間3日午後8時40分)ごろ、海上警備行動の警護対象外のシンガポール船籍のタンカーから「海賊らしい小型船舶に追われている」との国際無線連絡を受けて現場海域に急行、約20分後に追い払った。

海上警備行動での警護対象は日本船籍、日本人、日本の貨物を運ぶ外国船など日本関連の船舶に限られており、脱法的な活動だった疑いがある。防衛省は「船員法の遭難船舶等の救助を適用した。武器などの強制力を使っておらず問題はない」としている。

防衛省によると、さざなみはタンカーから約7キロ離れた位置で無線を受け、約10分後に約5・5キロまで接近。約10分間にわたりサーチライトを照射したり「長距離音響発生装置」と呼ばれる
大音量を出す機器で現地語を使い「こちらは海上自衛隊」などと呼び掛け、追い払ったという。

タンカーに近づいた船は、はしけ船の後ろに3隻の小型船をつなげて航行していたが、武器は使っておらず、防衛省は「海賊船かどうか不明」としている。海上警備行動では日本関係船舶以外の警護はできず、政府は対象を日本と関係のない外国船舶に広げる新法「海賊対処法案」の早期成立を目指している。船員法14条は「船長は、他の船舶または航空機の遭難を知ったときは、人命の救助に必要な手段を尽くさなければならない」と定めている。 (共同)

ジブチにP3C哨戒機派遣へ 海賊対策で地位協定締結
2009年4月3日

政府は3日、ソマリア沖海賊対策のため来月にもアフリカ東部のジブチに、海上自衛隊のP3C哨戒機を自衛隊法の海上警備行動により派遣することを決めた。これを受け中曽根弘文外相は同日午後、ジブチのユスフ外相と外務省で会談し、ジブチに駐留する自衛隊員らの法的地位を定めた地位協定を締結した。自衛隊のP3Cが実際の任務で海外に派遣されるのは初めて

派遣するP3Cは2機となる見込み。ジブチ空港を拠点に整備担当を含め100人以上の規模の海自部隊が駐留し、既に海賊対策でソマリア沖に派遣された海自護衛艦とともに警戒活動に当たる見通しだ。協定は、P3Cの隊員や艦船乗組員らが対象で、刑事訴追や民事上の賠償請求などの免除を含む特権を規定している。護衛艦はジブチ政府からジブチ港の利用を許可されており、来週にも初寄港する予定だ。(共同)      

外交青書:「海上安全保障」初登場 海賊対策を説明

中曽根弘文外相は3日午前の閣議で、08年の外交活動をまとめた「09年版外交青書」を報告した。緊張を高める北朝鮮外交では、核・拉致問題などの解決に向け「最大限の努力を行った」としたうえで、「非核化検証の具体的枠組みの構築に前向きな姿勢を示さず、拉致問題でも繰り返し要求しても調査を開始しない」と批判した。

海上自衛隊の護衛艦が派遣されている東アフリカ・ソマリア沖などの海賊対策については、「海上安全保障」の項目を初めて設けて日本や各国の取り組みを紹介し「国際的課題であり、日本国民の生命・財産保護のために急を要する課題」と理解を求めた。オバマ政権が誕生した米国との関係については「新政権とも日米同盟の重要性を確認し緊密な連携を図っている」と強調した。【犬飼直幸】毎日新聞 2009年4月3日
 
ソマリア沖の海賊、厳戒避けインド洋へ転進?
【ヨハネスブルク=中西賢司】

アフリカ・ソマリア沖の海賊による商船襲撃事件が3月に入り、同国東方沖のインド洋で急増していることが29日、分かった。海賊は、各国海軍が対策を強化しているソマリア北方沖のアデン湾を避け、警戒体制の手薄な海域に照準を移している可能性もある。

国際海事局(IMB)によると、3月にソマリア東方沖で起きた襲撃は27日までに14件で、2月より12件増加。アデン湾は8件で、海賊事件が急増した昨年以来初めて、ソマリア東方沖の襲撃件数が上回った。欧州軍事筋によると、商船三井の自動車運搬船が襲撃された22日には、周辺海域で計4件の襲撃があった。このほか、ロイター通信は、ソマリア東方沖で実際に商船が乗っ取られた事件として、25日のギリシャ商船、26日のノルウェー企業所有のタンカーの例を報じた。

ソマリア沖で警戒する各国軍の艦船の大半は、商船の主要航路があるアデン湾に集中。インド洋側は、米軍主導の合同任務部隊の2隻が主に担うだけという。海賊は、身代金を元手に高速モーターや全地球測位システム(GPS)など高性能機器を小型船に搭載し、数百キロの沖合まで活動範囲を拡大しており、IMB担当者は「海賊はアデン湾の外では軍艦が少ないと気付き、襲撃場所を変えている」と分析している。 (2009年3月30日 読売新聞

ソマリア沖、海自護衛艦はタンカーなど5隻警護

アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、防衛省は30日、海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」と「さみだれ」による最初の警護活動について、同日深夜(現地時間同日夕)に開始することを明らかにした。警護する船舶は、自動車運搬専用船3隻とタンカー2隻の計5隻。いずれも日本関係船という。

護衛艦2隻は、オマーンのサラーラ沖で日本関係船5隻と待ち合わせ、前後を警護する。護衛艦と商船の計7隻はアデン湾を約900キロにわたって西に進み、2日後にジブチ沖まで到達する見込み。護衛艦2隻は、ジブチ沖に到着後、再び別の日本関係船と待ち合わせ、サラーラ沖まで警護活動を行う予定。

今回の任務は海上警備行動での派遣のため、護衛艦の武器使用は警告射撃では認められているが、船体への射撃は「正当防衛」と「緊急避難」でしか認められていない。(2009年3月30日  読売新聞

海賊対処法案:海上保安庁主体で 民主が論点まとめる

 民主党は19日の外務防衛部門会議で、政府が今国会に提出した海賊対処法案の論点6項目をまとめた。海賊に対しては海上保安庁が主体的に取り組むべきだとして、第一に掲げた論点は「海保による対応の困難さと、自衛隊派遣の必要性、妥当性の判断根拠を明確にする」。審議を通じて法案修正も視野に、さらに具体化させる。このほか論点は

▽海上自衛艦や自衛官の所管を海保に変える
▽ソマリアなど海賊発生周辺国の国情安定や海上保安能力向上に対する支援
▽海賊対処行動の発令に対する国会の事前承認
▽武器使用基準の拡大と武力行使の問題
▽司法警察として海賊逮捕後の対応明記。

 武器使用基準の問題は、海自派遣を前提とした基準緩和などには踏み込まず、「海賊行為の主体は誰か」などさらなる説明を求める中で論じる形をとる。民主党は法案への賛否や修正案を出すかどうかの方針をまだ決めていない。部門会議では「海賊対策が必要との立場は同じなので法案への反対は難しい。論点を基にした修正が現実的だ」との声が出ている。【小山由宇】毎日新聞 2009年3月19日

海賊対策:民主が対処法案の意見集約開始へ 調整は難航か

 東アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、護衛艦の警護対象を外国籍船にまで広げる海賊対処法案を政府が今国会に提出したことを受け、民主党は17日から法案の賛否について意見集約を始める。党内では、自衛隊の海外派遣自体に賛否両論があり、武器使用基準といった具体的な議論に踏み込めていない。与党は法案の早期審議入りを目指すが、民主党側調整は難航しそうだ。

 「ソマリアは(与党案との違いが)分かりやすい方がいい」。小沢一郎代表は2月中旬、周辺に漏らした。これを受け直嶋正行政調会長が党の外務防衛部門会議に毎回出席するなどして議論を進めてきた。だが、省庁や船主協会などからのヒアリングが主な内容で、議論そのものは深まっていない。

 外務防衛部門会議内では、政府案とつきあわせた上での修正を視野に「海上自衛隊員に一時的に海上保安官の身分を持たせ、司法警察権を与える」との修正案も浮上している。ただ「一時しのぎに過ぎない」と否定的な意見もあり、集約できるかどうかは不明だ。

 党執行部は社民、国民新両党への配慮から「海上保安官が基本」との姿勢を崩しておらず、党内の自衛隊派遣積極論者には「海保でできるという方は実態をもっと勉強すべきだ」(前原誠司副代表)との不満がある。

 こうした党内事情を受け、鳩山由紀夫幹事長は13日の記者会見で「海賊取り締まりは本来なら海上保安庁が主体となるべきだ」と述べる一方で、海賊対処法案に「頭から否定するつもりはない。何らかの法的な措置は必要」と、法案の修正に含みを持たせた。【小山由宇】毎日新聞 2009年3月16日

社説 海自ソマリアへ 『変則派遣』を危惧する
2009年3月14日 東京新聞

ソマリア沖の海賊対処へ海上自衛隊の護衛艦がきょう出港する。新法成立を待たず、ゴーサインを出した「変則派遣」である。国会での十分な議論も経ない、危うさを残す政府の決定を危惧(きぐ)する。

海自のソマリア派遣をめぐって十三日、二つの動きがあった。護衛艦二隻の十四日派遣に向け浜田靖一防衛相が自衛隊法に基づく海上警備行動を発令。一方、閣議では、海賊対策のための自衛隊派遣を随時可能にする「海賊対処法案」を決定した。

浜田防衛相自身が認める、当面の“応急措置”として、海警行動発令で派遣しておき、海賊対処法案の成立後、同法に基づく活動に切り替える-。今回、政府は二段階方式を採用した格好だ。国連決議に基づき各国が艦船を派遣するなど、取り締まりを強化している折である。年間二千隻の関係船舶が現地を通航する日本として何らかの貢献策を打ち出す必要に迫られている事情は分かる。問題なのは、現行法の枠内で海自派遣の答えを導き出した点だ。

海警行動は海上保安庁による対処が難しいときに発令され、本来は日本近海での活動を想定したものだ。自民党国防族が言う「海上交通路」防衛論の是非も吟味しないまま、アフリカまで守備範囲とみなすのは乱暴過ぎる。国会での議論が足りていない。見切り発車には疑義がある。海警行動では日本関連の船舶しか警護できず、武器使用は正当防衛と緊急避難に限られる。こうした点を「不備」ととらえるからこそ、政府は対処法案をつくった。ただ、衆参ねじれ国会で早期成立はおぼつかない。それを理由に応急措置のはずの変則派遣をずるずると続けるようではいけない。

対処法案は海賊船への船体射撃を容認するケースも想定する。正当防衛などとは違う初の「任務遂行のための武器使用」だ。国防族側には、これを突破口に武器使用基準を緩和させたいとの計算もちらつく。活動範囲や武器使用権限がなし崩しで拡大することがあってはならない。国会で十分な議論を尽くす必要がある。政府・与党は野党と真摯(しんし)に話し合わなければならない。

警察活動とはいえ、海賊との銃撃戦で死傷者が出かねない環境下での任務だ。文民統制の観点からも、徹底したチェックが欠かせない。政府も国民への説明が不十分なままだ。西松建設事件の余波で、論戦の「空白」が続く。国民を蚊帳の外に置いてはいけない。

海警行動発令 海賊放置の「無責任」解消へ
(3月14日付・読売社説)

自国の船舶を守ることさえ躊躇(ちゅうちょ)し、他国任せにする――。国際的に無責任で、不正常な状態がようやく解消に向かう。浜田防衛相が、ソマリア沖の海賊対策に海上自衛隊を派遣するため、自衛隊法に基づく海上警備行動を発令した。護衛艦2隻がきょう、広島・呉基地を出航し、来月上旬から日本関係船舶の警護活動を始める予定だ。

ソマリア沖では昨秋以降、2日に1件という高い割合で海賊行為が発生している。日本関係船舶がこれまで重大な被害に遭わなかったのは幸いと言うほかない。現地では今、15か国以上が警護・哨戒活動を展開している。主要8か国(G8)で艦船を派遣したことがないのは日本だけだ。

海自にその能力がありながら、法律面などの整理がつかず、派遣が遅れたのは、政治の責任である。現行法による派遣は暫定措置にすぎない。他国の船舶も守ることができる海賊対処法案の早期成立に努めなければならない。今回の派遣は、海自にとって新しい種類の海外任務であり、活動の場を広げる意義は大きい。インド洋での給油活動のように他国に対する後方支援でなく、自ら前面に出て海賊と対峙(たいじ)する。本来は海上保安庁が担当する海上警察活動に取り組む。

冷戦後は、紛争終結後の国際的な治安維持や紛争予防に各国の部隊を積極的に活用するのが、世界の潮流である。国連平和維持活動(PKO)でも、警察活動の占める比重が高まっている。自衛隊の活動がなしくずしに拡大している、といった一部の批判は、全く見当はずれだ。どの国も、アフリカ沖の海賊対策への艦船派遣は想定していなかった。新たな事態に新たな対応を行うのは当然のことである。

国連海洋法条約は、すべての国が海賊行為の抑止に協力する義務を明記している。4本の国連安全保障理事会決議も採択されており、憲法上の問題もない。  自衛隊は近年、日本防衛だけでなく、様々な事態に適切に対処する能力が求められている。自衛隊という公共財を有効活用する時代だ。海自は、新任務を立派に遂行し、より強健で、国民に信頼される組織を目指してほしい。

各国の艦船派遣は、海賊から民間船舶を守る対症療法だ。抜本的な問題の解決には、無政府状態が長年続くソマリアの司法・警察機能の回復が欠かせない。困難な作業だが、国際社会全体が中長期的に知恵を絞ることが大切だ。

社説:海賊対策 新法で与野党合意を目指せ
毎日新聞 2009年3月14日

 政府はソマリア沖などの海賊対策のための「海賊対処法案」を閣議決定し、国会に提出した。同時に浜田靖一防衛相がソマリア沖に海上自衛隊などを派遣するための海上警備行動を発令した。海警行動は法案成立までのつなぎ措置である。法案は、海賊対策を一義的には海上保安庁の任務とし、海保で対応できない場合に自衛隊を派遣することができるとした。武器使用基準を現行法より緩和するとともに、外国船舶も保護対象となる。

 政府・与党は今国会中の成立を目指すが、民主党は法案への賛否や対案を決めかねている。連立相手に想定している社民党と国民新党が自衛隊派遣に反対または慎重姿勢であることがその理由なのだろう。

法案で最大の焦点は武器使用基準の緩和だが、現行法で認められている正当防衛・緊急避難に加えて、海賊船が警告・威嚇射撃を無視して民間船に「著しく接近」してきた場合などに、海賊船を停止させるための危害射撃(船体射撃など)ができることになる。

 現行法の海上警備行動では、日本の領海内で発生した不審船事件の場合、逃走する不審船への射撃が可能だが、法案では、自衛隊は海賊行為の現行犯以外で逃走する海賊船を追いかけて船体射撃することはできない。武器使用の緩和は限定的なものと言える。幅広い緩和を求めていた防衛省の一部には不満の声もあるようだが、警察行動とはいえ、武器使用をできる限り厳格にするのは当然である。

 重要なのは、今回の緩和が自衛隊の海外活動全体の武器使用の無原則な拡大に結びつかないようにすることだ。自民党内には基準緩和を求める意見が根強い。国会審議でこの点を明確にするのは、緩和に慎重な与党・公明党の役割である。海賊対策は日本の国益に合致しており、海賊が重武装している場合や海保による遠洋での継続的活動が困難なケースなどでは、自衛隊の派遣も有効な方策だ。

 海警行動で海上自衛隊の護衛艦2隻が14日にソマリア沖に向けて出発する。しかし、日本周辺を想定した海警行動で長期間、海自をソマリア沖に派遣するのはやはり無理がある。なるべく短期間にしなければならない。もともと昨年の臨時国会で海賊対策の必要を主張したのは民主党議員だった。新法で与野党合意の素地はあるはずだ。知恵を尽くして有効な海賊対策を打ち立てるべきである。

 ソマリア沖の海賊を根絶するには軍事的行動だけでは困難だ。外交面の対策が不可欠だ。海賊多発の背景には内戦で無政府状態が続くソマリアの国内事情があるのだから、政情改善に向けた国際協力がカギを握る。また、日本はマラッカ海峡の海賊封じ込めに貢献した実績も持っている。国会審議では、こうした総合的な対策について検討してもらいたい。

【主張】海賊新法 実効性ある対応に万全を
産経新聞 2009.3.13
 
 アフリカ・ソマリア周辺沖の海賊に対処するための「海賊対処法案」(海賊新法)が13日、閣議決定される。日本にとって同海域での海上輸送は極めて重要だ。自国の船舶さえ守れず、外国頼みとなっている現状を脱するには不可欠な法案であり、与野党双方に早期成立への対応を求めたい。

 海上警備行動も同日発令され、海自の護衛艦などを派遣して当面の措置としての海賊対処活動が始まる。外国船の保護を含む本格的な海賊対処活動には、新法案の成立が必要だ。海上警備行動による「つなぎ」の状態を経て新法に基づく活動へ移行することは、国際社会への責務である。

 政府・与党内の法案とりまとめ作業で焦点となったのは、実際に海賊行為の抑止に必要な武器使用権限の拡大の問題だった。現行法では、自衛隊にも警察官職務執行法が準用されるため、正当防衛と緊急避難を除き、相手に危害を与えることはできない。

 ただ、政府は海上警備行動の下でも、停船命令に応じず民間船舶に乗り込もうとしている海賊には、相手の発砲前でも船体射撃ができると解釈している。現行法の正当防衛や緊急避難の範囲を広げて対応することで、実効性を確保するねらいがある。

 新法案は、船舶に接近する海賊船への船体射撃が認められるケースとして、海賊船が(1)著しく接近(2)つきまとう(3)進行を妨げる-を具体的に挙げている。警告射撃や正当防衛を超え、相手に危害を与えることを認めるものだ。現行法以上に海賊の襲撃を抑止することを可能にしている。しかし、これらの対応で十分なのかどうか。海自側でも、現場指揮官らは経験のない活動にあたり、瞬時の判断が求められる。海賊を排除することが肝要だ。現場が無用な混乱を招かないよう、審議段階で法解釈を明確にすべきだ。海自が能力を発揮できる環境整備が使命だ。

 すべての船舶を保護対象としたのは当然だ。海賊は国際社会の脅威であり、対策に従事する他の国との連携が欠かせない。新法案で他国艦船への給油が外れたのは残念だ。逃走する海賊船への射撃も見送られた。民主党では前原誠司前代表らが積極的な考えだが、党としての賛否は未定だ。国益に基づく判断を求めたい。

自衛隊ソマリア沖へ:ポイント解説/4 護衛範囲

◇新法案は国籍問わず

 ソマリア沖へ護衛艦を派遣するにあたり、政府・与党の関心の一つは「外国船をどこまで守れるか」だった。海上警備行動は国内向けには「日本人の生命・財産を守る警察活動」と説明された。だが現地でともに活動する米国や欧州連合(EU)への体面上、国際協力をアピールすることも不可欠だった。

 「助けを求める外国船を見殺しにすれば、国際的な非難を浴びかねない」。当初、防衛省や与党からは懸念の声が出た。日本企業が実質的に所有する外国籍船、日本人船員が乗った外国籍船などと日本国籍船の線引きは微妙だ。日本人が乗船する観光目的の大型客船はどうか。与党からは「日本の缶コーヒー1本でも積んでいれば守るべきだ」との極論まで出た。

 政府は海上警備行動での保護対象をできるだけ広くとらえ、(1)日本国籍船(2)日本人が乗船する外国籍船(3)日本企業が運航するか、日本の積み荷を運ぶ外国籍船で、日本の経済活動に重要な船--と定めた。国土交通省が窓口役として護衛を希望する船を募り、優先順位をつける。

 だが日本に全く無関係な外国籍船は護衛できない。このため政府が今国会に提出する海賊対処法案では、国籍を問わずすべての船を守れるよう範囲を拡大した。ソマリア沖・アデン湾を通る船は年間2万隻を数え、日本に関係する船だけで2000隻以上。「護衛艦2隻で守りきるのは無理」(自民党国防族)で、日本の存在感の誇示を優先した側面もある。【松尾良】毎日新聞 2009年3月13日

【検証 ソマリア沖派遣】      対米支援 オバマ戦略に不確かさ
2009年3月12日東京新聞

「状況は変わった」
護衛艦二隻をソマリア沖の海賊対策に派遣する海上自衛隊。昨年十二月までは派遣に消極的だった。イージス護衛艦「あたご」の衝突事故など不祥事が相次ぎ、組織の抜本改革案を公表したころで、「海上保安庁の仕事だ」と不満も漏れた。様相が一変したのは同月十六日、米国がソマリア陸上の海賊制圧作戦を許可する国連安保理決議一八五一を起草したからだ。米兵十八人が惨殺された一九九三年のソマリア派遣以降、距離をおいてきた米国。海自幹部たちは、米国に変化の兆しを見てとった。

「米国がソマリアで作戦行動を計画するなら、当然協力すべきだ」。冷戦期、米海軍と連携してソ連海軍を封じ込めてきた海自には「われわれが日米同盟を支えている」という強烈な自負がある。アフガニスタン侵攻、イラク戦争と自衛隊による「対米支援」を続けてきた日本にとってソマリア沖に「日の丸」を立てることに意味があるというのだ。

「強硬策ではないかもしれない」。護衛艦派遣が近づくと、米国の方針をめぐり、海自に別の見方が浮上した。オバマ米大統領の掲げる「スマートパワー」をソマリア問題に活用するという見方だ。スマートパワーとはブッシュ前政権の軍事偏重の単独行動主義と決別し、政治、経済、文化などを総動員した国際協調主義を指す。

昨年七月、ゲーツ国防長官はオバマ氏の大統領就任を確信したかのように「国家防衛戦略」を公表した。その中で、軍事力一辺倒で失敗したイラクでの反省から、軍民共同で困難な問題に取り組む必要性を強調した。これを受け、昨年十月には六番目の方面軍「米アフリカ軍」が発足。軍人ばかりの他の方面軍と異なり、副司令官に国務省出身の女性が就任し、文民が司令部の四分の一を占めた。各種支援でアフリカの治安が回復すれば、米国の安全保障につながるというのだ。

翻って日本。今年二月、与党海賊対策プロジェクトチームが海自の基地となるアフリカのジブチを訪問した。現地駐留の米アフリカ軍のカーター司令官は「喜んで基地を提供する」と歓迎し、次いでP3C哨戒機の派遣を求めた。ジブチに派遣されている哨戒機はドイツ、フランス、スペインが各一機と米海軍が三機。米軍はアフガンの陸上偵察に海軍の哨戒機を回し、「海賊船を見つける『目』が足りない」と訴えた。

政府は、海自のP3C部隊を駐留させるため、ジブチ政府と協議を始めた。派遣は二機から三機。実現すれば、洋上補給を続ける艦艇を含め、中東・アフリカ沖に護衛艦三隻と補給艦一隻、さらに哨戒機部隊がそろう。まさに「戦力の海外展開」だ。アフガン増派計画で明らかなように、オバマ政権は軍事力行使を排除していない。ソマリア問題の軟着陸が困難となり、軍事力に頼ろうとするとき、海自は文字通り、すぐそばにいる。

アフリカ・ソマリア沖の海賊対策に護衛艦二隻が十四日、日本を出航する。自衛隊が海賊対策に取り組むのは初めて。海自と海賊対策の本家、海保の内幕を報告する。      

自衛隊ソマリア沖へ:ポイント解説/3 武器使用基準緩和

◇「停船させる射撃」容認

 「海上警備行動で足りない所の議論は当然だ」。ソマリア沖派遣をめぐり、浜田靖一防衛相は「正当防衛」と「緊急避難」に限られる現在の武器使用基準の緩和を求めてきた。自分たちを守る目的以外で相手への射撃を認める「任務遂行のための武器使用」は、防衛省や自民党国防族の“悲願”だ。同党の防衛政策検討小委員会が06年にまとめた、海外派遣の恒久法案では、テロリストなどを念頭に逃亡防止や停船のための射撃も挙げた。

 政府・与党がまとめた海賊対処法案では、正当防衛と緊急避難以外に「警告を無視して接近する海賊船を停船させる射撃」を容認した。「相手が武器を構えたり撃ってくるまで待っていては襲撃に対応しきれない」との防衛省の主張をいれた。

 これは憲法解釈の変更を意味しないとされる。「国または国に準じる組織」ではない海賊を取り締まるための武器使用は、法的には「武力行使」に当たらないからだ。しかも法案は、活動範囲をどの国でも海賊を取り締まれる公海と日本領海に限定。自衛隊は、海の警察である海上保安庁を補完する立場にとどめ、従来の海外派遣と区別した。

 だが、武器使用基準が徐々に緩和されてきた海外派遣の経緯から、関係者の間で「今回の緩和は、次の任務に波及する」との声が漏れる。オバマ米政権から今後、危険なアフガニスタン本土での貢献を求められる可能性もあり、与党幹部は「海賊対策と別の支援の議論を混同すべきではない」とくぎを刺す。【松尾良】毎日新聞 2009年3月12日

自衛隊ソマリア沖へ:ポイント解説/2 変わらぬ武器使用基準

◇応戦判断、現場不慣れ

 ソマリア沖での自衛隊の活動が過去の海外派遣と最も異なる点は、武器使用が憲法論議に直結しないとされたことだ。テロリストのように政治的背景がなく、強盗・誘拐犯にすぎない海賊は、憲法9条が禁じる海外での武力行使対象「国または国に準ずる組織」ではない。

 だが、武力行使のもう一つの歯止めとなる武器使用基準は、今回の海上警備行動でも過去の派遣とほとんど変わらない。相手に危害を加える射撃は警察官職務執行法7条を準用し、必要な範囲で反撃する「正当防衛」と、危険を避けるため第三者の権利を侵害する「緊急避難」に限られる。立証責任も自衛隊側が負う。

 麻生太郎首相は「自衛官に襲いかかる海賊なんているかね」と楽観するが、海賊はロケット砲や機関銃で重武装し、国内の犯罪者と同列に見ることはできない。インド軍艦艇がタイの漁船を海賊と誤認して撃沈する事案も発生している。自衛隊が応戦した結果、「やり過ぎ」で人質や海賊を殺傷するリスクは残り、「刑法や判例に不慣れな現場が瞬時に判断するのは困難」との懸念は根強い。

 防衛省が今月4日に公表した実施計画は「海賊を抑止し、退散させることが基本」とした。哨戒ヘリなどで海賊船を早期に発見し、護衛艦が威圧して寄せつけない▽海面などへの警告射撃で追い払う--が主な狙い。浜田靖一防衛相は武器使用の手順を定める部隊行動基準(ROE)を「抑制的にする」と表明しており「海賊からひたすら逃げまくる」(防衛省幹部)との声さえある。【松尾良】

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【警察官の武器使用が違法とされた判例】

・拳銃の使用が適法あるいは注意義務をいささかも怠らなかったと警察官側が証明しない限り、違法であり過失があったと推定(70年1月・東京地裁)
・相手の抵抗が激しく口頭の警告を無視されても、「相手が抵抗をやめない」と安易に推測して威嚇射撃を省略することは許されない(91年3月・福岡高裁)毎日新聞 2009年3月11日

自衛隊ソマリア沖へ:ポイント解説/1 海上警備行動、初の海外展開

政府は今週、海上警備行動を発令して護衛艦2隻を東アフリカ・ソマリア沖に派遣し、海賊対策として商船やタンカーなどの護衛に乗り出す。遠洋で初めて行われる海上警備行動など、今回は自衛隊の海外派遣としては異例ずくめだ。今国会に提出される海賊対処法案と合わせ、これまでの海外派遣との違いや、今後の派遣のあり方を検証する。【松尾良】

 ◇法「読み替え」新任務
 「中国も(軍艦を)送った。国連も何とかしてくれと言っている」(2月8日・麻生太郎首相)。ソマリア沖への派遣は、国際社会からの「協力要請」が契機だった。政府はとりあえず「つなぎ」として海上警備行動を発令して海自を派遣し、成立まで時間が必要な新法で足りない部分を補う方針を取った。この際に政府見解で「海賊対策は警察活動」と規定し、従来と一線を画することになった。

 自衛隊が海外に派遣されたのはこれまで、日本の利害とは直接関係がない「国際社会の平和と安定」が主な目的となっていた。憲法が禁じる海外での武力行使に抵触しないよう、活動内容を、インド洋での給油活動といった「後方支援」(01年~)や、イラクの「人道復興支援」(03~08年)に限定。武器を使用する可能性がより高い警護、治安維持などは認めなかった。

 しかし今回の任務は、重武装した海賊から民間船を護衛することで、「実態は治安維持」(防衛省幹部)だ。それを可能にしたのは、海警行動を規定する自衛隊法82条の「読み替え」だ。82条は日本領海を侵犯した不審船の取り締まりが本来の趣旨だが、活動海域は明記されておらず、遠海での警察的活動も違法ではない。文脈が異なる法律を「脱法的」(政府高官)に適用し、制約を飛び越えた。

 自国を守るのが目的の海警行動では、日本に全く無関係の外国船は守れず、「日本は自分のことしか考えない」と批判される恐れもある。
 このため政府・与党が今月まとめた海賊対処法案は、保護対象をすべての船舶に広げて武器使用基準も一部緩和。「自国も他国も守る」国際協力の体裁を整えた。

 与党幹部は「ソマリア沖の活動は海賊対策に限ったものだ」と強調するが、活動実績が独り歩きすれば、自衛隊の海外での任務が次回は、なし崩しに拡大される恐れも残る。毎日新聞 2009年3月10日

海賊対処法案 早期成立へ与野党は協力せよ
(3月11日付・読売社説)

民間船舶を海賊から守り、海上交通路(シーレーン)の安全を確保する。海洋国家として当然の活動を行うのに不可欠な法案である。与野党が協力し、早期成立を図るべきだ。

海賊罪の新設や「海賊対処行動」への海上自衛隊の活用を柱とする政府の海賊対処法案がまとまり、自民、公明両党に了承された。週内に国会に提出される。週末には、海自艦船2隻が自衛隊法の海上警備行動に基づき、ソマリア沖に派遣される。だが、現行法での対応は、あくまで当面の応急措置だ。より明確な根拠法の制定を急ぐ必要がある。

海上警備行動が警護対象を日本関係船舶に限っているのに対し、海賊対処法案では、他国の民間船舶を守ることも可能になる。ソマリア沖を航行する日本関係船舶は年間2000隻以上にも上る。2隻の艦船で全部を警護するのは不可能だ。いかに他国の艦船や哨戒機と情報を共有し、緊密に連携するかが重要となる。海自が必要に応じて他国の船舶も守れば、国際協力の幅が広がるし、活動の実効性も高まろう。
 
新法案は、武器使用権限を拡大し、船舶に接近する海賊船などへの船体射撃も可能にする。現行法では、警告射撃はできるが、正当防衛などを除き、相手に危害を与えてはならない。仮に海賊を負傷させた場合、正当防衛の挙証責任は海自側が負う。これでは、指揮官が瞬時の判断に迷い、対応が遅れる恐れがある。

新法案は、海賊船が民間船舶に「著しく接近し、つきまとい、その進行を妨げ」た場合などは、船体射撃で危害を与えることを認めている。海自艦船のより効果的な活動が期待できる。海賊対策に従事する他国艦船への給油や、逃走する海賊船への射撃は今回、見送られた。今後、実際の活動を通じて、必要と判断されれば、こうした任務や武器使用の追加も検討していいだろう。

新法案の早期成立のカギは民主党だが、党内には、海自派遣に反対する社民党などとの野党共闘を重視する声も少なくない。しかし、海賊対策は、国民の生命や財産を守るのが目的である。政局の具にすることは許されない。読売新聞の世論調査でも、海自派遣と新法制定にいずれも6割超が賛成している。民主党は、国民多数の支持する政府案には積極的に賛成する勇気と柔軟性を示してほしい。それが、次期衆院選に向けて、有権者の信頼を高める道でもある。

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Monday, March 9, 2009

アフガニスタンの和平と対テロ戦争 資料1

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パキスタン政府軍、イスラム武装勢力の掃討作戦に着手
【イスラマバード=酒井圭吾】

パキスタン北西辺境州マラカンドで、政府軍がイスラム武装勢力パキスタン・タリバン運動(TTP)の本格掃討作戦に乗り出し、軍によると、30日までに武装勢力側の死者は75人に上った。また、数万人の住民が避難民となっている。

掃討作戦が始まったのは4月26日。イスラマバードの北西約100キロのブネル地区と隣接するローアーディル地区で、軍はローアーディル地区を同日中に制圧したが、ブネル地区では武装勢力が警官ら約70人を拉致。18人は解放されたが、銃撃戦は続いており、軍のアタハル・アバス少将は30日、「鎮圧にはまだ数日かかる」と語った。

2007年から戦闘が激化したマラカンドのスワート地区では、政府と武装勢力が和平協定を締結したばかり。地元武装勢力は今年2月、マラカンドにイスラム法(シャリーア)を導入することを条件に、武装解除に合意したが、強硬派のTTPは勢力拡大を図っていた。東京で4月に開催されたパキスタン支援国会合で約50億ドル(約5000億円)の拠出を表明した支援国からは、パキスタン政府によるテロ掃討作戦の実効性を疑問視する声も出された。

ザルダリ大統領は近く訪米し、オバマ米大統領と会談する予定で、掃討作戦は訪米を前にテロへの取り組み姿勢を示す狙いもあるとみられる。(2009年4月30日 読売新聞

武装勢力50人以上殺害 パキスタン北西辺境州
2009年4月29日 【イスラマバード29日共同】

パキスタン軍報道官は29日、北西辺境州ブネル地区でのイスラム武装勢力掃討作戦で一部地域を制圧、武装勢力50人以上を殺害し、拉致されていた治安部隊70人のうち18人を救出したことを明らかにした。

武装勢力は隣国アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンと関係が深い。報道官によると、武装勢力は4月初旬に同地区に侵入、撤退表明した後も450-500人が残っており、軍などが28日に掃討を開始した。ブネル地区は首都イスラマバードから80キロ余りで、米国などが武装勢力進出に懸念を表明していた。       

豪、450人増派 アフガン軍兵士を訓練
2009年4月29日 【ウェリントン30日共同】

オーストラリアのラッド首相は29日、約450人の同国軍兵士をアフガニスタンに増派すると発表した。アフガン国軍兵士や警官の訓練に取り組む要員や、輸送・建設要員などとして派遣され、戦闘部隊は含まれない。

国軍兵士の訓練強化を通じ、反政府武装勢力タリバンの活発化で悪化する治安の回復を目指すとしている。これにより、アフガンに駐留するオーストラリア軍兵士は約1600人規模となる。   オーストラリアのメディアによると、ワシントンで最近開かれた米政権との外務、防衛担当閣僚による安全保障対話(2プラス2)で米側が増派を打診した。      

パキスタン:政府が武装勢力を攻撃 和平協定の破棄確実に
【ニューデリー栗田慎一】

パキスタン政府は26日、武装勢力と和平協定を締結した北西辺境州スワート地区に隣接するディール地区で、検問所を設置した武装勢力を武装ヘリで攻撃し30人を殺害したと発表した。ディール地区での軍事作戦は初めてで、政府は武装勢力の「協定違反」を主張している。

 パキスタン軍は27日、スワート地区の南部に戦闘部隊を集結させ始めた。武装勢力側も戦闘態勢を固め始めた。双方の和平が昨年7月に続き、再び破棄されるのは確実な情勢となった。ディール地区は、スワート地区の武装勢力の代理人として政府と交渉をしてきた有力者の拠点。有力者は「政府は協定に違反し、何の相談もなく軍を投入した」と非難した。毎日新聞 2009年4月27日

ボートピープル:アフガン、イラクから豪州へ次々と
【ジャカルタ井田純】

アフガニスタンや周辺国からオーストラリアに向かう「ボートピープル」が急増、インドネシアでも豪州への「中継地」として不法滞在するケースが相次いでいる。豪州の移民政策緩和が背景にあるとも指摘され、両国は対策を強化している。

 インドネシア国家警察によると、今年新たに確認されたアフガン、パキスタン、イラクからの難民は約200人。北スラウェシ州やスマトラ島のランプン州のほか、ジャカルタ沖の小島や西ジャワ州ボゴールなど首都近郊での発見も増えている。当局者は「これほどの数は(米国のアフガン攻撃があった)01年以来」と話す。

 難民のルートはシンガポール、マレーシア経由などさまざまだが、目的地はいずれも豪州。今月17日にバンテン州で見つかったアフガン人68人は、密航あっせん業者によってリゾート地のコテージにかくまわれ、「豪州行きの順番」を待っていたという。

 豪州は、難民抑制のためアフガンなどからのボートピープルを、南太平洋の島国ナウルなど海外の収容所に送っていたが、07年末に発足した中道左派のラッド労働党政権がこれを見直した。今年に入って豪州にたどり着いた難民船はすでに7隻を数え、保守系野党は「労働党政権による受け入れ緩和がボートピープル急増を招いた」と攻撃している。

 これに対しラッド首相は、アフガンの治安悪化やスリランカの内戦激化が増加の原因と主張。密航業者を非難し、「国境管理には厳しい姿勢で臨む」と述べる一方で、今後もさらにボートピープルの漂着が続くとの見方を示している。

 インドネシアのユドヨノ大統領は今週初め、ラッド首相と電話で協議し、「両国が連携して不法移民問題に取り組むことを確認した」と明らかにした。インドネシア国家警察は海上パトロールの回数を増やすなど警戒を強めるとともに、密航あっせん業者の摘発を進めている。毎日新聞 2009年4月25日 

アフガン、大統領選届け出始まる カルザイ氏が優勢
2009年4月25日【イスラマバード25日共同】

8月20日に投票が行われるアフガニスタン大統領選の立候補者届け出の受け付けが25日、首都カブールの選挙管理委員会で始まった。受理期間は5月8日まで。選管の審査を経て6月12日に正式な候補者が発表される。

2001年のタリバン政権崩壊後、同国史上2度目の大統領選で、再選を狙うカルザイ大統領に、政権の汚職体質を批判する元閣僚らが挑む構図。立候補には1万人の署名が必要だが、43人が申請書類を受け取っており、乱立すれば現職の強みを生かせるカルザイ氏が優勢になる見通し。

有力候補はカルザイ氏のほか、政権の汚職体質を嫌って辞任したジャラリ元内相ら。マスード第1副大統領ら有力政治家らが多数参加する唯一の全国政党「国民戦線」はアブドラ元外相を擁立するが、内部で反対論もあり、党内結束がカルザイ氏打倒への鍵になる。

自爆テロを頻発させているタリバンは早々にボイコットを表明、妨害も懸念され、選挙戦の混乱は必至。いずれの有力候補も対米協調姿勢で、対タリバン戦略に大きな変化はなさそうだ。       

 タリバン勢力拡大 パキスタン首都100キロに迫る
2009年4月25日 【バンコク=古田秀陽】東京新聞

アフガニスタン国境に近いパキスタンの北西辺境州で、反政府武装勢力タリバンが実効支配地域の拡大を図る動きをみせている。最近になって首都イスラマバードの北方約百キロの地区へも侵入。米国政府は「致命的な脅威」として強い危機感を示している。

パキスタンからの報道によると、タリバンは数週間前から、首都から五、六時間で到着する北方のブネール地区に侵入。ライフル銃やロケット砲で武装した勢力は数百人に上り、地元のモスクなどを占拠、学校なども襲撃しながら、同地区を巡回していたという。

これに対し、地元政府は二十四日、治安部隊を増派。タリバン広報官は「同地区からの撤退を決めた」と表明し、一部の武装勢力が撤退を始めた。撤退の理由について、一部の報道では、地元政府がイスラム法導入の実施を約束したためとしている。

同地区が含まれるマラカンド地域では、ザルダリ大統領が十三日、停戦と引き換えに、タリバンの要求であるイスラム法の導入を承認。タリバンは近くのスワト地区を拠点として、同法の導入地区を増やし、実効支配地域を拡大したい狙いとみられる。

タリバンなどのイスラム勢力はアフガン国境に接する部族地域が主な活動拠点だった。タリバン広報官は、国際テロ組織アルカイダ指導者のウサマ・ビンラディン容疑者のスワト地区入りを「歓迎する」と述べ、テロリストをかくまう姿勢を示している。

米国政府は、パキスタン政府のイスラム法導入の承認などが武装勢力への“譲歩”だとして強い懸念を示しており、クリントン国務長官は二十二日、「パキスタンがテロリストの手に落ちる危険性がある」と警戒感を示している。

パキスタン情勢を強く懸念 米クリントン国務長官
2009年4月24日【ワシントン=鵜飼啓】朝日新聞

クリントン米国務長官は23日の下院歳出委員会で、反政府武装勢力タリバーンが攻勢を強めるパキスタンについて「反乱の増加で情勢が不安定化しており、深く懸念している」と述べた。オバマ政権は同国への支援強化を打ち出したが、長官は成果への評価基準を導入する考えも示した。

パキスタンでは、タリバーンが首都イスラマバードから約100キロの町まで侵攻している。クリントン氏は、パキスタン政府に対して「(安全保障の)焦点を長年の敵対関係にあるインドから過激派対策に移すよう働きかけてきた」ともした。

 一方で、クリントン氏はイスラム政党の中からもタリバーンの侵攻を懸念する声が上がり始めたとして歓迎。パキスタン政府も危機感を強めていることから、武装勢力掃討を強化させる機会にもなりうるとの考えを示した。

パキスタン:スワート地区、武装勢力が再び拡大 和平協定、政府が履行逡巡
【ニューデリー栗田慎一】

パキスタンのザルダリ政権と北西辺境州スワート地区の武装勢力の間で14日に和平協定が発効したが、同地へのイスラム法導入を巡る双方の解釈の違いが早くも表面化し、武装勢力が再び首都イスラマバード方面へ支配地域を広げ始めている。背景には、和平に批判的な米国に配慮して協定の履行に踏み切れない政府側の逡巡(しゅんじゅん)と、武装勢力の強い反米感情や政府への不信感がある。

「(国際テロ組織アルカイダの)ビンラディン(容疑者)は兄弟のようなもの。いつでもここに来ることができる」。21日、AP通信がスワート地区の武装勢力広報官の言葉を報じると、政府内に衝撃が走った。

武装勢力はスワート地区へのイスラム法の導入を条件に、政府との和平協定に応じた。だが、今週に入り「政府はイスラム法を学んだ裁判官の着任を拒み、通常の裁判官を求めた」と非難し始めた。同時に同州バヌー、シャングラパン、マンセラ地区に独自の検問所などを設け、支配地域を首都から約100キロの地点にまで拡大。協定履行を求めている。

一方、ザルダリ大統領が和平協定に署名したのは、生活改善のために和平を求める地元住民の願いに応えるためだった。しかし、署名直後に米政府は「失望した」と声明を出し、国内の一部議員も「ひとつの国に二つの司法制度は容認できない」と非難。政府と武装勢力の見解の違いはこうした状況の中で表面化していった。

パキスタン政府が米国の意をくんで協定を形骸(けいがい)化すれば、武装勢力はさらに過激さを増し、米国が目指す隣国アフガニスタンの安定化にも悪影響を及ぼしかねない状況だ。毎日新聞 2009年4月23日

米の越境攻撃活発化 パキスタン 報復テロ激化 治安悪化加速も
2009年4月20日 東京新聞【バンコク=林浩樹】

イスラム武装勢力の拠点になっているパキスタン北西部の部族地域で十九日、米軍の無人機からとみられるミサイル攻撃があり、AFP通信によると少なくとも三人が死亡した。同武装勢力は米軍攻撃に合わせて報復テロを活発化させている。

日本を含む国際社会は十七日、パキスタン支援国会合で多額の財政支援を決めたが、米国が武装勢力の掃討を強化すれば同国内の治安悪化に拍車を掛け、テロとの戦いへの支援が期待外れに陥る恐れもある。

隣国アフガニスタンからとみられるパキスタンへの越境空爆は、オバマ米政権がアフガン新戦略を打ち出した三月末から少なくとも七件と増加傾向にある。米国が「テロリストの温床」とみる部族地域をたたく姿勢は明白だ。十九日はアフガン旧政権タリバンと関係が深い武装勢力の本拠地の南ワジリスタン地区に、ミサイル二発が撃ち込まれた。

一連の米軍攻撃に対して、武装勢力は米国に協力する治安当局を狙った報復テロを激化。三月三十日には東部ラホールの警察訓練施設を襲撃し、二十人以上を殺害した。一方、米国は財政支援をてこにタリバン穏健派との対話を模索するが、パキスタンのザルダリ大統領は十三日、北西辺境州スワト地区のイスラム武装勢力と州政府の和平合意を承認。しかし、同勢力は過激派とされ、停戦により同地域が過激派の「隠れ家」になる懸念が強い。和平を批判する米国がこうした事態を確認すれば、越境攻撃を拡大するのは必至だ。

米軍の越境攻撃を半ば黙認するザルダリ政権への国民の反発も根強い。シャリフ元首相率いる野党イスラム教徒連盟シャリフ派は十六日、与党から要請された政権入りを拒否、閣外協力にとどめた。国際社会の総額五十億ドル(約五千億円)超の財政支援をもってしても、経済や治安の好転が望めず、政権入りは得策ではないと判断したようだ。      

パキスタン50億ドル支援決まる、治安対策など要望相次ぐ

日本政府と世界銀行が主催する「パキスタン支援国会合」が17日、都内のホテルで開かれた。経済危機が続くパキスタンの貧困の改善や保健、教育分野に向けた同国政府の取り組みを後押しするため、今後2年間で総額50億ドル(約5000億円)超を拠出することを決めた。

会合は、パキスタンでの貧困とテロの連鎖を絶つのが狙いで、最終的に日本、米国、中国、イランなど31か国、18国際機関が参加した。日本は昨年11月に国際通貨基金(IMF)が策定したプログラムを着実に実行することを前提に、最大10億ドル(約1000億円)の支援を表明。米国も10億ドルを拠出する方針を示した。

日本政府は今回の会合で、支援総額40億ドル(約4000億円)を目指してきた。しかし、隣国アフガニスタンの治安にも影響を与えるパキスタンへの関心の高さから、中東、アジア諸国も支援を表明し、支援額は当初の想定を上回った。一方、アフガンとの国境地帯を中心とした治安対策や、社会的格差の是正などに取り組むよう、パキスタン政府への要望が相次いだ。

共同議長を務めた中曽根外相は、終了後の共同記者会見で、「パキスタンが、国際的なテロ撲滅に向けた対応を強化することを望む」と述べた。支援国会合に先だち、パキスタンの政治的安定に向けた中期的戦略を協議する「フレンズ(友好国)会合」が行われた。パキスタンの経済改革を支援することを確認した。 (2009年4月18日  読売新聞

パキスタン支援:米政権「支援と圧力」のバランスに苦慮
【ワシントン草野和彦】

アフガニスタン戦略に絡み、オバマ米政権がパキスタン支援を強化するのは、武装勢力が拠点を持つ同国には米軍が駐留しておらず、パキスタンに自力で立ち向かってもらうしかすべがないためだ。さらに、核保有国である同国の民主政権が崩壊した場合、アフガン以上の脅威になるとの懸念もある。

オバマ政権は「テロリストの避難場所」とみなすアフガン国境沿いのパキスタン北西部の部族地域に対し、ブッシュ前政権が始めた無人飛行機による空爆を継続しているが、「アフガン駐留米軍の越境攻撃」は否定している。表向きの理由はパキスタンの主権尊重。空爆による市民の犠牲者増加でパキスタン国内の反米感情が高揚する中、越境攻撃はパキスタン政府への打撃になるとの判断もある。

パキスタンはアフガンと比べ人口が約6倍、経済力も国内総生産が10倍以上。不安定化に伴う国際社会への影響は、より深刻さを増すのが明らかだ。過激主義の温床となる貧困に、経済危機が輪をかけているパキスタンに対し、オバマ政権は5年間で総額75億ドルの直接支援を発表。国際社会にも援助を求める背景には、こうした事情がある。

ただ、オバマ大統領は「白地小切手は与えない」と言明。経済復興や対テロ対策などの指標を設定し、パキスタン政府が達成できなければ、支援凍結もちらつかせる。特にパキスタン軍情報機関(ISI)が、タリバンなどとの関係を断ち切ることを求めている。一方、「脆弱(ぜいじゃく)なザルダリ政権にできることは限られている。米国は要求し過ぎる」(ブルッキングス研究所のコーエン上級研究員)との見方もあり、オバマ政権は「支援と圧力」のバランスに苦慮しているのが実情だ。毎日新聞 2009年4月17日

パキスタン最大野党、連立与党への参加を拒否
【イスラマバード=酒井圭吾】

パキスタンの最大野党イスラム教徒連盟ナワズ・シャリフ派(PML―N)の最高指導者、ナワズ・シャリフ元首相は16日、イスラマバードで記者会見し、連立与党への参加を断ったと発表した。   閣外協力には応じるという。

首相を2度にわたって務めたシャリフ氏は、3月に先導した大規模デモで政府から全面的な譲歩を勝ち取り、影響力を強めている。最大与党のパキスタン人民党(PPP)は政権の安定を図るため、PML―Nに連立入りを要請していた。シャリフ氏は会見で、「政府が任期をどう全うするかを見届けたい。我々は(閣外から)無条件の支援を行う」と述べた。(2009年4月17日 読売新聞) 

首相、パキスタン支援に1千億円 「経済開発とテロ対策重要」
2009年4月16日

麻生太郎首相は16日夜、パキスタンのザルダリ大統領と官邸で会談し、パキスタン安定化のため最大10億ドル(約1000億円)を支援すると表明した。政治、経済両分野での2国間関係強化に向け、次官級協議を開催することでも合意した。約40の国と国際機関が参加して17日に都内で開かれるパキスタン支援国会合では、全体の支援表明額は約40億ドルとなる見通し。

日本が米国と並び最大支援国になるのは確実だ。首相は「安定化には経済開発とテロ対策が極めて重要。国境を接するアフガニスタンの安定も決定的に大事だ」と強調。ザルダリ氏は「テロ撲滅に真剣に取り組んでいる」と答えた。核不拡散問題をめぐっても意見交換し、首相は「パキスタンの不拡散の取り組みを注視している」と指摘した。(共同)

自爆テロで17人死亡 パキスタン北西辺境州
2009年4月16日 【イスラマバード15日共同】

パキスタン北西辺境州チャルサダ郊外で15日、警察の検問所に爆弾を積んだ車が突っ込む自爆テロがあり、地元警察幹部ら警官9人を含む少なくとも17人が死亡した。警察当局者が明らかにした。

チャルサダはイスラム武装勢力の活動が活発な北西部の部族地域に近い。部族地域では隣国アフガニスタン駐留米軍の無人機によるミサイル爆撃が頻発しており、武装勢力が報復テロを繰り返している。当局者によると、付近で爆発物を積んだ別の車が発見され、警察は乗っていた男を拘束した。      

パキスタン大統領:武装勢力との和平協定署名 米国は反発
【ニューデリー栗田慎一】

パキスタンのザルダリ大統領は13日夜、北西辺境州スワート地区の武装勢力と2月に合意した和平協定に署名し、協定は14日に発効した。これに基づき、同地区にイスラム法が導入され、武装勢力側も武装解除を約束した。戦闘再開による貧困拡大の危機にあった地元では、協定の発効を歓迎している。

ただ、米国は和平に反発しており、今後、米国のアフガニスタン包括戦略のパキスタン支援に影響する可能性もある。下院は13日、ザルダリ大統領に早期署名を求める議案を賛成多数で可決。ザルダリ氏は東京で17日から始まるパキスタン支援国会合出席のため出国する直前、署名に応じた。

武装勢力側は「ザルダリ氏が署名を棚上げしている」と批判し、首都へ向けて進軍を開始。州政府与党も、ザルダリ氏が率いるパキスタン人民党との連立解消を通告し、新たな政局問題に発展する恐れが高まっていた。毎日新聞 2009年4月14日

パキスタン支援:会合参加国、4000億円拠出表明へ

政府が17日に世界銀行と共同開催するパキスタン支援国会合で、参加国が2年間で総額計約40億ドル(約4000億円)の支援を表明することが14日、固まった。政府は最大で約10億ドルを拠出予定だが、支援内容でパキスタン政府との調整は難航し、使途の具体案が固まらないまま、額面が公表される見通しだ。会合にはパキスタンのザルダリ大統領や米国のホルブルック特別代表(アフガニスタン・パキスタン問題担当)ら約30カ国と国際機関の代表が参加予定。

関係国の調整で米国が日本と同じ約10億ドル、欧州連合(EU)は英国の約5億ドルを筆頭に全体で約10億ドル、世銀やその他の国の支援は約10億ドルの計約40億ドルの枠組みとなる。日本の10億ドルについては
(1)所得格差を広げずに財政赤字の削減を目指す経済改革支援
(2)「テロの温床」と言われるアフガニスタンとの国境地域を視野に入れた貧困層支援--が2本柱となる見通し。

日本は拠出の条件として国際通貨基金(IMF)プログラムの着実な履行をパキスタン政府に要求。資金協力の多くは有償で、16日の日パ首脳会談で麻生太郎首相が表明する。ただ、事前の協議で、パキスタン側は貧困層に所得を直接再配分する「ベナジール所得支援プログラム」への日本の参加を要請。日本側は「バラマキの効果は限定的」と難色を示し、支援をめぐる両国の姿勢の違いが浮き彫りになっている。

政府内には、支援金をいったんパキスタン支援基金(仮称)としてプールし、同国内でのニーズや他国の支援の進ちょく状況を見極めながら、柔軟に支援を行う案も浮上している。【佐藤賢二郎】毎日新聞 2009年4月15日

米兵脳損傷:対策不備のままアフガン増派 犠牲、増加も
【ワシントン大治朋子】

オバマ米大統領が重視するアフガニスタンへの米軍増派が、武装勢力の爆弾攻撃で多発している米兵の外傷性脳損傷(TBI)対策などが十分にとられないまま進められることが分かった。米国防総省が取材に、爆弾対策に有効な新型装甲車の実戦配備が今秋までの増派に間に合わず、今年末以降に始まると明らかにした。アフガンでの米兵死傷者はすでに過去最悪のペースで増加しており、事態の悪化が予想されている。

武装勢力によるIED(即席爆発装置)と呼ばれる手製爆弾攻撃は、03年夏ごろからイラクで激化した。米軍は車体底部がV字形で爆発の衝撃を逃がし、地雷にも耐えうる特殊な大型装甲車(MRAP)を開発。240億ドル(約2兆4000億円)を投じ、07年からイラク(1万台)とアフガン(約2000台)に配備した。イラクでは同年の3万人規模の米軍増派とも重なり、08年の米兵死傷者は前年の3分の1にとどまり、TBI発症の米兵も減少した。

米軍によると、同装甲車に乗車の米兵が死傷する割合は6%。従来の軍用車両の3~4倍の安全性で、米兵の「生存可能性が最も高い車両」(モレル国防総省報道官)とされる。しかし重量(7~22トン)があるうえ機動性に欠け、イラクに比べ道路や橋が劣悪で地形の険しいアフガンでは通行不能な地域が多く、運用が極めて限られている。一方、アフガンでは旧支配勢力タリバンなどによる攻撃が07年以降激化し、08年の米兵死傷者数は過去最悪の922人(死者132人)となった。

同省はアフガンの地形にあった新型装甲車を07年から開発。しかし安全性と軽量化の両立に時間がかかり、昨年末に製造業者を募集した。実戦配備(最大1万台)は今年末以降になるという。オバマ大統領は今年春から秋までに米兵2万1000人を段階的に増派する。バイデン副大統領は今回の増派によりタリバンなど「敵との交戦が激化する」と指摘。米兵の犠牲が上昇するとの見方を示している。毎日新聞 2009年4月14日

パキスタン支援、6千億円に=開発援助と治安維持で-世銀幹部見通し
【ワシントン13日時事】

世界銀行のゲレロ南アジア担当副総裁は13日、日本が世銀との共催で17日に東京で開くパキスタン支援国会合で、同国に対し2年間で40億ドル(約4000億円)の開発援助を取りまとめる方向で調整していることを明らかにした。記者団との懇談で語った。

また同副総裁は、この会合と別に開かれるパキスタン友邦国会合では、政治安定や治安維持のために20億ドル(約2000億円)を支援する方向だとの見通しも表明。合わせて同国への支援額は60億ドル(約6000億円)前後に上る可能性があるとしている。

パキスタン大統領「貧困が過激派形成」…来日前に支援要請
【イスラマバード=酒井圭吾】

17日に東京で開催されるパキスタン支援国会合に出席するため来日する同国のザルダリ大統領が11日、イスラマバードの大統領府で、本紙など日本の一部報道機関と会見し、同国で伸長するイスラム過激派について、「貧困が過激派を形成している」と述べ、経済支援が、過激派によるテロの抑制に直結すると強調した。

その上で、「国際社会は、パキスタンを支援することが、自分たちを助けることにつながることに気付くだろう」と述べた。また、隣国アフガニスタンへの自衛隊派遣については「日本が決める問題」としつつも、「世界は(日本を)より必要としている」と指摘した。支援国会合が日本で開催されることには、「過去の援助も含めて、日本に感謝している」と述べた。(2009年4月12日読売新聞

米、アフガン政権の7割移譲提示 水面下協議、タリバン拒絶
2009年4月11日【イスラマバード11日共同】

アフガニスタンの停戦に向けた水面下の協議に関与したパキスタン情報当局筋は11日までに、米国側が反政府武装勢力タリバン側の政権入りを認め、閣僚や官僚など「政権の7割」を移譲することを打診したと明らかにした。同筋によると、タリバンは米軍の撤退を求め拒絶した。

タリバンの影響力が強い政権が樹立されれば、ブッシュ前米政権がタリバン政権を攻撃し、崩壊させた2001年以前に逆戻りすることになる。オバマ米政権は将来のアフガン撤退を見据えて大きく譲歩した形だが、攻勢を強めているタリバンは強気の姿勢。アフガン問題解決の難しさがあらためて浮き彫りになった。

当局筋によると、米側が提示した条件は、タリバン側が閣僚や官僚の7割を掌握し、カルザイ現政権が1割、有力政治家で構成される唯一の全国政党「国民戦線」が1割、残りを他の各グループが担う一方で、タリバンは内部から国際テロ組織アルカイダを放逐する。

米側はタリバン関係者のほか、タリバンと協力関係にある武装勢力「ヒズブ・イスラミ」を率いるヘクマティアル元首相の関係者とも協議。今年に入り、米政府代理人らが出席し、英ロンドン、リビア、サウジアラビアで協議は少なくとも3回開かれた。   

アフガン支援、イランと合同で麻薬撲滅や職業訓練へ…政府

アフガニスタンの安定化に向け、政府がイランと共同で麻薬撲滅や職業訓練などの支援に取り組むことで合意し、近く発表することが9日、明らかになった。

アフガン安定化は、オバマ米政権が最重要課題と位置づけており、日本としては、米国が国交を持たないイランとの協力を通じ、アフガン復興に貢献する狙いだ。イランのアッバス・アラグチ駐日大使が読売新聞との会見で明らかにした。共同支援は、
〈1〉麻薬の密輸ルートを断つための国境警備強化
〈2〉民間部門とも協力した職業訓練
〈3〉イラン国内にいるアフガン難民の帰還支援――が柱となる。

特に麻薬については、イラン経由で欧州などに密輸され国際問題となっており、イラン側が取り締まりに当たるアフガン警察を訓練する一方、日本が車両などの装備を提供。両国が「得意分野」で貢献することで撲滅を目指す。

大使によると、両国は今月17日に東京で行われるパキスタン支援国会合に合わせて発表する方向で調整中という。イランは、核問題などを巡り国際社会と対立しているが、アフガン安定化では米国などと利害が一致する。日本との支援の枠組みに参加することで、国際的な孤立を脱する狙いもあると見られる。

一方、アラグチ大使は、北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向け、「イランが出来ることがあれば、行う用意があると日本政府に伝えた」と述べた。北朝鮮との国交を利用し、仲介に乗り出す意向を示したもので、既に拉致被害者の家族とも接触したという。北朝鮮とミサイル開発で協力しているとの報道については、「何年も前にあらゆる協力を停止した」と否定した。
2009年4月10日  読売新聞

米・パキスタン・アフガン、地域安定へ3国政策チーム
2009年2月10日【イスラマバード=高野弦】朝日新聞

米国のホルブルック・アフガン問題担当特使は10日、イスラマバードでザルダリ・パキスタン大統領らと会談し、地域の安定化に向け、米、パキスタン、アフガニスタンの3カ国による「政策チーム」を4月までにつくることで合意した。テロ対策にあたって米国主導の色合いを薄め、各国が一致して取り組む狙いだ。

軍事や経済開発など多方面にわたってテロ撲滅のための方法を検討する。米国はホルブルック氏、パキスタンではクレシ外相が代表を務める。会見したクレシ外相は「軍事力の行使は必要だが、長期的な解決策にはならないという点で一致した」と述べた。 ザルダリ大統領は、米軍によるアフガン国境付近の爆撃についても慎重な対応を求めたという。

独首相がアフガン電撃訪問 直後、基地周辺に迫撃砲攻撃
2009年4月7日【ケルン(ドイツ西部)=金井和之】朝日新聞

ドイツのメルケル首相は6日、国際治安支援部隊(ISAF)としてアフガニスタン北部に駐留する独部隊を電撃訪問した。訪問後、基地周辺に2発の迫撃砲による攻撃があった。メルケル氏は予告なしにクンドゥズやマザリシャリフにある基地などを訪問。「ここには我々が想定する軍事的治安と共に地元との共同作業による多くのプロジェクトがある」と激励した。首相の訪問は07年11月に次いで2度目。

直前にあった北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、独は夏に実施されるアフガン大統領選挙に向けて約600人の増派を表明。だが、期間には言及しておらず、増派への消極姿勢に対する批判を現地訪問でかわす狙いがあると見られる。 独政府は同日の定例会見で、首相がクンドゥズ基地を離れた約20分後に、基地周辺に迫撃砲2発が撃ち込まれたことを明らかにした。DPA通信によると、反政府勢力のタリバーンが首相を標的にした攻撃であることを認めているという。

オバマ氏アフガン5千人増派評価 次の節目、東京の支援国会議
2009年4月5日 【ストラスブール(フランス北東部)5日共同】

オバマ米大統領は4日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議閉幕後にストラスブールで記者会見し、NATO加盟国と非加盟のパートナー国がアフガニスタンへの計約5000人の部隊増派に同意したことについて「具体的な数字を伴った貢献で非常に意味がある」と評価した。

大統領はNATO首脳会議で新アフガン包括戦略への承認を取り付け、同戦略は実行段階に入った。米政府は4月17日に東京で開催されるパキスタン支援国会議を一連の安定化プロセスの「次の節目」(米高官)と位置付けている。

ホワイトハウス当局者は4日、共同通信に対し、増派される計約5000人部隊のうち、約3000人は8月の大統領選を円滑に遂行するため治安確保などの選挙支援に従事、残りの2000人はアフガン国軍・警察の訓練に当たると説明した。大統領は会見で「米国単独で困難な諸課題に対処することはできないし、欧州も米国抜きでそれらに立ち向かうことはできない」と述べ、今後も欧州の貢献を求めていく意向を示した。
      
NATO、アフガン増派5千人合意 恒常化には慎重姿勢
2009年4月5日【ストラスブール(フランス東部)=井田香奈子、望月洋嗣】朝日新聞

北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議は最終日の4日、アフガニスタン対策について、軍事的手段だけでは対応できないとの認識で一致。軍による治安維持とともに、アフガン国軍・警察の育成や、民生面の支援にも重点を置くことで合意した。8月の大統領選などに向け、計約5千人の増派でも合意したが、米国が求めた恒常的な大規模増派には多くの国が慎重な姿勢を示した。

初参加のオバマ米大統領は会議終了後の会見で、軍事・民生の両面でアフガンへの関与を強めていく米国の新戦略を「各国首脳が全会一致で強く支持したことを喜んでいる」と述べた。オバマ氏はNATO加盟国による増派を、大統領選での治安維持に向けて派遣される3千人と、国軍などの指導にあたる2千人の計5千人と説明。アフガン対策をめぐり、欧州と米国が共同歩調を取っているとの見解を強調した。

米国はすでに計2万1千人の増派を表明し、今回の会議での欧州の対応を期待していた。しかし、欧州各国が検討したのは、主に大統領選に向けての増派で、大統領選後もとどまるかは微妙だ。背景には、アフガン派兵への支持が、欧州各国の世論ではおおむね低い現実がある。駐留軍に占める米軍の割合はいずれ、全体の3分の2程度まで高まる可能性がある。

一方で、各国が合意したのがアフガン国軍や警察の指導・育成、インフラなどの復興支援に必要な資金援助など、国際治安支援部隊(ISAF)の規模縮小や将来的な撤収につながる基盤作りだ。アフガン国軍の幹部養成任務をISAFが新たに担い、警察官の指導役の派遣も検討している。

欧州諸国が恒常的な増派に慎重な姿勢を崩さなかったことについて、オバマ氏は「指導・教育に当たる部隊はタリバーンを掃討する部隊と同様に重要。包括的な対応が我々の戦略だ」と述べた。首脳会議ではこのほか、NATO領域外の危機管理などに任務を拡大した10年前の「新戦略概念」の見直しにも着手。その後、新たに浮上したサイバーテロ、気候変動などへの対応や、どの地域の危機にまで対応するかなども検討し、来年末の首脳会議でまとめる意向だ。 

パキスタン:アフガン米軍のミサイルで市民ら10人死亡
【ニューデリー栗田慎一】

パキスタン部族地域・南ワジリスタン管区に4日、アフガニスタン駐留米軍のミサイルが着弾し、地元住民によると、市民ら少なくとも10人が死亡した。地元当局者は、死者に武装勢力メンバーも含まれているとしている。北東約120キロのペシャワル郊外では3日、アフガンのNATO軍に搬送予定だった軍用車両9台が武装勢力に破壊された。

南ワジリスタン管区は、米国が賞金を掛けて行方を追う武装勢力のメスード最高司令官の拠点。毎日新聞 2009年4月4日 

パキスタン:アフガン駐留米軍のミサイル、攻撃範囲が拡大
【ニューデリー栗田慎一】

アフガニスタン国境に近いパキスタン部族地域「オラクザイ管区」に1日、アフガン駐留米軍の越境ミサイル2発が着弾し、武装勢力メンバーとみられる10人が死亡、7人が負傷した。同管区へのミサイル攻撃は初めてで、攻撃範囲が拡大している。毎日新聞 2009年4月1日
 
 外相、アフガン文民派遣を伝達 カルザイ大統領に
【ハーグ1日共同】

中曽根弘文外相は31日、アフガニスタンのカルザイ大統領とオランダ・ハーグで会談し、アフガンに展開する国際治安支援部隊(ISAF)の地方復興チーム(PRT)に近く日本の文民チームを派遣する方針を伝えた。アフガン中西部に外務省職員ら数人を派遣する方針。

カルザイ氏は日本がアフガン支援で主導的役割を果たしているとして謝意を表し「(派遣地域は)開発が遅れているので状況の改善を期待する」と述べた。中曽根氏は8月のアフガン大統領選が自由、公正に行われる必要があると指摘。カルザイ氏は「疑念を持たれないように行われる必要があることを十分理解しており、最善を尽くしたい」と述べ、日本が選挙監視団を派遣するよう求めた。

アフガン安定化:国際支援拡充・連携の議長声明 会議閉幕
【ハーグ(オランダ西部)福島良典】毎日新聞

オランダ・ハーグで開かれたアフガニスタン安定化国際会議は31日、アフガンに対する軍民両面の支援強化を盛り込んだオバマ米政権の新戦略を評価、国際支援の拡充と連携をうたった議長声明を発表し、閉幕した。

議長声明は8月20日のアフガン大統領選に向け、
(1)汚職体質が指摘されるアフガン統治機構の改革
(2)農業振興などを通じた開発の加速
(3)アフガン軍・警察の強化による治安の改善
(4)パキスタン、イランなど近隣諸国との地域協力の強化--を重視すると宣言し、支援を調整する国連の役割を強調した。

また、議長声明は武装勢力タリバンのうち穏健派の取り込みに言及し、アフガン政府に対し、穏健派の政治参加を促すよう求めた。クリントン米国務長官は会議で「タリバンの側に立って戦っている人々の多くは信念でなく、絶望から(戦闘に)参加している」と述べ、穏健派との対話を模索するアフガン政府の姿勢を支持した。

【社説】  米アフガン戦略 試される『賢い外交』
2009年3月31日東京新聞

オバマ米政権がアフガニスタン安定化に向けた包括的戦略を発表した。三十一日には国際会議も開かれる。非軍事面での支援と、アフガン周辺国との連携による新外交戦略がかぎを握っている。アフガンでは旧政権タリバンの支持勢力と、国際テロ組織アルカイダが攻勢を強めている。米国は既に一万七千人の兵力増派を決め、両組織の掃討作戦を強化する。今回は新たに約四千人の兵員増派を決めた。主な任務はアフガン政府軍と警察部隊の訓練だ。

米国はこれと並行し、行政や司法、農業の専門家ら数百人を派遣する。国内外から指摘されるカルザイ政権の腐敗を改善し、統治能力を高めて、テロの温床をなくそうというものだ。軍事作戦に最重点を置いたブッシュ前政権と比べれば、国造りこそテロ対策とする米国の大きな路線転換といえる。

新戦略はアフガン周辺のイスラム諸国との協力も重視している。隣国パキスタンの部族地域は反米イスラム過激派の拠点になっており、アルカイダの勢力も潜んでいるといわれる。パキスタンに対し今後五年間、毎年十五億ドルの援助を行うと決めた。援助によって国内経済の好転と治安を回復させ、ザルダリ政権がテロ対策に本腰を入れれば、同国だけではなくアフガンの安定にも寄与するという計算だろう。

米国の新戦略は軍事力を増強すると同時に経済、文化、民生支援、外交など多角的なアプローチを行う。これはオバマ政権が唱える「スマートパワー」、つまり賢い外交能力であり、アフガンがその試金石となる。オランダ・ハーグで三十一日、アフガン支援の国際的な枠組みを話し合う会議が開かれる。アフガンに派兵している欧州諸国はさらなる増派には消極的で、代わりに経済や民生支援を打ち出すようだ。米国と長年敵対してきたイランが出席するが、イランをアフガン問題にどこまで関与させられるかが焦点となる。

日本は既に総額二十億ドルの民生支援をしており、会議ではアフガンの全警察官(約八万人)の半年分の給与を負担し、学校二百校を建設すると提案する。米国がアフガンに介入してから既に七年半。戦闘の長期化を防ぐには、米国の新戦略を受けて、国際社会があらためてアフガンへの支援体制を築き直すことがいま問われている。      

NATO:アフガン治安部隊育成に20億ドル…事務総長
【ハーグ(オランダ西部)福島良典】毎日新聞

北大西洋条約機構(NATO)のデホープスヘッフェル事務総長は30日付英紙フィナンシャル・タイムズ紙とのインタビューで、アフガニスタン治安部隊の育成・訓練に年間20億ドル(約1930億円)が必要になるとの見通しを示し、日本など支援国に協力を求めた

アフガン軍・警察への国際支援は31日にオランダ・ハーグで開かれるアフガン安定化のための国際会議と、4月3、4日に仏独国境地帯で開催されるNATO首脳会議の主要議題となる。事務総長は「(アフガンに)部隊を派遣しているNATO加盟国が年間20億ドルをまかなうのは不可能だ」と述べ、日本やサウジアラビアをはじめとするペルシャ湾岸諸国の資金協力に期待を表明した。日本は既にアフガン警官の半年分の給与を負担することを表明している。

米 包括戦略発表したが  パキスタン軍なおタリバン支援 アフガン安定障害大きく 
2009年3月30日 東京新聞【ワシントン=嶋田昭浩】

オバマ米大統領はアフガニスタン安定化に向けて包括戦略を発表したが、27日には同国北東部でアフガン軍兵士が米兵2人を射殺。米軍制服組トップは、アフガン反政府武装勢力タリバンを現在も支援しているとして隣国パキスタンの軍情報機関を批判するなど、安定化への障害は大きいようだ。

アフガンのカルザイ大統領は二十八日、同国軍訓練のため米兵約四千人を増派するとしたオバマ大統領の包括戦略を「全面的に支持する」と表明。しかし、米兵射殺事件は軍内部にタリバン関係者が潜入している可能性を示し、国軍強化の難しさを浮き彫りにした。

一方、パキスタンに対して、オバマ大統領は大規模な民生支援を打ち出した。だが、同国の三軍統合情報部(ISI)は、タリバンの「育ての親」とされ、国境を接するアフガニスタン、インド両国をけん制するため、タリバンなどの武装勢力を利用していると指摘されてきた。

マレン米統合参謀本部議長は二十七日、米CNNテレビに出演し、ISIの一部によるタリバ
ンや国際テロ組織アルカイダへの支援について「(今でも)その兆候が確かにある」と強調。「ISIは根本的に変わる必要がある」と主張した。      

米アフガン戦略:「対テロ」強化要求に懸念
【ニューデリー栗田慎一】毎日新聞 2009年3月28日

オバマ米政権のアフガニスタン新包括戦略について、アフガンとパキスタンの両政府は27日、民生部門の支援拡大を歓迎する一方、「見返り」として国際テロ組織アルカイダなどの掃討強化を求められたことに懸念を示した。

パキスタンへの総額75億ドルの民生支援について、ザルダリ大統領は「パキスタンの民主化を強化する米国の戦略を歓迎する」との声明を出した。パキスタンは米国に対し、武装勢力タリバン指導者らの殺害をやめ、政治プロセスに参加させるよう水面下で求めてきた。オバマ大統領は新戦略でタリバン穏健派との対話姿勢を見せつつ、強硬派の打倒を明言。このため、パキスタン側は民生支援について、国境地域での掃討作戦強化や、米軍の越境ミサイル攻撃を認める「見返り」(府幹部)と受け止めている。

アフガンのカルザイ大統領も新戦略の歓迎を表明したが、内務省幹部は「米軍の空爆による民間人の犠牲には言及しなかった」と反発。ブッシュ前政権からと同様、オバマ政権からも「タリバンか、米国か」の択一を迫られた、との認識だ。米国が目指すアフガン治安部隊の増員についても「拙速な増員は民族間の軍事的均衡を崩し、内戦を誘発する」と懸念している。

米がアフガン包括戦略 パキスタン支援 3倍の年15億ドル
2009年3月28日 東京新聞 【ワシントン=岩田仲弘】

オバマ米大統領は二十七日、アフガニスタン安定化に向け、軍事、非軍事両面の強化を盛り込んだ新たな包括戦略を発表した。大統領は、アフガン・パキスタン国境地帯で活動を続ける国際テロ組織アルカイダを一掃する必要性を指摘しつつ、「アフガンとパキスタンの将来(の安定)は切り離せない」と強調。学校・病院建設やインフラ整備などパキスタン向け民生支援を今後五年間、これまでの三倍となる毎年十五億ドル(約千五百億円)に拡大する方針を明らかにした。

軍事面では、既に夏までに増派が決定している一万七千人に加え、アフガン国軍と警察部隊を強化するため新たに約四千人を派兵する方針を表明。アルカイダ掃討作戦をてこ入れし、八月の大統領選の円滑な実施に向けた環境整備を図るとともに、治安任務をアフガン側に徐々に引き渡す。米軍撤退に向けた「出口戦略」の色合いを強く打ち出したが、撤退年限は設けていない。

非軍事面では、農業専門家や教員、弁護士ら文民要員数百人を新たに派遣。行政機能を強化することで、イスラム過激派勢力の影響力排除を狙う。大統領はまた、地域の安定に向け、イランと協力していく姿勢も示した。

アル・カーイダ「粉砕」 オバマ大統領が新戦略発表
【ワシントン=黒瀬悦成】

オバマ米大統領は27日、ワシントンで、アフガニスタンでの対テロ戦略を全面的に見直す包括的新戦略を発表した。軍事作戦に加え、アフガンの経済復興支援や統治能力の向上支援などの多角的な取り組みを通じ、治安回復と政情の安定化を目指す。

大統領は、国際テロ組織アル・カーイダが「更なる対米攻撃を企図している」と警告。新戦略の最大目標として、アフガンの隣国パキスタンに拠点を移し、テロ活動を展開しているアル・カーイダの「粉砕、解体、壊滅」を掲げた。また、対テロ共闘の強化に向け、軍事援助を含む対パキスタン支援を従来の3倍に当たる最大15億ドル(約1500億円)規模に増額し、今後5年間にわたり実施する方針を表明。同時に、4月17日に東京で開かれる「パキスタン支援国会合」などを通じ、日欧などに「応分の貢献」を求める意向を示した。

オバマ政権は、今年夏までにアフガンに増派が決まっている米軍部隊1万7000人によって武装勢力の掃討作戦を強化し、8月に予定される大統領選の円滑な実施を目指す。加えて、教育訓練部隊4000人を派遣してアフガン国軍・警察部隊を2011年までに計21万6000人まで大幅拡充させる。民生分野では、米政府が省庁職員や民間専門家数百人を派遣するとともに、日本や欧州の同盟国に対し、「選挙支援、治安部隊の育成など明確に定義された分野」での支援を求めた。(2009年3月28日読売新聞

アフガンへ文民増員 大統領「銃弾だけでは勝てぬ」
2009年3月27日朝日新聞【ワシントン=梅原季哉】

オバマ米大統領は27日、ホワイトハウスで演説し、アフガニスタンでの国際テロ組織アルカイダや旧政権タリバーンとの戦いが「ますます危険な状況になっている」との認識を示した上で、アフガン国軍や警察の訓練要員として米軍4千人を追加派遣するなどの包括的な新政策を発表した。

オバマ氏はすでに2月にアフガンへの約1万7千人の戦闘部隊増強を打ち出しており、合計で2万人以上の増派となった。だが、今回の新政策では「この戦いは銃弾や爆弾だけで勝つことはできない」とも強調、外交官や経済支援にあたる文民要員も増員すると明らかにした。 また、アルカイダやタリバーンが隣国パキスタンとの国境地帯を根拠地としていることから、アフガンをパキスタンと合わせた地域的な課題として扱う必要性を重視。パキスタン政府の統治能力を高めるため、少なくとも年間15億ドル(約1480億円)規模の経済支援をうたった。「どの課題も米国単独で取り組むべきではない」とも語り、北大西洋条約機構(NATO)の同盟国をはじめとする国際社会にも支援増大を求めた。

同時に、現地の治安状況や両国政府の統治能力に関する達成目標を設定する意向を示した。明確な目標なしに増派を続けて泥沼にはまったベトナム戦争の再来を避けるねらいがある。だが、オバマ氏は今回、ブッシュ前政権下の07年のイラク増派部隊について使われた、短期的な対策であることを示す「サージ(急増)」という形容をアフガンに対して用いることは避けた。

2月末に発表したイラクに関する戦略では、11年末までの全部隊撤退という形で具体的な日程を掲げていた。ところがアフガンに関しては今回、米軍撤退に関して時間的な見通しを示すことはできなかった。 オバマ氏は、アフガン、パキスタンへの経済支援を増加、法の支配確立により、過激派への支持を生む土壌を変えることをめざす。だが、根強い反米感情を消せる保証はなく、泥沼化の懸念は残る。

米のイラク復興基金、2割が浪費 アフガニスタンも同様の事態
【ワシントン25日共同】

米国のイラク復興事業を監査するスチュアート・ボーウェン特別監察官は25日、米下院軍事委員会の公聴会で証言し、これまでに210億ドル(約2兆円)が拠出された米国の「イラク救済・復興基金」のうち、最大で約2割にあたる50億ドルが「浪費された」と指摘した。

特別監察官は具体例は挙げなかったが、社会基盤の近代化や治安情勢の改善など、場当たり的な対応が無駄を助長していると指摘。アフガニスタンでも同様の事態が生じているとして、しっかりとした復興計画の策定が必要と訴えた。

アフガニスタンの難民申請85%増、治安悪化で
【ロンドン=大内佐紀】

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は24日、2008年に提出された難民申請の総数が前年より12%増加し、38万3000人になったと発表した。申請先は51か国。申請者の出身国別では、イラク(4万500人)、ソマリア(2万1800人)、ロシア(2万500人)の順。

4位のアフガニスタンは85%増の1万8500人と大幅に増加した。アフガン国内の治安悪化が大きな原因と見られる。難民が定住を希望した国では米国(4万9000人)が最も多く、カナダ(3万6900人)、フランス(3万5200人)が続いた。(2009年3月25日  読売新聞)

米、アフガン治安部隊を大幅増強へ=包括戦略で、日本負担増も
ワシントン21日時事

オバマ米大統領は週明け以降、アフガニスタンでの対テロ戦の包括戦略を発表する見通しだ。米主要メディアによると、軍などアフガン治安部隊を大幅に増強し、現在の倍以上となる40万人にすることが計画されている。また、文民の専門家数百人を派遣し、地方復興と行政改革を進める。

日本はアフガン警察官8万人の半年分の給与を負担するため、1億2400万ドル(約120億円)の拠出を決めている。治安部隊の大幅な増強が実施されれば、一層の支援を求められるのは必至だ。

ニューヨーク・タイムズ紙などによると、現在アフガン治安部隊の規模は17万人(軍9万人、警察8万人)。将来の治安権限移譲をにらみ、数年かけて40万人に増やす計画で、うち軍は26万人まで増員するという。 

米、アフガン治安回復へ文民増派…米紙

【ワシントン=黒瀬悦成】米ワシントン・ポスト紙(電子版)は18日、オバマ米政権が、アフガニスタンの治安回復と安定に向け、外交官ら文民数百人を同国に「増派」する方針を決めた、と報じた。Click here to find out more!オバマ大統領が今月中に発表予定のアフガンをめぐる「包括的新戦略」の一環で、今後は軍事分野だけでなく、外交や復興支援を重視する姿勢を鮮明にしたものだ。

同紙によると政権は、駐在する外交官の増大に伴い、在アフガン米大使館に「次席大使」を新設し、フランシス・リシャドニ元駐フィリピン大使を指名。また、国連の現地事務所の副代表格として、バルカン半島や東ティモールなど紛争地域での勤務経験がある元外交官ピーター・ガルブレイス氏を送り込み、復興活動で国連との連携を強化する。

文民の増員規模は、最大で300人程度となる見込みだ。国務省のほか、農務省や司法省からも専門家を派遣し、治安が比較的回復した地域で農業支援や司法・行政制度改革を手がける。(2009年3月19日 読売新聞

アフガニスタンにおける軍事作戦は「無価値」だ
【3月9日 AFP】

アフガニスタンに駐留する英陸軍特殊空挺(くうてい)部隊(SAS、Special Air Service)の元司令官が、7日付けの英紙で語った。英軍が参加する北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty
Organization、NATO)軍は、イスラム原理主義組織タリバン(Taliban)の武装勢力に対し地歩を保つことさえできないでいるという。

英SASのセバスチャン・モーリー(Sebastian Morley)元司令官(40)は、英デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)紙に対し、退任後初めてのインタビューに応じた。モーリー元司令官は2008年末、戦闘地域で装備が不十分な車両を使用させられていることに対して抗議し、軍を退任していた。

モーリー元司令官は、「われわれが実施している作戦は無価値だ。アフガニスタンのヘルマンド(Helmand)州で制圧しているのは非常に小さなエリアで、基地から500メートルも離れてしまえば影響力はまったくない」と語った。「タリバンとの戦闘のために外出し、基地に帰還して紅茶を飲むような状況で、われわれは一帯をまったく制圧していない。われわれが一帯を制圧していると考えたり影響力があると考えるのは正気のさたではない。兵士の犠牲者は増える以外ない状況だ。これはベトナム戦争の始まりと同じだ」(モーリー元司令官)

英国は、米国に次いで多い8300人をアフガニスタンに派遣しており、2001年以降のアフガニスタンでの戦死者は149人に上る。モーリー元司令官は、2008年6月に女性を含む英軍兵士4人が死亡したことに対し怒りの意志を表明して軍を辞めた。(c)AFP

オバマ大統領:タリバン穏健派との対話に初めて言及

オバマ米大統領は8日付の米紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューで、アフガニスタンでのテロとの戦いについて「情勢は悪化しており、勝利しつつあるとは言えない」と明言した。その上でオバマ大統領は、イスラム原理主義勢力タリバンの穏健派と対話し社会参加を促す「国民和解」の方策も米国のアフガン戦略の選択肢の一つとの認識を示した。オバマ大統領が就任後、タリバンとの対話に言及したのは初めて。

アフガンのカルザイ政権は昨年来、武装勢力の分断を図るためにタリバン穏健派との和解交渉を模索。ペトレアス米中東軍司令官も和解交渉を支持した。同司令官は、イラクの反米スンニ派武装勢力を米軍との協力に転換させ、イラクの治安改善に貢献した経緯がある。

オバマ大統領はインタビューでペトレアス司令官の見解に賛意を示し「アフガンやパキスタンでも(イラクと)同様の好機があるかもしれない」と述べた。一方で、アフガンでは、部族間の独立意識が強い歴史があり、地域を統括する政府の統治制度がほとんどないことなどを指摘。タリバン穏健派との対話と取り込みにあたって「アフガンの状況は込み入っている」と語った。米軍内でも対話相手となる穏健派の特定が難しいとの声がある。

オバマ政権はアフガンに今夏までに計1万7000人の米軍増派を決定しており、今月末までに軍事、外交、開発など包括的なアフガン戦略を策定する。2009年3月9日 【毎日新聞 ワシントン小松健一】

米軍1万2千人イラク撤収…第1弾、9月末までに

イラク政府のダバグ報道官は8日、首都バグダッドで駐留米軍報道官と共に記者会見し、9月末までに米兵1万2000人がイラクから撤収することに米国側と合意したと発表した。オバマ米政権は、来年8月末までの全戦闘部隊の撤収と2011年末までの完全撤退を表明しているが、今回の合意で第一段階の撤収が具体的に始まることになる。イラクには現在、約14万人の米兵が駐留している。  2009年3月8日 読売新聞【カイロ=福島利之】

イラク駐留米軍:第1弾1.2万人撤退--9月までに

イラク駐留米軍は8日、現在イラクに展開する14個旅団約14万人のうち、戦闘部隊を主とした2個旅団1万2000人を9月末までに撤退させると発表した。AFP通信によると、イラク政府のダッバグ報道官もこれを確認した。オバマ米大統領は先月、イラク駐留米軍の戦闘部隊を来年8月末までに撤退させる方針を表明しており、2個旅団の削減は撤退策の第1弾となる。

米軍は来年8月以降も、訓練要員ら3万5000人から5万人をイラク国内に残す方針だが、米国とイラクが結んだ地位協定では、これらの部隊も11年末までに完全撤退する。駐留米軍報道官はまた、今後数カ月以内に約4000人の英軍部隊が撤退する見通しを明らかにした。 【カイロ高橋宗男】毎日新聞

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Saturday, March 7, 2009

ソマリアの「海賊」問題 資料2

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⇒海洋法に関する国際連合条約

第100条 海賊行為の抑止のための協力の義務

すべての国は、最大限に可能な範囲で、公海その他いずれの国の管轄権にも服さない場所における海賊行為の抑止に協力する。
第101条 海賊行為の定義
海賊行為とは、次の行為をいう。
a.私有の船舶又は航空機の乗組員又は旅客が私的目的のために行うすべての不法な暴力行為、抑留又は略奪行為であって次のものに対して行われるもの
i.公海における他の船舶若しくは航空機又はこれらの内にある人若しくは財産
ii.いずれの国の管轄権にも服さない場所にある船舶、航空機、人又は財産
b.いずれかの船舶又は航空機を海賊船舶又は海賊航空機とする事実を知って当該船舶又は航空機の運航に自発的に参加するすべての行為
e.(a)又は(b)に規定する行為を扇動し又は故意に助良するすべての行為
第102条 乗組員が反乱を起こした軍艦又は政府の船舶若しくは航空機による海賊行為
前条に規定する海賊行為であって、乗組員が反乱を起こして支配している軍艦又は政府の船舶若しくは航空機が行うものは、私有の船舶又は航空機が行う行為とみなされる。
第103条 海賊船舶又は海賊航空機の定義
船舶又は航空機であって、これを実効的に支配している者が第101条に規定するいずれかの行為を行うために使用することを意図しているものについては、海賊船舶又は海賊航空機とする。当該いずれかの行為を行うために使用された船舶又は航空機であって、当該行為につき有罪とされる者により引き続き支配されているものについても、同様とする。
第104条 海賊船舶又は海賊航空機の国籍の保持又は喪失
船舶又は航空機は、海賊船舶又は海賊航空機となった場合にも、その国籍を保持することができる。国籍の保持又は喪失は、当該国籍を与えた国の法律によって決定される。
第105条 海賊船舶又は海賊航空機の拿捕
いずれの国も、公海その他いずれの国の管轄権にも服さない場所において、海賊船舶、海賊航空機又は海賊行為によって奪取され、かつ、海賊の支配下にある船舶又は航空機を拿捕し及び当該船舶又は航空機内の人を逮捕し又は財産を押収することができる。拿捕を行った国の裁判所は、科すべき刑罰を決定することができるものとし、また、善意の第三者の権利を尊重することを条件として、当該船舶、航空機又は財産についてとるべき措置を決定することができる。
第106条 十分な根拠なしに拿捕が行われた場合の責任
海賊行為の疑いに基づく船舶又は航空機の拿捕が十分な根拠なしに行われた場合には、拿捕を行った国は、その船舶又は航空機がその国籍を有する国に対し、その拿捕によって生じたいかなる損失又は損害についても責任を負う。
第107条 海賊行為を理由とする拿捕を行うとが認められる船舶及び航空機
海賊行為を理由とする拿捕は、軍艦、軍用航空機その他政府の公務に使用されていることが明らかに表示されておりかつ識別されることのできる船舶又は航空機でそのための権限を与えられているものによってのみ行うことができる。 

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ソマリア海賊:船舶向け対策マニュアル、関係国が作成 「軍と連携」求める

東アフリカ・ソマリア沖の海賊問題で、国連決議に基づいて関係各国で設置した「コンタクト・グループ」が、タンカーなど商業船舶などに向けた海賊対策マニュアルをまとめた。同海域で具体策を盛り込んだ海賊対策マニュアルが作られるのは初めて。17日にカイロで開かれる会合で正式決定される。海上警備行動で護衛艦を派遣する海上自衛隊や海上保安庁も参考にするとみられる。

マニュアルはソマリア沖を航行中、海賊に▽襲撃された時▽乗り込まれた時▽武器で攻撃された時--などの段階で船員が取るべき行動を具体的に記述。海賊に襲われた時は、国際救助信号を発して15ノット(時速28キロ)以上でジグザグ航行し、海賊の乗り込みを防ぐ。海賊が乗り込んで来た時は、抵抗をせずに船内の1カ所に集まる。海賊が武器を使用した際は、カメラは向けず両手を頭の上に乗せる--などとしている。

ソマリア沖で哨戒活動を行うEU(欧州連合)軍のホームページへの登録や、英国軍の「位置通報システム」への参加で、現地で展開する軍と連携することも求めている。
 「コンタクト・グループ」は、日本や英米など24カ国と国際海事機関(IMO)など5国際機関で構成されている。【仙石恭】毎日新聞 2009年3月9日

海賊対策法案:「脱法」行為に法的根拠 防衛省に不満も

東アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、政府が与党プロジェクトチーム(PT)に4日提示した海賊対策法案は、現行の海上警備行動では「脱法的」(政府高官)とも言われる自衛隊の遠洋派遣の法的根拠を整える狙いがある。焦点の武器使用基準を巡っては、現行法の範囲内にとどめたい首相官邸や公明党と、明確な基準緩和を求めた防衛省の調整が難航。結局、現行法の規定で収まりきれない「接近する海賊船を停船させる危害射撃」だけを新たに容認することで折り合った。

憲法問題に敏感な公明党への配慮などから、官邸サイドは海上警備行動で準用される現行の警察官職務執行法7条にこだわった。一方、防衛省は、警告を無視して海賊が接近する▽船に縄ばしごをかけて乗り込まれそうになる--など、具体的なケースを想定。「現行通りの規定では現場が判断に迷う」と反論してきた。このため、「大した緩和ではない。(海外派遣の一般的な要件を定める)恒久法の議論にもつながらない」(防衛省首脳)と、省内には法案への不満も残る。

一方、逆に逃走する海賊船への危害射撃については「現行犯であれば自衛隊にも現行法の解釈で可能」(与党PTメンバー)と結論づけた。これは、従来の海外派遣では行われていなかった武器使用の「グレーゾーン」を、国内の警察官と同じ形で認めたものだ。今回適用される可能性は低いものの、停船射撃と合わせ、将来、自衛隊の海外任務がなし崩しに拡大する可能性をはらんでいると言える。

また、民主党のスタンスが定まらない中、衆参のねじれ国会下で新法成立の見通しは不透明なままだ。欧米、中韓と肩を並べるために「派遣ありき」が先行した麻生政権にとって、新法案は「アリバイ作りに終わりかねない」(防衛省関係者)との指摘もある。【松尾良】毎日新聞 2009年3月5日

海賊行為、最高刑は死刑…与党PT「対処法案」の骨子了承

 与党海賊対策プロジェクトチームは4日、海賊対策の新たな法案「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法案」の骨子を了承した。政府はアフリカ・ソマリア沖の海賊対策として、自衛隊法の海上警備行動を発令し、海上自衛隊護衛艦2隻を14日出港させる方針で、法案成立後は活動根拠を切り替える。

 法案は海賊行為について、船の乗組員が私的目的で行う〈1〉船の強取(乗っ取り)や運航支配〈2〉財物強取〈3〉人質目的の略取――など7類型を提示した。海賊行為で人を死亡させた時は死刑か無期懲役とした。海賊行為には海上保安庁が対処するが、海保で対応が著しく困難な場合は、防衛相が首相の承認を得て、自衛隊部隊に海賊対処に必要な行動を命令できると明記。その場合の国会報告を義務づけた。

 武器使用権限は、海上警備行動と同じく警察官職務執行法7条を準用するほか、海賊行為を制止するための船体射撃を可能とした。ただ、司法警察権のない自衛官には、警職法7条のうち犯人の逮捕や逃走の防止のための武器使用が認められていないため、自衛官の武器使用の範囲は海上保安官よりも狭くなっている。(2009年3月5日 読売新聞

海賊対策法案:素案を与党に提示…「停船射撃容認」盛る

政府は4日午前、自衛隊の東アフリカ・ソマリア沖での活動を念頭に置いた海賊対策法案の素案を、与党のプロジェクトチーム(PT)に提示し了承された。自衛隊法82条に基づく海上警備行動の武器使用基準を一部緩和し、接近してくる海賊船を停船させる船体射撃を認めることが柱。自衛隊の海外派遣で初めて、正当防衛、緊急避難以外の場合の武器使用を認める。海警行動では日本関係船だけとなっている保護対象も拡大し、国籍を問わずすべての民間船の保護を可能とする。

海賊対策法案は、期限のない恒久法。海賊対策は海上保安庁が担い、自衛隊が補完すると位置づけている。ソマリア沖以外でも適用されることから、活動範囲は、公海と日本の領海とする。他国の領海は含まない。

浜田靖一防衛相は近く海警行動を発令し、護衛艦2隻をソマリア沖に派遣する予定。これと並行して、政府は、同法案を今月上旬に閣議決定して国会に提出し、成立次第、派遣根拠を新法に切り替える方針だ。【松尾良】毎日新聞 2009年3月4日
  
ソマリア沖海賊対策:護衛艦2隻、400人派遣
毎日新聞 2009年3月4日

 防衛省は4日、東アフリカ・ソマリア沖の海賊対策として海上警備行動で派遣する海上自衛隊の活動計画の概要を明らかにした。護衛艦2隻に自衛官約400人と海上保安官8人が乗艦し、活動地域をソマリア沖のアデン湾としている。

 テロ対策でインド洋に派遣している補給艦から「必要な場合に補給を実施する」としたが、政府は昨年の改正新テロ対策特措法の国会審議では海賊対策に触れておらず、野党から「なし崩しの活動拡大だ」と批判も出そうだ。また商船の護衛任務以外に、アデン湾のパトロールも必要に応じて実施するとした。

ソマリア沖海賊対策で特殊部隊も派遣へ、警告射撃を担当

 アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、防衛省・自衛隊は3日、海上自衛隊の特殊部隊「特別警備隊」の隊員を2隻の護衛艦に乗艦させて現地に派遣する方針を決めた。十数人の隊員が派遣される見通しで、特警隊員は護衛艦の12・7ミリ機関銃や搭載ヘリコプターの7・62ミリ機関銃を使い、海賊船に停船を呼びかける警告射撃など主に武器使用を担当する。赤星慶治・海上幕僚長は同日の定例記者会見で、「特別警備隊員の持つ高い射撃能力を活用したい」と述べた。(2009年3月3日  読売新聞

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Monday, March 2, 2009

小沢発言の波紋

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「民主党の外交政策は観念論」首相が批判
       
     麻生首相は30日、都内のホテルで開かれた日本国際問題研究所の講演会で演説し、民主党の外交・安全保障政策について「観念論ばかりで、具体論には反対と留保ばかりつける」として厳しく批判した。

       首相は、民主党がインド洋での海上自衛隊の給油活動を1年間延長する改正新テロ対策特別措置法や、アフリカ・ソマリア沖での海賊対策のための海賊対処法に反対したことについて、「国家としての重要な選択に、いずれも反対や異議を唱えた」と指摘。同党の小沢一郎前代表の「米国の極東でのプレゼンス(存在)は米海軍第7艦隊で十分だ」との発言についても、「日米安保体制を大幅に縮小し、米国が我が国に提供する抑止力を大きく減らす」と述べた。

       首相の民主党批判の背景には、次期衆院選に向けて、外交政策で違いを明らかにし、同党の政権担当能力に疑念を提起する狙いがある。

       北朝鮮が今春以降、弾道ミサイル発射や2度目の核実験を強行したことについては「明白な脅威」だと非難。国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議1874に基づき、金融制裁や貨物検査などで、「具体的な行動を取る」と表明した。

       このほか首相は、資源豊かな中央アジア・コーカサス地域と、経済的基盤を必要とするアフガニスタン・パキスタンを含む地域の道路などインフラ整備を図る「ユーラシア・クロスロード」構想を提唱した。 (2009年6月30日  読売新聞)

安倍元首相「集団的自衛権、解釈変更をマニフェストに」
2009年4月25日朝日新聞

安倍元首相は25日、愛知県瀬戸市での講演で「集団的自衛権の行使を含めた(憲法)解釈の変更を、私たちのマニフェストに入れて選挙に臨むべきだ」と述べ、行使を禁じた政府の憲法解釈の見直しを自民党の選挙公約に掲げ、総選挙の争点にする必要があるとの考えを示した。

 安倍氏は、北朝鮮が米国に向けて撃った弾道ミサイルに対し、日本が現在の憲法解釈に従って迎撃しなかった場合には「その瞬間に日米同盟は終わりだ」と強調。「解釈を変えていくことによって日本はより安全になる」とし、集団的自衛権をめぐる解釈変更が必要だと主張した。

「前原首相」なら日米関係OK…訪米中の安倍元首相
【ワシントン=小川聡】

安倍元首相は17日午後(日本時間18日未明)、ワシントンの政策研究機関「ブルッキングス研究所」で講演し、「一緒に(ワシントンに)来ている前原誠司副代表が、もし民主党政権になって首相をやれば、自民党と(政策的に)ほとんど変わりがないと思う」と述べた。民主党政権が誕生した場合の日米関係への影響について、米国人ジャーナリストの質問に答えた。

安倍氏は、民主党の小沢代表が在日米軍は第7艦隊だけで十分とした発言を取りあげ、「民主党はよく言えば意見の多様性がある。現実を言えば、統一された政策を持っていない」と批判した。(2009年4月18日 読売新聞

海兵隊移転協定 民主党は「反米」志向なのか(4月16日付・読売社説)

民主党は、日米同盟を「わが国の安全保障の基軸」と強調している。だが、本当にそう考えているのか。大いに疑問を抱かせる対応である。

在沖縄米海兵隊のグアム移転に関する日米協定承認案の衆院採決で民主党が反対した。協定承認案は、与党などの賛成多数で衆院を通過した。憲法の規定で、参院の議決にかかわらず、協定は30日以内に承認される。

協定は、2014年までに米海兵隊員8000人をグアムに移転し、日本がグアムでの米軍施設整備費28億ドルを支出する内容だ。沖縄の基地負担を大幅に軽減するものであり、着実に実現したい。民主党は、反対の理由として、グアム移転に関する情報開示が不十分なうえ、経費の積算根拠が不明確だ、と主張する。

これらの問題は主に、米側の移転計画の詳細が決まっていないことに起因している。政府が米側に働きかけ、情報開示や経費節減に努めるのは言うまでもない。だが、協定に反対するのは、次元の違う重みを持つ。米兵8000人の削減という画期的な合意を覆すのは得策でないうえ、日米の信頼関係を大きく損なう。

民主党は、海兵隊のグアム移転と一体の計画とされる普天間飛行場の沖縄県内移設にも反対し、県外・国外移設を訴えている。普天間飛行場の返還は1996年の日米の基本合意以来、一貫して県内移設が前提だった。沖縄県など地元自治体も、代替施設の位置の微修正は求めているが、県内移設は容認している。迅速な負担軽減を希望するからだ。

県内移設の見直しは、時計の針を13年前に戻すことを意味する。民主党は、一連の日米合意をすべて白紙にする覚悟と、再交渉を通じて日本により有利な合意をまとめる自信があるのだろうか。

民主党は、インド洋での海上自衛隊の給油活動の中止や、在日米軍の思いやり予算の見直しも唱えている。小沢代表は「在日米軍は第7艦隊で十分」と発言した。これでは、日米同盟を重視するどころか、「反米」志向と受け止められても仕方あるまい。米国に注文すること自体は悪くない。だが、民主党の重大な欠陥は、要求するだけで、同盟強化のため自らどんな負担をするのか、何も具体的に語らないことだ。

民主党は衆院選前に、外交・安全保障全般の党内論議を行い、包括的な政策をきちんと明示すべきだ。それが、政権交代を目指す政党として最低限の責任である。(2009年4月16日 読売新聞

小沢代表:対米追随脱却を強調 防衛力強化も言及
毎日新聞(2月26日)  

日米首脳会談に合わせる形で、民主党の小沢一郎代表は25日、在日米軍削減論を重ねて示し、「対米追随脱却路線」を鮮明に打ち出した。次期衆院選後の政権交代をにらみ、「対等な日米同盟」の具体策として持論を強調したものだが、日本の防衛力強化にも言及。専門家からは「憲法改正が必要になる論法」との指摘が出たほか、野党内に困惑や警戒感が広がった。

「グローバルな戦略を米国と話し合って役割分担し、日本に関係の深い安全保障面は日本が負担すれば、米軍の役割はそれだけ少なくなる」  小沢氏は25日、大阪市で記者団に語った。そのうえで「米国のプレゼンスは必要だが、おおむね(米海軍横須賀基地に司令部を置く)第7艦隊の存在で十分だ。米軍が引くことによって日本の防衛に関することは日本が責任を果たせばいい」と改めて指摘した。
 
小沢氏に近い民主党関係者によると、在日米軍の役割のうち「日本の防衛」に応分の負担をする分、「極東の安定」は第7艦隊で十分になるという意味だという。  ただ、森本敏・拓殖大大学院教授(安全保障)は「在日米軍には海兵隊と戦略空軍があり、海軍である第7艦隊だけでは抑止機能の一部しか果たせない」と指摘。「出ていった米軍の肩代わりを日本がするのであれば、再軍備を意味し、憲法改正が必要となる」と語った。  

こうした中、共産党の志位和夫委員長は「軍拡の道を進むことでイコールのパートナーになるのは間違った道だ。日本が軍事的な力を強めれば強めるほど米国は利用する」とけん制。社民党の福島瑞穂党首は「『第7艦隊で十分』の後が『日本でやる』か『基地縮小』かで意味が違う。軍備拡張には反対だ」と戸惑いを見せた。
 
民主党の鳩山由紀夫幹事長は東京都内で記者団に「極東において脅威が増大している状況ではないという発想ではないか。日本の軍備増強という発想ではない」と語り、小沢氏の発言への理解を求めた。ただ、その一方で「将来ミサイル防衛網などをしっかり作れば、米国に頼らなくとも専守防衛の中で日本の安全を保てる」という持論も展開した。
【渡辺創、古本陽荘】

「同盟にひび」与党反撃 小沢氏の第7艦隊発言
 2009年2月26日

民主党の小沢一郎代表が在日米軍再編に関連し「極東におけるプレゼンス(存在)は第7艦隊で十分」と発言したことをめぐり26日、政府、与党から「日米同盟にひびが入る。次期総選挙の争点だ」(自民党の山崎拓前副総裁)と追及する声が相次いだ。

与党は内閣支持率が「危険水域」に落ち込む中、民主党内でも足並みがそろっていない対米関係や安保政策にターゲットを絞り、反撃に出る構え。野党や米国側からも批判が出ており、波紋が広がっている。

「日本の周りには核実験をし、搬送手段を持ち、日本を敵国のように思っている国がある。防衛に知識のある人は、米空軍はいらない、海軍だけでいいという発言はしないのでは」   麻生太郎首相は26日夜、官邸で記者団に、北朝鮮情勢を念頭に小沢氏の認識を皮肉った。

町村信孝前官房長官も派閥会合で「暴論以外の何ものでもない。こういうところに民主党の最大の弱点がある」と批判。安倍晋三元首相は同日夜の会合で「民主党は政権を取ったような気分で言いたい放題言っている。こんな人に日本を任せるわけにはいかない」と強調した。
 (共同)

社民、衆院選後の政権参加で慎重論相次ぐ

社民党は28日、次期衆院選に向けた活動方針を議論する全国代表者会議を党本部で開いた。出席者からは、衆院で与党が敗北した場合の民主党中心政権への参加について「安全保障政策で民主党とは明らかに考え方が違う」「閣外協力にとどめるべきだ」などと慎重な意見が相次いだ。

福島瑞穂党首はあいさつで「麻生政権は国民の支持を完全に失った。自民党内での政権たらい回しを許してはいけない」と政権交代の必要性を訴えたが、民主党に対する地方組織での警戒感が浮き彫りになった。

会議では自民、民主の2大政党対決への埋没を懸念し、衆院選前の政権協議は避けるべきだとの意見が続出。ただ一部には「政権交代のため民主、国民新両党と共通の選挙公約を示すべきだ」との声も出た。重野安正幹事長は「大所高所からの議論で結論を出したい」と答えるにとどめた。

会議では、ソマリア沖海賊対策での自衛隊派遣に「憲法に違反し、自衛隊の恒久派兵につながる」と反対する姿勢を表明。雇用問題への取り組み強化も確認した。

社説:小沢氏米軍発言 体系的な安保政策を聞きたい
毎日新聞 2009年3月1日

小沢一郎民主党代表の日米関係をめぐる発言が波紋を広げている。
 「(米海軍)第7艦隊がいるから、それで米国の極東におけるプレゼンス(存在)は十分だ」(2月24日)、「日本の安全保障、防衛に関連することは日本が果たしていく」(25日)、「米軍でやらなくても自衛隊でやれることはやっていけばいい」(27日)

政府や自民党の幹部が発言を「非現実的」「暴論」と批判すれば、社民党からも日本の軍備拡張につながるとの懸念が出ている。民主党内でも、評価する声が一部にある一方で、戸惑いや懸念が広がっている。

小沢氏の一連の発言が、国民への説得力を欠いているのは事実である。第7艦隊は、広く西太平洋からインド洋を担当している。極東における米軍の抑止力がこの第7艦隊だけでよく、海兵隊や空軍を主力とする在日米軍のほとんどは無用ということであれば、在日米軍の抑止力を全く無視した主張であり、乱暴な議論であろう。米軍の日本駐留を定めた日米安保条約の不要論に結びつきかねず、日米安保体制の根幹にかかわるテーマである。

また、小沢氏の発言は、在日米軍の大幅削減によって生まれた「空白」の一部を、日本の自衛隊によって補うと読み取れる。そうであれば、自衛隊の増強と膨大な防衛予算を伴う日本の防衛政策の大転換となる。発言はこれらをすべて見通したものなのだろうか。第7艦隊だけで「十分」と言いながら、一方で「(在日米空軍が)いらないというのではなく」とも語った。真意は不明である。

「対等な日米関係」が小沢氏の持論だ。これを展開しようとして生煮えのまま安保問題に踏み込んだというのが実情ではないか。もちろん、政権が代われば在日米軍に関する政府の政策も変わり、そのあり方を日米間で協議することはあり得る。しかし、前提として、政権を目指す政党は、国家の帰趨(きすう)を決める安保政策を提示し、有権者の信任を得なければならない。ところが、民主党が昨年発表した「政策INDEX」では、日米同盟について「日米両国の対等な相互信頼関係」をうたったものの、「アジア太平洋地域の安全保障における米軍のあり方や在日米軍基地の位置付けについて検討」との表現にとどまっている。

米軍再編だけではない。民主党が政権に就けば、ただちにアフガニスタン政策が問われる。インド洋での給油問題、日米地位協定改定などで米政府と対立する可能性もある。こうした課題でどんな解決の道筋を描くのか。総選挙を経て政権交代を実現し、首相を目指している小沢氏の言動には、国民の目が注がれている。その小沢氏から、体系的な安全保障政策をぜひ聞きたい。「口べた」を理由にした説明回避はもう許されない。

小沢安保発言 民主党は包括的な見解を示せ
(2月28日付・読売社説)

日本の防衛と日米同盟の根幹を否定しかねない発言である。民主党は、在日米軍のあり方に関する包括的な見解を明確に示すべきだ。

小沢民主党代表の在日米軍に関する発言が波紋を広げている。小沢代表は「日本が世界戦略を持ち、もっと役割を分担すれば、米国の役割は減る」と説く。さらに、「アジアには米国のプレゼンス(存在)は必要だが、第7艦隊で十分ではないか」としたうえ、「米軍が引くことで、日本が日本の安全保障の責任を果たしていけばいい」と語った。自衛隊が日本防衛でより大きな役割を担えば、在日米軍の海軍以外の陸空軍、海兵隊は撤退できる。そういう趣旨だろう。

しかし、この「小沢理論」には多くの重大な欠陥がある。そもそも在日米軍の駐留目的は、日本防衛だけでなく、極東の平和と安全の確保にもある。アジアには、北朝鮮の核やミサイル、中国の軍備増強など不安定要因が多い。在日米軍は、朝鮮半島や台湾など日本周辺有事に対する強力な抑止力となっている。仮に米空軍と海兵隊がいなくなれば、その軍事力の空白をどう埋めるのか。部隊はグアムでなく、沖縄に駐留してこそ、有事の即応力が維持される。米陸軍も周辺有事で後方司令部の役割を担う。

「極東の安全保障環境は甘くない。空軍、海兵隊、陸軍の役割を分かってない」。ケビン・メア駐沖縄米総領事が小沢発言を強く批判したのも、当然だろう。日本防衛でも、米軍の攻撃・報復力を前提に、自衛隊は専守防衛に徹している。在日米軍に見合う攻撃力を保有する場合、日本の防衛政策の抜本的な見直しに加え、膨大な予算と時間を要する。

軍事面だけではない。政治的にも、在日米軍の大幅削減は、オバマ政権も支持する日米同盟の強化路線と矛盾する。民主党が政権をとり、この方針を追求したら、米国は強い不信を抱くだろう。日本外交の損失は計り知れない。「同盟関係は一方が一方に従属するのでなく、対等であるべきだ」が小沢代表の持論だ。対等か従属かの二元論に陥り、「対等な同盟」に過度な思い入れを持つ結果が、今回の発言なのだろう。

民主党が政権獲得を目指すのなら、小沢発言を看過せず、説得力のある外交・安全保障政策をまとめる責任がある。それが、「外交・安保が民主党の最大の弱点」といった自民党の批判に対抗するための正攻法であろう。

日米関係、民主政権なら 小沢氏『対等』を強調
2009年2月26日 東京新聞

民主党の小沢一郎代表は二十五日、麻生首相とオバマ米大統領の首脳会談を成果に乏しいと批判する一方、同党が政権の座についた場合は「対等な日米関係」を築く考えを強調した。対米追従に陥りがちな自民党政権との違いを強調する狙いだが、米側から誤解を招く懸念もある。 (竹内洋一)

小沢氏は日米首脳会談について「七、八割の国民から信頼を失った首相が有効な交渉をできるはずがない。具体的な中身があったとは思えない」と酷評した。同時に小沢氏は将来的な駐留米軍の在り方について「日本が自分たちにかかわることは、なるべく自分たちでやる決意を持てば、米軍が部隊をそんなに日本という前線に置いておく必要はなくなる。おおむね(米海軍の)第七艦隊の存在で十分ではないか」と発言。米陸・空軍、海兵隊の日本駐留は必要ないといわんばかりの考えを示した。

小沢氏はクリントン国務長官との会談でも「日米同盟関係は一方が一方に従う従属的な関係であってはならない」と力説。小沢氏の主張は日本も現在以上に東アジアでの軍事的な役割を担うことで、日米同盟を対等な関係にしたいというもの。小沢氏は「これまで以上に責任を果たしていかなければならない」とも強調している。ただ、小沢氏の発言は日本が米国の影響下から離れ、自らの軍事力増強を目指しているのではないかと米側に取られかねない側面もある。

小沢氏の「第七艦隊」発言に対して、米側のケビン・メア駐沖縄総領事は早速、二十五日の記者会見で「極東における安全保障の環境は甘くない。(小沢氏は)空軍や海兵隊などの必要性が分かっていない」と批判した。

自民党幹事長時代を含め、小沢氏と米国の関係はかつては悪くなかったが、小沢氏には米国が求めた海上自衛隊によるインド洋での給油活動に強く反対してきた経緯がある。これに加え、最近の発言によって、民主党政権が発足したら、日米関係が変質するとの疑念を米側に抱かせる可能性もある。

党内でも小沢氏の発言に対し、「発言の狙いが分からない。政権獲得後の対応を縛るようなことを言う必要はない」との指摘も。自民党政権との違いを打ち出すのは衆院解散・総選挙に向け効果的との見方の一方、小沢氏のやりすぎを警戒する空気は党内にも強い。

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Sunday, March 1, 2009

ソマリアの「海賊」問題 資料1

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10 October 2008

Environmental News from the UNEP Regions

News
Africa: ‘Toxic waste’ behind Somali piracy
 

 

By Najad Abdullahi

 

Somali pirates have accused European firms of dumping toxic waste off the Somali coast and are demanding an $8bn ransom for the return of a Ukranian ship they captured, saying the money will go towards cleaning up the waste. The ransom demand is a means of “reacting to the toxic waste that has been continually dumped on the shores of our country for nearly 20 years”, Januna Ali Jama, a spokesman for the pirates, based in the semi-autonomous region of Puntland, said. “The Somali coastline has been destroyed, and we believe this money is nothing compared to the devastation that we have seen on the seas.”

 

The pirates are holding the MV Faina, a Ukrainian ship carrying tanks and military hardware, off Somalia’s northern coast. According to the International Maritime Bureau, 61 attacks by pirates have been reported since the start of the year. While money is the primary objective of the hijackings, claims of the continued environmental destruction off Somalia’s coast have been largely ignored by the regions’s maritime authorities.

 

Dumping allegations

Ahmedou Ould-Abdallah, the UN envoy for Somalia confirmed to Al Jazeera the world body has “reliable information” that European and Asian companies are dumping toxic waste, including nuclear waste, off the Somali coastline. “I must stress however, that no government has endorsed this act, and that private companies and individuals acting alone are responsible,” he said

 

The pirates are holding the MV Faina off Somalia’s northern coast [Reuters]

 

Allegations of the dumping of toxic waste, as well as illegal fishing, have circulated since the early 1990s. But evidence of such practices literally appeared on the beaches of northern Somalia when the tsunami of 2004 hit the country.

 

The UN Environment Programme (UNEP) reported the tsunami had washed up rusting containers of toxic waste on the shores of Puntland. Nick Nuttall, a UNEP spokesman, told Al Jazeera that when the barrels were smashed open by the force of the waves, the containers exposed a “frightening activity” that has been going on for more than decade.

 

“Somalia has been used as a dumping ground for hazardous waste starting in the early 1990s, and continuing through the civil war there,” he said. “European companies found it to be very cheap to get rid of the waste, costing as little as $2.50 a tonne, where waste disposal costs in Europe are something like $1000 a tonne. “And the waste is many different kinds. There is uranium radioactive waste. There is lead, and heavy metals like cadmium and mercury. There is also industrial waste, and there are hospital wastes, chemical wastes – you name it.”

 

Nuttall also said that since the containers came ashore, hundreds of residents have fallen ill, suffering from mouth and abdominal bleeding, skin infections and other ailments. “We [the UNEP] had planned to do a proper, in-depth scientific assessment on the magnitude of the problem. But because of the high levels of insecurity onshore and off the Somali coast, we are unable to carry out an accurate assessment of the extent of the problem,” he said.

 

However, Ould-Abdallah claims the practice still continues. “What is most alarming here is that nuclear waste is being dumped. Radioactive uranium waste that is potentially killing Somalis and completely destroying the ocean,” he said.

 

Toxic waste

Ould-Abdallah declined to name which companies are involved in waste dumping, citing legal reasons. But he did say the practice helps fuel the 18-year-old civil war in Somalia as companies are paying Somali government ministers to dump their waste, or to secure licences and contracts.

 

“There is no government control … and there are few people with high moral ground … [and] yes, people in high positions are being paid off, but because of the fragility of the TFG [Transitional Federal Government], some of these companies now no longer ask the authorities – they simply dump their waste and leave.”

 

Ould-Abdallah said there are ethical questions to be considered because the companies are negotiating contracts with a government that is largely divided along tribal lines. “How can you negotiate these dealings with a country at war and with a government struggling to remain relevant?”

 

In 1992, a contract to secure the dumping of toxic waste was made by Swiss and Italian shipping firms Achair Partners and Progresso, with Nur Elmi Osman, a former official appointed to the government of Ali Mahdi Mohamed, one of many militia leaders involved in the ousting of Mohamed Siad Barre, Somalia’s former president. At the request of the Swiss and Italian governments, UNEP investigated the matter. Both firms had denied entering into any agreement with militia leaders at the beginning of the Somali civil war. Osman also denied signing any contract.

 

‘Mafia involvement’

However, Mustafa Tolba, the former UNEP executive director, told Al Jazeera that he discovered the firms were set up as fictitious companies by larger industrial firms to dispose of hazardous waste. “At the time, it felt like we were dealing with the Mafia, or some sort of organised crime group, possibly working with these industrial firms,” he said.

 

“It was very shady, and quite underground, and I would agree with Ould-Abdallah’s claims that it is still going on… Unfortunately the war has not allowed environmental groups to investigate this fully.”

 

The Italian mafia controls an estimated 30 per cent of Italy’s waste disposal companies, including those that deal with toxic waste. In 1998, Famiglia Cristiana, an Italian weekly magazine, claimed that although most of the waste-dumping took place after the start of the civil war in 1991, the activity actually began as early as 1989 under the Barre government.

Beyond the ethical question of trying to secure a hazardous waste agreement in an unstable country like Somalia, the alleged attempt by Swiss and Italian firms to dump waste in Somalia would violate international treaties to which both countries are signatories.

 

Legal ramifications

Switzerland and Italy signed and ratified the Basel Convention on the Control of Transboundary Movements of Hazardous Wastes and their Disposal, which came into force in 1992. EU member states, as well as 168 other countries have also signed the agreement. The convention prohibits waste trade between countries that have signed the convention, as well as countries that have not signed the accord unless a bilateral agreement had been negotiated.

 

It is also prohibits the shipping of hazardous waste to a war zone. Abdi Ismail Samatar, professor of Geography at the University of Minnesota, told Al Jazeera that because an international coalition of warships has been deployed to the Gulf of Aden, the alleged dumping of waste must have been observed.

 

Environmental damage

“If these acts are continuing, then surely they must have been seen by someone involved in maritime operations,” he said. “Is the cargo aimed at a certain destination more important than monitoring illegal activities in the region? Piracy is not the only problem for Somalia, and I think it’s irresponsible on the part of the authorities to overlook this issue.”

 

Mohammed Gure, chairman of the Somalia Concern Group, said that the social and environmental consequences will be felt for decades. “The Somali coastline used to sustain hundreds of thousands of people, as a source of food and livelihoods. Now much of it is almost destroyed, primarily at the hands of these so-called ministers that have sold their nation to fill their own pockets.”

 

Ould-Abdallah said piracy will not prevent waste dumping. “The intentions of these pirates are not concerned with protecting their environment,” he said. “What is ultimately needed is a functioning, effective government that will get its act together and take control of its affairs.”

Western Toxic Dumping And Piracy
Black Star News
By Simon Assaf  December 1st, 2008

The escapades of Somali pirates made headlines last week. But the media has ignored the injustice behind the phenomenon. When the Asian tsunami of Christmas 2005 washed ashore on the east coast of Africa, it uncovered a great scandal.

Tons of radioactive waste and toxic chemicals drifted onto the beaches after the giant wave dislodged them from the sea bed off Somalia. Tens of thousands of Somalis fell ill after coming into contact with this cocktail. They complained to the United Nations (UN), which began an investigation. “There are reports from villagers of a wide range of medical problems such as mouth bleeds, abdominal hemorrhages, unusual skin disorders and breathing difficulties,” the UN noted.

Some 300 people are believed to have died from the poisonous chemicals.Many European, US and Asian shipping firms – notably Switzerland’s Achair Partners and Italy’s Progresso – signed dumping deals in the early 1990s with Somalia’s politicians and militia leaders.

This meant they could use the coast as a toxic dumping ground. This practice became widespread as the country descended into civil war. Nick Nuttall of the UN Environment Program said, “European companies found it was very cheap to get rid of the waste. “It cost as little as £1.70 a ton, whereas waste disposal costs in Europe was something like £670 a ton. ”And the waste is of many different kinds.

There is uranium radioactive waste. There is lead, and heavy metals such as cadmium and mercury. There is also industrial waste, hospital wastes, chemical wastes – you name it.” But despite the evidence uncovered by the tsunami, an investigation into the practice of toxic dumping was dropped. There was no compensation and no clean up.

In 2006 Somali fishermen complained to the UN that foreign fishing fleets were using the breakdown of the state to plunder their fish stocks. These foreign fleets often recruited Somali militias to intimidate local fishermen. Despite repeated requests, the UN refused to act. 

Meanwhile the warships of global powers that patrol the strategically important Gulf of Aden did not sink or seize any vessels dumping toxic chemicals off the coast. So angry Somalis, whose waters were being poisoned and whose livelihoods were threatened, took matters into their own hands. Fishermen began to arm themselves and attempted to act as unofficial coastguards. They began to seize ships in late 2005. These were released after a ransom was paid. Among them were cargo vessels, luxury cruise liners and tuna fishing boats.

Januna Ali Jama, a Somali pirate leader, explained that their actions were motivated by attempts to stop the toxic dumping. He said that the £5.4 million ransom they demanded for the return of a Ukrainian ship would go towards cleaning up the mess.

Ali Jama said the pirates were “reacting to the toxic waste that has been continually dumped on the shores of our country for nearly 20 years. “The Somali coastline has been destroyed. We believe this money is nothing compared to the devastation that we have seen on the seas.”

But the nature of this piracy soon began to change. Members of the Somali government, who were part of the then Western-backed Transitional Federal Government(TFG), started to get involved. They transformed the piracy operation into a multi-million dollar industry that funded their lavish lifestyles.


The TFG was ousted during a popular rebellion in July 2006 led by the Union of Islamic Courts. Later that year the US backed Ethiopia’s invasion of Somalia to drive the Islamic Courts out.This provoked an insurgency labeled by some as the ”third front” of the “war on terror”.

The US became embarrassed when it emerged that its allies in the TFG were deeply involved in piracy. As concerns grew for the safety of ships heading towards the Suez Canal, global powers began to take notice. Indian and US warships began to sink Somali fishing boats if they sailed too close to cargo vessels or trawlers. These warships transformed Somalia’s coastal waters into a “free fire zone”. When a giant Saudi oil tanker was seized, these powers declared all-out war on the pirates.

British foreign minister David Miliband recently boasted that Britain would be taking the lead in cracking down on the pirates. The Royal Navy will take command of a European fleet of warships as part of “Operation Atalanta”, he said.The target will be the Somalis – not the vessels dumping waste or the illegal foreign fishing fleets. As global powers dispatch their warships to the Somali coast, he problems that caused this outbreak of piracy remain unresolved. European, US and Asian ships will continue to dump hazardous waste and plunder coastal fishing stocks – leading to continuing misery for Somalis.

Tsunami: East Africa Coastline Exposed to Toxic Waste Dumped in Somalia
by John Mbaria  All Africa  March 24, 2005


The Nairobi-based United Nations Environment Programme (Unep) is investigating the magnitude of the health problems caused by radioactive waste dumped along theSomali coastline barely 200km from villages on the Kenyan side of the border – which was stirred up by last December’s tsunami in the Indian Ocean.

“The information from Somalia is very preliminary and we are currently in discussions with the transitional government and other UN organisations about sending a proper fact-finding mission,” said Nick Nutall, Unep’s head of media. “We hope to be there within weeks. But this will depend on security clearance from the UN headquarters,” he added. 

The mission will seek to establish the scale of the devastation highlighted in a rapid assessment report done earlier by the Unep Asian Tsunami Task Force. The report titled, After the Tsunami; Rapid Environmental Assessment, highlights the impact on the  environment of countries bordering the Indian Ocean. When the tsunami hit the 3,898km coastline on December 26, last year, it ”stirred up hazardous waste deposits on beaches around North Hobyo(South Mudug) and Warsheik (North of Benadir),” said the report.

The Task Force’s findings on Somalia come at a time when it is 
suspected that some companies from Europe and the US have dumped radioactive waste in some parts of NorthEastern Province of Kenya. Though the issue has aroused public interest, the government is yet to release the report compiled recently by the National Environmental Management Authority (Nema) on the matter.

Unep’s team to Somalia has been held back by the security situation in the country, forcing the team to undertake a “desk study” from the safety of its Nairobi office. However, the team was able to establish that Somalia’s coastline ”has been used as a dumping ground for other countries’ nuclear and hazardous wastes for many years.” Those dumping the waste have capitalised on the long civil war in Somalia, which has had no  central government since the 1991 ouster of the late dictator Mohammed Siad Barre, and “the consequent inability of the authorities to police shipments or handle the wastes,” says the report.

Besides the waste, Somalia‘s coast has also been receiving shiploads of industrial, hospital, chemical, leather treatment and other toxic waste. “Most of the waste was simply dumped on the beaches in containers and disposable leaking barrels without regard to the health of the local population and any environmentally devastating impacts,” the report says. However, Unep falls short of naming the corporate culprits responsible for the dumping of the radioactive waste. It simply says, “European firms are known to be engaged in the business of dumping hazardous waste in Africa.”

Apparently, Africa is preferred because it offers a cheaper alternative. The report estimates that it costs as little as $2.50 per tonne to dump hazardous waste in Africa while it costs up to $250 in Europe.

Following the tsunami, communities along the Somali coast are now said to be experiencing a number of serious ailments. “Many people have complained of unusual health problems as a result of the winds blowing towards inland villages,” says the report. The ailments include acute respiratory infections, dry heavy   coughing and mouth bleeding, abdominal haemorrhages and unusual skin chemical reactions. Others are dry heavy coughing, acute respiratory infections and sudden deaths after inhaling toxic materials.

The current situation along the Somali coastline poses a very serious environment hazard, not only in Somalia but also in the East Africa sub-region,” it noted. But probably because of the social disorder in Somalia, the full effect to the people, livelihoods and the environment would have gone unnoticed were it not for the Unep’s task force, which went out to assist governments to assess and respond to the environmental impacts of the disaster.

Dumping of nuclear waste, the report says, began as early as the 1980s, when president Barre was still in power. “Starting from the early 1980s and continuing into the civil war, the hazardous waste dumped along Somalia’s coast comprised uranium radioactive waste, lead, cadmium and mercury,” says the report.

Besides these wastes, Somalia’s coast has also been receiving   shiploads of industrial, hospital, chemical, leather treatment and other toxic waste. This dumping, the report says, is not only morally wrong but is also a “violation” of international treaties.

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Posted by kenjin in 22:07:38 | Permalink | Comments Off